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第十九章 決着!! ノアVSオ・パイ

 海から川に入り、それをさかのぼって行きます。

 どういう仕組みなのやら、底が浅いところは、舟が浮き上がってホバークラフトのようになって進んでいきます。川沿いに暮らす人々のみならず、森に住む動物たちも、何がやってきたのだろうと興味津々で川の方をのぞき見ました。


「…あ! 盗賊の森だ!」


 ノアが甲板から身を乗り出しました。盗賊の小屋などが木々の間から見えます。ここを離れてから1ヶ月と経っていないのに、とても久し振りな気がします。


「エルジメン橋が見えた!! ボーズ太郎、スピードを緩めてくれ!」

「わかったボー!」


 盗賊の森とジャスト城下町を繋ぐ橋です。川の方から橋を見ることなんてなかったので、なんだかとても新鮮な気がします。

 ノアの方舟が、アンカーを周囲の外壁に打ち込みます。そして、ちょうど橋の欄干らんかんに飛び移るのによい位置に停止しました。


「…スタッドと初めて出会った場所だね」


 感慨かんがい深そうに、エルジメン橋に降り立ったノアが言います。スタッドはコクリと頷きました。


「あの時はノアは生きるか死ぬかの瀬戸際だったね」

「そうだよ。応急手当だけしていなくなっちゃうんだもん。それからスタッドに会うためにどんなに苦労したか」


 ノアが頬をふくらませて言いますが、言うほどは怒っているわけではありません。それが解っているのか解っていないのか、スタッドはのほほんとした顔で頷くだけです。


「…その話について、会ってからずっと聞きたかったことがあるんだが」


 唐突にそんな事を言い出したレイが、ノアとスタッドの間に入るように立ちます。


「レイ?」

「なんだい? レイ王子」


 首を傾げるノアとスタッドでしたが、レイはいつもよりも少し怖い顔をしてます。


「聖剣エイストに未来を知る力があることは解った。でも、スタッド。お前は、ノアがパイによって瀕死の目にあうことを知っていて…それを止めようとは思わなかったのか?」


 レイが言うのに、スタッド以外がハッとした顔をします。


「レイ! まだ!?」

「わかってる。もうスタッドを疑っているわけじゃない。…ただそれだけが知りたい」


 ノアを片手で制して、レイはスタッドを強く見やります。バーボンはタバコに火をつけながら、2人の顔を見比べました。


「…んー、嘘は言えないな。確かに、僕はノアが死至突を受けることは知ってたよ。そして、ここまで逃げてくるであろうこともね」


 無精ぶしょうヒゲをいじくりながら、相も変わらずののんびりとした口調でスタッドが答えます。


「テメェ…ッ!?」


 バーボンが額に青筋を立てて、スタッドにつかみかかろうとした瞬間でした。

 バキッ! という鈍い音がして、スタッドのメガネがポーンと高く飛びます。その事に呆気にとられたバーボンは、くわえていたタバコを落としてしまいました。なんと、レイがスタッドの顔を殴り飛ばしたのです!


「レイ! やめろ!!」


 ノアが慌てて、スタッドをかばうようにてレイの前に立ちはだかります。

 レイは荒い息をついて、倒れたスタッドをにらみ付けていました。


「一歩間違えれば、ノアは死んでいたかもしれないんだぞ!!」


 レイが怒鳴り、再び拳を振り上げました。それをバーボンが手首を掴んで止めます。


「…1発だけだ。ったく、俺が殴りたかったところなのによ。いいとこもってかれちまったぜ」

「バーボン…先生」


 頭をガリガリとかいて言うバーボンに、レイが唖然とした顔をします。そして、上げていた拳をゆっくりと降ろしました。


「…大丈夫か、スタッド」


 ノアは落ちていたメガネを拾い、スタッドに手をかして立たせます。


「ハハ、良いパンチだった…。人のままの僕じゃ、きっと気を失っていただろうね」


 殴られたのにもかかわらず、スタッドは先ほどと同じような気の抜けた顔です。それでも、少しだけ寂しそうな表情を見せていました。


「レイ、バーボンおじさん。アタシは…スタッドを恨んでなんかいない。むしろ、あんな状況じゃなきゃ、アタシはスタッドに興味なんてもたなかった。また会いたいなんて考えなかったよ」


 ノアがレイの目を強く見て言います。レイはなんだか気まずくなって、視線をそらしました。


「あー、なんていうんだろうな。そういうんじゃねぇんだよ。男ってのは…な。最低限、守らなければならない意地っていうかな…そういうのがあんだよな」


 バーボンがレイをフォローします。ノアが再び口を開きかけたとき、スタッドがノアの肩に手を置いて止めました。


「レイ王子。君は父上殿にそっくりだ。普段は理性的で物静かなのに、大事なものがかかってくると…途端に芯の強い勇敢さを見せる。悪く言えば感情的なのかもだけど、僕はそういうところは嫌いじゃないよ」

