ご対面ラッシュ
成美の意識が回復した時、涼太の体も、拒絶反応を克服しつつありました。
「こんにちは、はじめまして、鈴葉っていいます。」大貴と凛に連れられて、初めて涼太の病室にやってきた鈴葉だった。
「倉嶋涼太です。君もお見舞いに来てくれたんですね。ありがとう。」長い間重い病気で苦しんで来た彼は、同じ世代の男子と比べて遥かにひ弱で青白かった。
「早く元気になってもらいたくて、来ちゃいました。」
「なんか不思議だな。僕はただ自分の病気と闘っているだけなのに、ユウリンさんといい、大貴君といい、凛さんといい、鈴葉さんといい、こんな見ず知らずの僕の為に一杯応援してくれて。なんか、みんなの優しさに助けられた気がする。みんなほんとにありがとう。」その場にユウリンはいなかった。
「後ね、成美って子もいるの。今度連れて来るね。って言うか、涼太君の方が先に早く元気になったなら、成美のお見舞いに行ってあげて欲しいな。」鈴葉は、人見知りというものを知らない性格のようだ。もう涼太と普通に話すようになっていた。
「成美さんも、病気なんですか?」
「事故で大けがして、半月も意識なかって、昨日目覚めたばかりなんだ。」
「そうですか。成美さんも大変だったんですね。」
「いやいや、私も昨日まで腰にギブスはめ込まれていて、ベッドの上で身動きとれないでいたんだよね。そんな私にも、ユウリンさんは救世主なんだよ。」首を傾げる涼太に、
「この器具、鈴葉が先に使ってるの。でも、もう鈴葉には必要ないし、ユウリンさんとの約束通り、これはもう涼太君のものだから、今からでも思い切り使って。まだ、自分の力では動け回れないでしょ。拒絶反応が治まったら、涼太君に、生きてる喜びを少しでも早く体で味わって欲しいからって、置いて行ったの。」凛が言った。
「ユウリンさんはどこにいるんですか?」
「探しに行く?これ使ってさ。これ着けてるとね、凄く楽に動き回れるんだよ。」鈴葉が何故か得意気に言った。
「でも、僕はそれの使い方がまだ分かりません。一人でも使えるんですか?」
「何水くさいこと言ってるの。私たちがどこでも連れて行ってあげるよ。」凛が言った。
「あのでも、まず行きたいところはトイレなんですけど。」
「やっぱり、男子も女子もこればかりは一緒だね。分かるよ、その気持ち。」鈴葉は、もうすっかり親近感を感じていた。」
「それなら、僕の出番じゃないですか。女子がそんなとこ付いて行っちゃいけません。」大貴が口をはさんだ。
「そうね、トイレの中では、大貴君にフォローしてもらえばいいね。」そう言いながら、凛は夢の器具
を涼太に取りつけていた。それを、大貴は嬉しそうに見ていた。
「ねえ大貴君、気になってたことがどんどん解決して、もう病院には来なくなるの?」器具のセッティングの間に、鈴葉が大貴に寄って聞いた。
「来てもいいなら、又来ますよ。又別の気になることが出来たから。」大貴が照れくさそうに答えた。
間もなくして、器具の着用が終わり、さっそく病室を飛び出し、まずは大貴の付き添いでトイレを済ませた涼太は、晴れやかな気分で、成美の集中治療室へ向かった。
「はじめまして、倉嶋涼太です。」これ又、少し俯いて、照れくさそうな挨拶だった。
「あ、聞いてます。病気、もういいんですか?あ、ごめんなさい、私九条成美です。よろしくお願いします。」成美も少し照れくさそうで、嬉しそうに答えた。
「何か、生死をさまよって、乗り越えた者同士。凄く気が合いそうな雰囲気ね。こっちも。」
「そうですよね。涼太君と成美さん、お似合いですよ。」大貴がやけに嬉しそうだ。
「大貴君は、とても優しいんですね。」鈴葉が、微笑む彼を見て、しみじみ言った。
「いえ、違うんです。僕は、その・・・」今度は照れる大貴。
そのすぐそばでは、ベッドの成美と器具を付けた涼太がもう楽しそうに話していた。
「やれやれ、ツーペアーか。めでたし、めでたしだね。」苦笑いする凛だった。
なんか、ほのぼのした雰囲気になって、ハッピーエンドの感じなんですが、まだ後少しだけつづきます。次回第17部は、”時空をさまよう霊”です。




