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事故の真相

夢の器具と引き換えに、ユウリンが出して来た条件は、大貴を鈴葉に会わせること

だった。

 「あー、すっきりした。あーやっぱり、出すべきものは便だし、持つべきものは友だね。」ユウリンが帰った後、病室で凛と二人になってから鈴葉が言った。

 「あのさ、私をうんこと一緒にしないでくれるかな。」

 「あはは、ごめんごめん。これは言葉のなんとかでさ。ところで、この器具ほんと凄いよね。」ユウリンはそれをプレゼントだと言って置いて行ったのだ。

 「それはそうだけど、ねえほんとにいいの?絶対嫌だって言ってた男子なんよ。」

 「約束したからね。それに状況は変わったから。正直、出るまではおならがひどかったから、とても男子と話せる状態じゃなかったけど、もう平気よ。」

 「そっか。じゃあ、仕方ないね。もうなるようにしかならないね、きっと。」凛はうかない様子だ。

 「凛は一緒にいないの?」

 「ユウリンさんの出して来た条件は、鈴葉と彼とを二人だけで話させることだからね。私は邪魔みたいなんだ。」

 「ふーん。どうしてそんな条件なんだろう?」

 「きっと、私が余計なこと言わない為だと思う。」

 「どういうこと?凛は私に何か隠してるの?」

 「隠してないって言ったら嘘になるね。でも、私にもまだはっきり確信ないんだ。だから、鈴葉をただ混乱させるだけだから言えないだけ。それを話すことが怖いって言った方が正解かな。」

 「その大貴君て人は、一体何を知ってるのかな?」

 「全部憶測だから、やっぱり私からは言えない。彼から聞いたことを後で教えて。」

 「うん、分かった。」

 「じゃあ、もうすぐ約束の時間だし、私は出るね。」そう言うと凛は夢の器具を背負って、病室から出て行った。器具は凛が当面預かって、見舞いに来る時だけ持って来ること。それもユウリンの条件だったのだ。

 「すみません、お邪魔します。」礼儀正しい少年のようだ。

 「こんにちは、こんな状態だけど、いいのかな。」鈴葉は、寝たままの姿勢で顔だけ向けて言った。

 「あの、はじめまして。僕、狩屋大貴って言います。これ、お見舞いです。」食べ物らしきものを取り出して言った。

 「それって、要冷蔵ですか?」

 「いえ、クッキーなので常温で平気です。」

 「じゃあ、テーブルの上に置いといて下さい。ありがとうございます。」

 「体、大丈夫ですか?」

 「まあ、なんとか。ところで、どうして私のこと知ってるんですか?事故の記事見てって聞いたんですけど。」

 「こんな目に合わせてしまって、何て言っていいか分からないんですけど、ほんとごめんなさい。」

 「どうして謝るんですか?」

 「きっと、あの事故は姉が関わってると思うんです。」

 「お姉さんが?貴方のお姉さんがあの時あの場所にいたってことですか?」鈴葉の脳裏に真っ先に思い浮かんだのは、中央分離帯の青白い人影だ。

 「僕の言うことが信じてもらえる自信はないんですが。」

 「まさか、貴方のお姉さんは・・・」

 「はい、亡くなってます。3年前、あの同じ場所で交通事故に遭って。」鈴葉は強い衝撃を受けた。

 「それで、都市伝説になったんですね。中央分離帯に浮かぶ青白い人影になって・・・」

 「違います。姉はちゃんと青信号で横断歩道を渡っていたんです。なのに、脇見運転をして信号無視した車にはね飛ばされて、体がぐちゃぐちゃに折れ曲がって、血だらけで、目玉は飛び出して、なのに、運転手はもう来年刑務所出て来るんですよ。」大貴の声は上ずっていた。

 「そうだったんですか。」鈴葉はそう言うのがやっとで、言葉を失った。ただ、脳裏に次に浮かんだのは摩耶の言動だった。

 「姉は、きっと自分が死んだことをまだ受け入れられずにいます。だから、探して止めなきゃいけないんです。」

 「探すって、どうやって?お姉さんはどんな人だったんですか?」

 「姉は内向的性格で、友達が出来ないことに悩んでいました。普段はネットばかりやってて、たまに外出する時はわざと遠出して、内向的な自分を変えて、常に自分を変えてくれる新しい出会いを夢見ていました。

 「お姉さんの名前はもしかして、摩耶さんて言うんじゃあ?」

 「いえ、名前は晴菜はるな、狩屋晴菜です。でも、もしかして、その摩耶って人、一緒にタクシー

に乗ってたんですか?」その問いに、鈴葉は確信した。

 「そう、摩耶も含めて友達4人で乗ってたんです。あの、もしかして3年前の事故の脇見運転というのは、中央分離帯の人影に気を取られて起きた事故なんじゃあ?」

 「そうです。横断歩道まで行くのが面倒だった女の子のスカートが、中央分離帯で風にあおられて大きくめくれあがったのが原因です。」

 「だから、摩耶は運転手の目を隠したんだ。そうすれば必然的にブレーキかけるから。」

 「でも、その為に後続のトラックに追突されて、こんなことになって、本当にすみません。」

 「でも、これはきっと運命だったんだよ。」それに対して、大貴は頷いて応えた。

この不思議な出会いは、この後どのように発展していくのか?次回第11部は”目を覚まして、成美”です。

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