「父に?」


 レイが驚いた顔をします。スタッドはやはりニコニコ微笑みながら、メガネをかけ直しました。


「…父…王は、臆病者だ。国を、民を見捨てている」


 後ろめたそうにレイはそう呟きます。スタッドは「うーん」とうなって髭をなでました。


「…まあ、そのうち解ることだよ」


 そう言ってスタッドは、レイの肩を叩きます。


「その…殴ったのは…悪かった」

「いいよ。気にしていないさ。むしろ、殴ってもらって良かった」

「え?」

「いくら目的のためとはいえ…僕は自分を見失っていたようだ。おかげで、大事な物を取り戻せたような気がするんだ」


 スタッドの言葉に、レイは少しだけホッとした顔をします。


「…さっぱ意味わかんない」


 ひとり取り残されたノアが苦い顔をします。メルがその隣でクスクスと笑いました。


「男の人にしか解らないもの…なんでしょうかね」

「ハア? レイが…何を怒ってたのかわかんないし。殴られてヘラヘラと笑ってるスタッドもよくわかんない。で、仲直りした理由も…意味わかんないよ」

「…そうですね。意味わからないですよね。フフフ」


 なんとなく解るといわんばかりのメルに、ノアはますます不機嫌な顔をします。


「ニャー。殴られたのに笑ったりして、変ニャー。気持ち悪いニャー」


 ミャオもジト目でレイたちを見やります。ノアも全く同じ気持ちでした。


「フー。レイが、メルのためにバーボンおじさんを殴るんだったら…納得できるんだけどね」

「え?」


 メルが小首を傾げるのに、ノアは舌を出して笑います。


「なんでもなーい。それよりも、先に行こー」

 深く考えるのはノアの性分ではありません。気を取り直して、先を行くスタッドたちを追いかけるのでした……。


 人々が賑わう城下町を、ノアたちは通り過ぎて王城へと向かいます。

 英雄スタッドに、王子レイ、メリンやファルのみならずボーズ星人まで加わった珍妙なパーティです。誰もが異様な目で見やってきました。


「チンドン屋か!? 何事だ!?」

「キャー! レイ王子よ! 久し振りにお顔を見るわ!!」

「メリン族やファル族まで! て、天変地異の前触れかあッ!?」

「ありゃ、お医者のバーボン先生じゃねぇか! ずっと留守だったが…なにがあったんだ?」

「おお! 英雄スタッド様じゃ!! ありがたや、ありがたや!」


 民衆は近寄ってきてサインを求めたりもするのですが、ノアやミャオが歯をむき出しにして近づく者を追っ払います。誰も近づけません。


「お兄様ーーー!!!!!!!!」


 スカートの裾をつかみ、猛烈な勢いで駆けてくる者の姿があります。人々を牽制けんせいしていたノアとミャオを吹っ飛ばす勢いです。そして、レイにガバッという感じに抱きつきました。


「ま、マレル!?」

「お兄様! お兄様! お兄様のバカバカバカ!! 黙って城を抜けられるなんて!! 私は、私はずーーーーーーっと心配で、心配で、心配で!!!! ご飯も喉を通らず、眠ることすらままならない毎日でしたのよ!! ああ、お兄様!!!! なんで私も連れて行ってくれなかったのですか!!?」


