永遠の友情
遂にギブスをはずせる日がやって来た鈴葉は、もうじっとしていられない!
「コルセットって、窮屈そうなイメージあったけど、凄く楽だね。」病室を出たところで、鈴葉が言った。
「そりゃあ、ギブスと比べたら全然楽でしょ。」凛が笑って答えた。
「階段で行こうか?」
「そうだね。私もあれからずっと階段なんだよね。でも、鈴葉、いきなり大丈夫?」
「かと言って、エレベータには乗れないよ。ゆっくり下りれば、平気だよ。」実際、慎重に3階まで下りた。
「この階に涼太君いるけど、どうする?」
「拒絶反応は治まったかな?」
「きっと治まってるよ。大貴君は、もう峠越えたみたいに言ってたでしょ。」
「そうだね。そう信じて、今はまず成美のところへ行こ!きっと摩耶も待ってるだろうから。」
「じゃあ、このまま2階まで下りよう。」凛が言うより早く、鈴葉はもう待ちきれなくて、成美のいる
2階の集中治療室に向かった。すると、部屋の中は騒がしかった。成美のお母さんと、ベテラン風のお医者さんと、看護師さんが2人。
「成美に何かあったんですか?」鈴葉が真っ先に聞いた。
「大丈夫だよ。成美はもうすぐ目を覚ますよ。」鈴葉の問いに間髪いれずに、摩耶の声が聴こえた。
「あ、凛ちゃん、鈴葉ちゃんもよくなったの。成美が目を覚ましそうなの。もう一生目を覚まさない覚悟をしてたのよ。脳に受けたダメージが強くて、もうだめだって。凛ちゃんが、諦めずに話しかけてくれたおかげよ。」
「私だけじゃ、ありません。鈴葉も、摩耶もずっと一緒に祈ってたんです。」
「摩耶ちゃんて子も、ほんとにいるのね。」成美のお母さんは不思議そうな顔をしていた。
「九条成美さんのお友達の方ですね。正直のところ、成美さんの病状は非常に厳しい状態にあったんですが、ほとんど停止状態で、回復が難しいと思われていた脳の部分が、最近になって日増しに希望の持てる動きが出てきていました。ただ、それは見落としてもおかしくないほど僅かな回復でしかなかったんですが、つい先ほどから、回復傾向がはっきりして来て、今貴方方がここに来られた途端、急に加速しているんです。成美さんのそばに寄って、呼びかけてあげてくれますか?」
「お願いするわ。凛ちゃん、鈴葉ちゃん。」と言われるより早く、凛と鈴葉は成美の横に来て、その手を握って、先に来ていた摩耶と一緒に必死に呼びかけた。
「成美、目を覚まして!ほら、鈴葉もこんなに元気になったんだよ。」
「そうだよ。今度は成美の番だよ。」
「成美。私ね、成美と友達になれてほんと、嬉しかったの。いつも励ましてくれる凛の優しさ。いつも楽しく笑わせてくれる鈴葉の優しさ。そして、いつもぽかぽか暖かい成美の優しさが大好きなの。お願いだから、目を開けて、又私の心を温めて!」切ないばかりの摩耶の声が3人には聴こえていた。すると、
「摩耶。凛も、鈴葉も。」その瞬間、病室は歓喜となった。そして、その中で、鈴葉と凛と成美の3人は、摩耶の涙を見た。そう、3人だけに見えていた。
「ありがとう。私たちは永遠に友達だよ。」その言葉を最後に、摩耶の姿も声も消えた。
「摩耶!せっかく目が覚めたのに、摩耶、行かないで!」成美は叫んでいた。
「摩耶、ありがとう。」鈴葉は泣いていた。
「摩耶はね、ずっと私たちの友達だよ。」凛は微笑んでいた。
大切な友達の回復を見届けて、晴菜は、鈴葉、凛、成美の親友摩耶として、天国へと旅立ちました。集中治療室の部屋の前では、大貴が涙を流しながら微笑んでいました。次回第16部は、”ご対面ラッシュ”です。




