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420号室の怪

成美の集中治療室を出た鈴葉と凛は、6階の病室に戻る為、再びエレベーターに乗ったが・・・

 凛が6階のボタンを押して、扉が閉まり動き出したエレベーターだが、途中で中の照明が数回点滅したかと思うと、間もなく停止して、扉が開いた。少し気味が悪くなって早く降りたいと思っていた鈴葉は、そこで咄嗟に歩きだし、反応した器具によってエレベーターの外に出た。

 「駄目、戻って鈴葉、ここなんか変。」その声空しく、エレベーターの扉が自動的に閉まって、再び6階に向かって上昇しだした。6階に着いた凛は、すぐに3階のボタンを押し直して戻った。5階に到達する前に止まったところで鈴葉が降りたのだし、その後再上昇の途中で5階を過ぎたのだから、そこは3階のはずだった。しかし、3階でエレベーターが開いた時、凛は愕然とした。何故なら、鈴葉が降りたところとは全く違う光景だったから。逆に言うと、3階とは全く違うところで鈴葉は降りたのだ。

凛はもしかしてと、5階にも行ってみたが、やはり違ったのだ。その時、凛の脳裏によぎったのは、あるはずのない4階の存在だった。

 「鈴葉、聴こえる?」凛は、鈴葉の着用している器具に届くという音声機能を利用して、呼びかけてみたが、返事があるはずはなかった。何故なら、マイクは病室に置いて来て、持ってはいなかったから。

 「どうしよう、鈴葉。私どうやってもそっちへ行けない。なんとか、もう1度エレベーターに戻れないかな?私、エレベーターで待ってるから、その階からエレベーター呼んでみて。」必死でそう呼びかけてみたが、2分待っても、3分待ってもエレベーターに、何の反応もなかった。

 「助けて!摩耶、助けて!鈴葉が大変なの。」凛は焦っていた。

・・・・・そして、その頃鈴葉は、謎の4怪にいた・・・・・

 「凛!どうしよう。このエレベーター、呼びボタンがないよ。」と言ってみても、その声は届くはずも

なく、それに気付いた鈴葉はすぐに諦めて、凛が戻って来るのを待った。しかし、それも無駄だとすぐに気付いた。何故なら、そのエレベーターの扉の横に記された階を表す数字は”4”だったからだ。この病院の階は1、2、3、5,6なのだ。更にもう一つの希望としてあった、凛からの呼びかけも何一つなかった。正確に言うと届かない状態にあった。しかも、気になっていた男子の声が又聴こえて来たのだ。

 「お兄ちゃん、助けてよ。」行きのエレベーターでかすかに聞こえた声が、今度ははっきり聴こえたのだ。その声はとても苦しそうで、悲しそうだった。鈴葉は、この時はっきりと都市伝説の一つを思い出していた。420号室から兄を呼ぶ声が聞こえて、その声を聞いてしまうとその病室に引き込まれてしまう

という、あの都市伝説だ。更にその声は、

 「帰って来てよ。そして、僕に血をくれよ。お兄ちゃんの血をくれよ。」と叫んでいるのだ。鈴葉は怖くなって、その声を必死で無視して、耳をふさいだ。しかし、それでも少年の声は更に聞こえて来た。

 「お兄ちゃん、早く助けて!苦しいよ。」鈴葉の手をすり抜けるように、はっきりと聞こえて来た。そして、更なる恐怖が鈴葉を襲う。鈴葉の意志とは裏腹に、彼女の体がその声のする方へ少しづつ引き寄せられて行ったのだ。器具ごと、まるで宙に浮くようにどんどん引き寄せられて行くのだ。もう、鈴葉は恐怖にひきつって、

 「凛!助けて!摩耶!助けて!・・・・・・・」叫び続けた。すると、”420”と書かれた病室の前まで来た時に、

 「駄目、そこに入っちゃ駄目!」摩耶の声が聴こえた。

 「摩耶!駄目なの。自分の意志じゃどうにもならないの。」

 「駄目ー!大切な友達なの。連れて行かないでー!」摩耶の声に、危うく病室に引き込まれる寸前で、鈴葉の体は止まって、少し自由が利くようになった。

 「お兄ちゃんじゃないの?僕を助けてはくれないの?」

 「この子には、貴方を助ける力はないのよ。だから、解放して。」

 「じゃあ、お兄ちゃんはもう帰って来ないのか?」

 「鈴葉、帰って!凛の待ってるエレベーターに戻って。こいつは私が説得しておくから、鈴葉は兎に角行って!」その摩耶の声に促されて、鈴葉は元来た経路を必死で、エレベーターまで戻った。やがて、少年の声も、摩耶の声も聴こえなくなっていた。

 「鈴葉!」エレベーターの扉が開いて、凛がその中に引き込んで、抱きしめてくれた。摩耶がエレベーターを呼んでくれたんだ。

謎が絡み合う展開になりました。次回第13部は、”ユウリンの謎”

です。

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