 マレルはレイに頬ずりして、尋常じゃない量の涙を流します。レイは気まずそうにしながら、側にいるメルに首を横に振ってみせました。


「あ! 違う! “妹”だ! “妹”のマレルなんだ!」


 レイは“妹”を強調して言います。さっきからマレルがお兄様と言っているので、メルにはすでに兄妹であるとは解っていましたが、誤解されまいとレイはそう言ったのですね。


「あの…。え、ええ。とても愛されているんですね」


 コメントに困って、メルは微笑しながらそう言います。


「違う! 愛されてるけど、そういう愛じゃなくて…」


 しどろもどろで言うレイは、ついさっきスタッドを殴った人物とは別人のようです。

 レイの胸でさんざんに泣きはらしたマレルが、キッとメルをにらみ付けます

「この人…ね。この人が…。私のお兄様を!!」


 マレルが可愛い顔には似つかわしくない怨念を込めてメルをにらみますが、その理由を知らないメルは戸惑いながら目を瞬きます。


「…その辺になさい。マレル」


 りんと響く声がします。それは、彫像のように作り物めいた顔をした王妃の声でした。

 ジャスト王と王妃が、ジャスト城へ向かう通りの真ん中に立っているのです。こんなところで王族が結集したことに、民衆がさらに騒ぎ出しました。


「…れ、レイよ。よ、ようやく、も、戻ったか。し、心配…したぞ」


 自信なさ気に、チラチラとノアたちを見やりながら王が口を開きます。マレルは名残惜しそうではありましたが、レイからスッと身を離しました。


「…父上、母上。断りもなく城から出奔しゅっぽんし、ご心配とご迷惑をお掛けしたこと、深くお詫び致します」


 膝をついて頭をたれるレイに、王妃がピクッと眉を動かします。


「…フウ。まあ、幸いにも怪我などはしていないようですね。無事に戻って来たことですし、とりあえずはよしとしましょう。

 しかし…この者たちは何なのです? かの英雄スタッドまでいるとは」


 王妃がうさんくさそうに、ノアたちを見やります。見定められているような気がして、あまり良い気分とは言えません。ミャオが居心地悪そうに喉を低く鳴らします。

 レイが説明しようとする前に、スタッドが進み出て王と王妃に会釈します。


「ジャスト王。お久しぶりです。…“例のもの”を受け取りに来ました」


 王はビクッと身体を振るわしたかと思うと、目を大きく見開きます。スタッドを見ているのですが、焦点があってません。ガタガタと震え出すので、王冠がカチャカチャと頭上で鳴りました。


「スタッド殿!? ま、まさか…まさか、ついに!?」

「ええ。城の中に待ち人がいます…。ちょっと暴れさせてもらうことになりますよ」


 王はガタガタと震えながらドサリと力なく膝を付きます。王妃もマレルも、そんな王をいぶかしげに見やりました。何に怯えているのかは解らないまでも、王が臆病なのはいつものことではあります。その視線は「またか…」という感じのものでした。レイも同じような目で父親を見ます。尊敬…とはちょっとほど遠い目です。


「スタッドは、城で何をするつもりなの?」


 ノアの問いに、スタッドはちょっと肩をすくめるだけでした。 


「行けばわかるさ。さあ、行こう」


 スタッドの先導の元、ノアたちは城へと向かいました……。


 3階の大広間。ノアが最初来た時に異空間に飛ばされたあの部屋ですね。

 そこにオ・パイがいました。広間の中心で坐禅を組み、一心に集中力を高めています。やがて階段から上がって来る音が聞こえ、オ・パイは静かに目を開きました。


「……待っていたぞ」


 扉の前に立つ気配を察し、オ・パイが言います。誰が来たのかは見ずとも解ります。ギィと扉を開いたスタッドはニコリと笑いました。


「お待たせしました。オ・パイ殿」


 スタッドの脇を、メルとボーズ太郎がすりぬけて前に出ます。


「お父さん!!」

「オ・パイ、ボー!!」


 2人の姿を見て、オ・パイはわずかに目を細めながら立ち上がります。


「役者は揃ったようだな…。さて、スタッドよ。始めるとしようか」

「何を! 何を始めるというの!! お父さん!!」


 メルが叫ぶのにも、オ・パイは微塵も感情を表しません。また再びメルを忘れてしまったのでしょうか。そんな感じに素っ気ないのです。

 スタッドが、優しくメルの肩を叩きます。


「…さっきのレイ王子と一緒さ。君のお父さんも、守らなければならない意地のために戦いたいんだよ。下がっていなさい」


 その言葉を聞いて、ノアはとても不愉快な感じがしていました。さっきから女だけという理由で爪弾きにされているような感じがします。


「…バッカみたい。意地だなんてさ。子供じゃあるまいし」


 ノアはボソリと言います。独り言のつもりだったのですが、思ったよりも声が大きくて、皆がノアを見やります。

 シャリオが自分のことを言われたのかとオドオドしていました。ノアはバツが悪くなり、「シャリオのことじゃないよ」と言いながらシャリオの頭をなでます。


「…そうだね。バカみたいだね」


 スタッドが笑うと、レイが照れた顔をします。バーボンがそれを見て肩をすくめました。なぜか、オ・パイですら口の端をニヤリとさせています。


「…後には退けぬ。この先に用があるのであれば、私を倒してからにするがいい」


 殺気がオ・パイの全身を包みます。その迫力に、皆が総毛立ちます。


「オ・パイ殿はもう気づいているようだ…。

 でもね、ノア。僕はただ意地なんてそんなことのために来たわけじゃない。

 信じてくれ。魔神バルバトスを倒すにも、オ・パイ殿の力がいるんだよ」


 スタッドが前屈みになり、ノアに目線を合わせて言います。

 全てを話してくれないスタッドにイライラしたものは感じまずが、ノアは口を尖らしたままにコクリと小さく頷きます。少なくとも、スタッドの言葉に偽りがないのは知っています。


「…来い。スタッド。暗殺拳の神髄しんずい、見せてくれよう」


 オ・パイが両手を開いて構えます。殺気のオーラが揺らめきます。それを見ただけで、ボーズ太郎もシャリオも腰を抜かしてしまいそうでした。それでも、スタッドは涼し気な顔をしています。


「戦うのは…僕じゃないですよ」

「なに?」


 スタッドはノアの背を押します。そんなことを意図していなかったノアは、つんのめるようにして前に押し出されました。


「戦うのは、この子…ノアです」

「へ?」

「え!?」「な!?」


 誰もが驚きに一瞬、止まります。それでもスタッドの表情は変わりません。


「スタッド!! またノアに!!」

「おいおい! なに考えてやがるんだ!!」


 レイとバーボンが猛烈に抗議します。スタッドは振り返りもせずにノアだけを見つめていました。


「僕が戦っても意味がない。ノア。君がやるんだよ。君1人で戦うんだ」

「アタシが…オ・パイと戦う?」


 ノアはそう呟いて、かつてオ・パイに敗れたことを思い出します。何も出来ずにあしらわれ、痛みと絶望の中で、死至突という最悪の技を受けたのです。身体がその痛みを思い出し、ブルブルッと震えました。


「…舐められたものだな。この中で私と対等の実力なのはスタッド。貴様ぐらいなものだ。むしろ、全員でかかってきても私は一向に構わぬと思っている」


 静かな声でしたが、オ・パイが怒りを押し殺していることは明らかでした。


「無茶だ! ノア、やめていい! スタッドが戦う気がないのなら、俺がパイと戦う! それでいいだろ!?」


 レイが剣を抜き、怒鳴ります。しかし、スタッドはヒュンッと聖剣エイストを手から放ちました。レイの動作をさえぎるように水平に構えます。


「…レイ王子。僕より前に出たら、僕が君を斬る。他の者たちもそうだよ。僕より前に出ないように」


 表情は軟らかくとも、言葉には本気がにじみ出ていました。


「なぜだ? どうしてノアを戦わせる必要がある?」


 バーボンが義手を鞭に取り替えながら尋ねます。


「…戦いが終われば解ることですよ。バーボン先生」


 スタッドは静かに答えます。バーボンは小さく舌打ちしました。


「フン。…どうやら本気のようだな。その小娘を倒したら、貴様だ。結末は変わらぬ」


 オ・パイは、フーッと息を吐き出して言います。スタッドはそれには答えません。ノアの顔だけを見つめています。


「やれるね? ノア」


 スタッドの問いに、ノアは眉を寄せます。明らかに不安そうな顔です。


「ノア! 無理だって言え! あのオ・パイの実力は知っているだろ!! 俺たちが手足もでなかったビシュエルを簡単に倒してしまうようなヤツだぞ!!」


 レイが心配そうな顔で言います。ノアは、レイとスタッドを交互に見やります。


「ノア。よく聞きなさい。僕は…君を信じている」


 スタッドの言葉に、ノアが大きく目を見開きます。

 好きな人が、自分を信じているという言葉がこんなにも強さを与えてくれるものであると、誰が教えてくれたでしょう。ノアは今まさにその気持ちを味わったのです。曇天が一気に青空になったかのように、ノアの中でモヤモヤしていたものが一気に晴れました。


「う、うん。アタシに…できるって、スタッドが言うなら。やる。アタシ、やるよ!」


 瞳の輝きがいつものノアに戻っていました。スタッドは満足気に笑います。対して、レイはあんぐりと口を開きました。


「……なんだよ。ノア。ずっと一緒に戦っていた俺より、スタッドの言葉の方を…」

「レイ?」


 レイはガックリと項垂れます。メルがそれを心配そうに見やりました。


「ああ。その前に…」


 スタッドはわざとらしく、ポンと手を叩きました。そして、バーボンの側に行って何やら耳打ちをします。


「…ッ!? て、テメェ!! なんでそれを!!?」


 バーボンが激しく狼狽ろうばいします。スタッドはクスクスと笑いました。


「お願いできますよね。バーボン先生?」


 スタッドが言うのに、バーボンは苦い顔をして頭をガリガリとかきました。


「…ああ。やらなきゃなんねぇだろ。おい、ノア。ちょっとこっち来い」

「へ? おじさん?」

「おじさんじゃねぇ! って、そんなこと言ってる時じゃねぇな…ほら、さっさとしろ!」


 バーボンの手招きに応じ、ノアが側に走り寄ります。


「…後ろ向け。ちぃとイテェぞ」


 強制的に後ろを向かせられ、バーボンが何やらノアの背中に手をやります。そして、指で背骨の辺りを探りました。


「く、くすぐったいって…! ちょ、ちょっと、おじさん!!」


 バーボンの手がサワサワと動くのに、ノアが吹き出しそうになった瞬間です。


 ボギィ!


 と、何かが入った鈍い音がしました。背骨の間の何かです。


「イッテエエエエエエッ!!! 何すんだ!!!」

「だから、イテェっただろ!!」


 つかみかかってくるノアに、バーボンが怒りました。

 

「ふざけんな! 戦いの前に、こんなダメージ与えて何の意味があんだよ!!」


 ノアが怒鳴り返します。涙目になっています。それだけ痛かったのです。


「…いつまで待たせるのだ!!」


 ドゴン! と、地面が震えました。オ・パイが床を強く踏みつけたのです。その部分が陥没しています。とんでもない脚力です。


「なんのパフォーマンスか知らぬが、このオ・パイにどんな虚仮威こけおどしは通用せぬ!!」


 目をゴシゴシと拭き、バッカレスからもらったダガー…バッカレスダガー(そのまんまのネーミングですが!)を構えます。

 ノアが進み出てきました。ノアとオ・パイの視線がバチバチと火花を散らします。


「最初の時みたいにはいかないよ! さあ、全力でいくからな!」


 先手必勝とばかりにノアが走り出しました! オ・パイめがけて一直線です!


「…フン。ネズミがどう成長しようが、ネズミに変わらぬ!」


 本気を出すまでもないと言わんばかりに、オ・パイは構えもせずに、腕を後ろに組みました。


「でぃや!!」

「…甘い」


 ノアが振りかぶった1撃です。オ・パイは難なく、目を閉じたまま、上体をそらしてかわしました。そして、反撃に手刀を繰り出します。


「まだだ!!」


 鋭い攻撃がノアの懐を突く前に、ノアは飛び上がって蹴りを放ちます。オ・パイの反撃を読んでいたのです!


「ぬ!?」


 顔を蹴り飛ばされそうになって、オ・パイが慌てて手刀を防御にまわします。パンッとノアの蹴りを受け止めました。


「あの体勢から…蹴りだと?」


 オ・パイがノアの脚をパッと離します。ノアはピョンと後方に飛んで距離をとりました。


「…フン。まぐれ当たりか」


 オ・パイがちょっと前屈みになったと思いきや、ビュンと後ろ手のままに走ります。あまりの速さに、それを離れて見ていたギャラリーですら目で追えなかったぐらいです。


「シェィ!! 『連続突れんぞくとつ!!』」


 オ・パイの必殺技です! 素早い動作で、4連拳を一瞬で放つものでした。残像のせいで、まるで手が4本あるようにも見えます。


「っと、危ない!!」


 オ・パイが目を見開きます。4つの拳はノアを確実に捉えていました。それなのにもかかわらず、ノアは自分が予想したより右側にいたのです。避けたとしか考えられませんでした。


「…なんだ…と?」

「おかえしだッ!!」


 ノアが反撃にダガーを振り下ろします!

 驚いていたオ・パイの反応が遅れ、避けること適わずに防御を余儀なくされます。辛うじて、拳でダガーを弾きました。そして、今度はオ・パイが後方に飛び跳ねたのでした。


「…ッ?」


 オ・パイは自分の拳から何からがポタリとたれるのに気づきました。それは血です。自分の手の甲を見やると、線上の傷跡がクッキリと浮かびあがっているではありませんか。ダガーを受け止めた時に負傷したものに違いありません。


「馬鹿な…。この鍛えあげられた私の身体を、傷つけるだと?」


 ワナワナと震えるオ・パイ以上に、驚いているのはノア自身とギャラリーの皆でした。


「あ…? アタシが、オ・パイと…戦えている??? このダガーのおかげ?」


 ノアはバッカレスダガーを見やります。ふと、バッカレスがガッハッハと笑っている顔を思い出します。まるで親分が力を貸してくれているように感じられてきます。


「オ・パイ殿。手加減なんてしてられないんじゃないですか?」


 スタッドがそう言うのに、オ・パイの額に青筋が立ちます。


「…ならば、もはや容赦はせぬ。我が奥義を持って葬ってくれよう」


 オ・パイが人差し指を立て、そこにありったけのインパクトを込めます。そして弓を撃つような構えをしました。それを目にしただけで、無意識のうちに、その技を嫌がってノアの身体がビクッと跳ねました。


「死至突だ!」

「逃げて、ノアッ!!」


 レイとメルが叫びます。でも、ノアは歯を食いしばり、足を踏ん張り、オ・パイをにらんだままで動きません。


「アタシは逃げない! 受けて立つ!!」

「よい覚悟だ…。だが、あの時に貴様に喰らわせたものとは違う。これが正真正銘しょうしんしょうめいの本物だッ!! 『死至突!!!!』」


 オ・パイが走り出すと同時に、人差し指を回転させて繰り出します! 螺旋状のエネルギーが爆発しつつ、凄まじい一撃がノアの胸元を突き通しました。貫通するのではないかというほどの技です! これが本当の死至突なのです!!


「…終わりだ。時を待たずして、貴様の生体は即座に死を迎える。これが我が暗殺拳の極意!!」


 ゆっくりとオ・パイが指を引きます。そして目を細めてノアを見やりました。オ・パイの数秒先のイメージでは、すでにノアは血を吹き出して息絶えているのです。


「…? あれ? なんとも…ない?」


 ですが、血を吹き出すどころか、ノアは平気な顔をして目をパチパチとさせました。そして自分の手足を見やります。なんともありません。オ・パイは顔を強張こわばらせました。 


「な、なんだとぉッ!!?」


 オ・パイが数歩後ずさります。確実に仕止めていたはずです。手応えはあったのですから、打ち仕損じてるはずがありません。

 それなのに、目の前の少女はピンピンとしているではないですか。オ・パイの暗殺人生で初めてのことでした。驚くのも無理はありません。


「…もう死至突はノアには効かねぇぜ」


 バーボンがタバコに火をつけながら、オ・パイをビッと指差します。


「…なんだと? そんなことがありえるか! 何をした!?」


 バーボンがニヤリと笑い、懐から何かを取り出します。それは古びた本でした。それを見たオ・パイがギリッと歯ぎしりしました。


「…オ・パイ。テメェの師匠の本だろ。活殺自在と呼ばれた達人ス・ウメが書いた『活人拳解体新書かつじんけんかいたいしんしょ』だ」

「そんなものをいつのまに見つけたボー?」


 ボーズ太郎が驚いているのに、バーボンは指をチッチッチと動かしました。


「医者ってのは勉強家なんだぜ。時間がない中、レムジンの大図書館でわざわざ見つけておいた甲斐があったわけさ。

 さっき俺がノアに押したのは、死至突の対極に位置する『活戻突かつれいとつ』ってやつさ。本人がもつ生命力を極限まで高める技だ。

 ま、拳法家が扱うほどの効力は出せねぇけどよ。俺の技術を持ってすれば、死至突を防御するぐらいはわけねぇな」


 全てを知り得ていたスタッドが口元をゆるませます。


「必殺の技が効果なくなったことで…。これで条件は五分ですね」

「五分…だと。そんなものが認められるか。死至突を封じたぐらいでいい気になるなッ」


 オ・パイがスタッドをギロッとにらみ付け、上着を脱ぎ捨てます。

 薄手の黒シャツの内側に、鍛え上げられた強靱な肉体があるのが見てとれます。どうやら本気になったようです。


「楽に1発で死ねなくなった分、無駄に苦しまなければならなくなっただけのことだ!!!」


 オ・パイがノアに向かって駆け出します!


「チャイイア! 『大外払おおそとばらい!!!』」


 ノアの眼前で、走ってきたオ・パイの姿が忽然と消えます。ノアが気づいた時には、オ・パイは下に素早くしゃがみこんでいました。

 そして、身体全体を使い、風車か駒のように、開脚した脚を大回りさせる大きな足払いを繰り出します!


「足払いがアンタの得意技だってのはもう体験済みだよ!!」


 ノアが舌を出しながら高く飛び上がります。空中に逃れれば足払いは関係ありません。なんども転ばされて学習した対応策です。


「フン! 舐めるな! 『空転方羅くうてんほうら!!!!』」


 回転して足払いを繰り出していたオ・パイが、両足を広げたままにジャンプします。そして、左右の回転だけでなく、縦の回転まで加えて上下左右にグルグルと回転しだします!

 遠くから見ると、オ・パイの蹴りが縦横無尽に繰り出されて見えます。ブレイクダンスのウィンドミルを空中でやるとこんな感じでしょうか。


「う、うわああ! アンタはなんでもありかよッ!」


 その蹴りを1発もらったノアは、慌てて距離をとります。そしてナイフを投げつけますが、オ・パイがそれを蹴り弾いてしまいます。これは防御と攻撃を兼ねた技なのです。


「小温い!! このまま押し潰してくれるわ!!」


 回転しつつ、ボールのようにオ・パイが移動を始めます。その状態はもはや1人サーカスです。大道芸も両手をついて降参します。


「そんなのイヤに決まってんだろ!! 『レッド・スティール!』」


 ノアの得意技です! 赤い軌跡を描きながら超高速でノアが走ります。


「ハッ! その技はすでに私に敗れているではないか!! ん、ぐ…ぐっはッ!!?」


 高速で突っ込んできたノアのダガーが、オ・パイの腹を抉ります!

 あの猛烈な蹴りをさけ、オ・パイの身体に直接ダメージを与えたのです。オ・パイが吹っ飛び、ゴロゴロと床を転げました。


「は、早い!? な、なんだ…退化神殿の時と…違うだと」


 オ・パイが顔をあげた瞬間、ノアが迫ってきていました。オ・パイは舌打ちをして走り出します。広間の柱を縫うように走っていきます! 本気での走りだったら、盗賊ノアですら追いつけないはずです。


「へへッ! 今回は追いついたよ!」

「う、うぬおッ!!」


 走っていたオ・パイの前を立ち塞がるようにノアが立ちます。オ・パイは慌てて立ち止まりました。


「まるでスローモーションだ! なーんてね!!」


 体勢がとれていないオ・パイに、ノアの渾身の1撃が決まります。防御が間に合わず、オ・パイはかなり吹っ飛びます! そして、柱を数本砕いて倒れ込みました。オ・パイの初めてのダウンです!


「す…すごいです。ノア」

「ニャー! ノア強いニャー!! ビュンビュンビュン! ミャオも競争したら負けちゃうかもニャ!」

「そ、そんな…。あのパイを凌駕するなんて」


 仲間たちが感嘆の声を上げます。そうです。いままでオ・パイにやられるままだったのだから、驚きは尋常じゃありません。あのオ・パイをノアが翻弄しているのですから。


「…バッカレス親分が言ってただろう。ノアや君たちはずっと戦い続けてきたんだ。それもオルガノッソ、アルダーク、ビシュエルといった最大最強の強敵。それに加え、聖剣エイストを持つ僕をも乗り越えたんだ。君たちは自分たちが思っている以上にレベルアップしている。僕の動きを見極められるノアが、スピードでオ・パイ殿に負けるなんてあり得ないよ」


 なんてことはないと言わんばかりに、スタッドはメガネをカチャリとあげます。


「まさか…。それに気づかせるためにノアを戦わせたってのかよ」


 バーボンが天を仰いで、ため息を吐き出します。


「ああ。その成長を実感してもらえなきゃ、僕がここまで待った意味もなくなりますからね。魔神バルバトスは倒すのには、まずは自分たちの本当の力を知ってもらう必要があったんです」


 そう言ったスタッドの目は真剣でした。レイは唇を噛みしめます。


「…スタッドは、俺たちを強くするために。わざと困難の中進ませたのか。ノアを…強くするために」


 レイの目に、初めて見たときよりもはるかに逞しくなっているノアの姿が映りました。

 ようやくスタッドの意図に、レイは気づきます。もしノアがこの城に盗みに入らなければ、オ・パイと対峙することは永久になかったでしょう。ノアを危機にさらさせたのは、それを踏まえての苦渋の選択だったのです。それを知って、レイは自分の浅はかさを恥ずかしく思いました。

 レイは拳で自分の額をガンと殴ります。スタッドを殴ったのを詫びるかのように…。


「レイ王子。自分を責める暇があるのなら、ノアをよく見ていなさい。それだけの成長で、オ・パイ殿を倒せはしない。そんな甘い相手ではないよ。まだ君たちは成長する必要があるんだ」


 全身に降りかかった瓦礫をバラバラと落としながら、オ・パイがゆっくりと立ち上がります。口元からは血が流れ出ていましたが、ダメージはそれほどでもないようです。


「…誰かを守りたいという力。それも大事な力なんだ。だから、君のその力を否定しちゃいけない。それはノアの力になるはずだよ」


 スタッドがチラッとレイを見やって言います。レイはハッとして、自分の剣を見やりました。


「誰かを守る力…。国を、民を…そして、ノアを…」


 グッと力を込めて柄を握るレイを見て、スタッドは小さく頷きます。


「……ここまで私を苦しめたのは、我が師以来だ」


 オ・パイがノアを見やって静かに言います。その目は対等の相手、ノアをライバルだと認識していました。


「降参しなよ。もうこれ以上は無駄だよ。アタシは絶対に負けない。アタシにはスタッドがついてる」


 ノアは自信満々にそう言います。オ・パイと戦って、自分の実力を実感しはじめているのです。今まで手の届かなかったオ・パイと、同じかそれ以上のレベルに達している。こんなに気分が高揚することはありません。


「…フッ。認めるとしよう。力や技量であれば、戦闘経験も豊富な私のがまだ上だろう。だが、それを遙かに超える超スピード。私の目でも追えぬほどのだ…。1対1の戦いでは、ノア。貴様のほうが私よりも強いやもしれぬ」


 思いもよらぬオ・パイの賞賛に、ノアはちょっと意外そうな顔をします。ですが、オ・パイが戦いを諦めるつもりでないのは見て解ります。


「…私が戦士や格闘家だったら、潔く負けを認めるところだ。だが、あいにくと私は“暗殺者”なのだ」


 オ・パイがスッと殺気を消します。ロウソクの火がボッと消えるのに近い感覚です。


「え? オ・パイは…どこに?」

 ノアが目を瞬きます。さっきまで目の前にいたオ・パイが忽然と姿を消したのです。ノアが解ったのは、殺気が消えたことだけでした。しかし、殺気と共にその姿までも見えなくなってしまったのです。

 周囲を見回しても、姿を隠せるような場所はありません。柱の裏が死角といえば死角ですが、さすがに大の大人が隠れていたらすぐに解ります。今の大広間には、ノア以外は仲間たちが入口の方にいるだけです。その彼らもキョロキョロと辺りを見回してました。やはりオ・パイを見失っているようです。


「どこいった! 逃げたのか!」


 ノアが叫びます。その瞬間でした。オ・パイがノアの後ろにいきなり姿を現します。


「ノア! 後ろです!!!」

「どわあ!?」


 ノアの喉元めがけて、オ・パイの手刀がビュンと振り下ろされます。メルが呼びかけたお陰で、間一髪、ノアはそれを避けることができました。ドシンと尻餅をつきます。

 攻撃が外れたと知り、オ・パイは再びスッとどこかに消えます。まるで幽霊のようです。


「な、ななな!? なんだよ! 今の!!」


 どこをどう見ても、オ・パイはいません。どうやってノアの後ろに回ったのかも不明でした。突然に現れたとしか言いようがありません。


「…ノア。気を付けなさい。オ・パイ殿の本当の怖さはこれからだよ」


 スタッドの顔から笑顔が消えていました。よく見ると、額に冷や汗をかいているようでした。スタッドのこの様子はノアをとてつもなく不安にさせます。


「本当の…怖さって…うあッ!?」


 問いかけようとしたノアの目の前に拳が突き出ます。のけぞってそれを避けましたが、オ・パイの姿は捉えられません。中空に消えてしまいます。


「…暗殺、か。周囲に気配を気取らさせねぇのが、一流の暗殺者ってことなんだろうが。こう面と戦っているのにこうまでやれるもんなのかよ」


 バーボンが片目で周囲を用心深く見ながら言います。


「ひ、卑怯者! 出てこい!! 正々堂々と戦え!!」


 ノアが叫びますが、当然というべきか、オ・パイの反応はありません。

 ちょっとでもノアが油断をみせたら、すぐに目の前に攻撃が来るのです。うかうかしていたら本当にやられてしまいます。


「クソッ! 見えない相手とどうやって戦えっていうんだよ!! こっちの隙ばかりついてくるなんて戦いようがないじゃないか!!」


 ノアの全身は冷や汗びっしょりです。


「…隙ばかりついてくる?」


 レイが何か気づいたようでした。息を吐き出したノアに、即座に攻撃が仕掛けられるのを見て眉を寄せます。


「もしかしたら…」

「…言っただろう。僕より前に出たら、僕が君を斬る」


 進み出てきたレイを見て、スタッドは聖剣をビュンッと振ります。レイの鼻先にそれが突きつけられました。


「斬りたければ斬れ。俺はノアを…助ける」


 レイが強い目で、ノアを見つめながら言います。スタッドの剣など眼中にないと言わんばかりです。


「仲間がただやられているのを見てるなんて…俺には出来ない」


 突きつけられた剣を意に介せず、レイは更に前に進み出ます。刃先がレイを傷つけようとした瞬間、スタッドが聖剣を引っ込めました。そして、スタッドよりレイは前に出ました。


「……それでいいんだ」


 スタッドは小さく呟きましたが、それはレイの耳には聞こえていませんでした。


「…ハアハア」


 ノアはヘトヘトでした。間合いをまるっきり無視した攻撃です。全身に神経を集中していなければ避けることなんて出来ません。

 しかし、集中力というのはそう長続きする物でもありません。ノアが一瞬でも気を抜けば、オ・パイの攻撃がすかさずきます。反撃しようにも、完全に無防備になったところを攻めてくるので対応しきれません。構え直した次の瞬間には、オ・パイは消えてしまうのです。

 一方的に攻撃されるというのは、ノアを精神的にも追いつめていきました。


「クソッ…!? うあッ!」


 ノアの集中力が途切れます。殺気を感じた次の瞬間には、オ・パイの鋭い蹴りが飛んできます。慌ててそれを避けましたが、ノアの髪が数本散りました。すぐに体勢を変えて攻撃を仕掛けますが、オ・パイの残像はすでにありません。ダガーは虚しく空を裂きます。


「…も、もう限界だよぉ」


 疲労がたまった身体がとても重いです。これ以上は戦えそうにありません。戦意を失い、ノアはダランと両手を落としました。もちろん、それをオ・パイが見逃すはずがありません。


「…終わりだ」


 影を纏いつつ、オ・パイの姿がノアの後ろに現れます。それでもノアは動けません。首を落とそうと無常の攻撃が振り下ろされます!


「させるかッ! 『レイジングファン!!』」


 レイの猛る獅子を模した必殺技が炸裂します! 

 今まさにノアの首に当たろうとしていたオ・パイの手刀を横から妨害しました。予期しなかった邪魔に、オ・パイは眉間にシワをよせて、レイの攻撃を打ち落とそうとします。レイは柄を握りしめて、姿勢を維持しようと力を込めました。


「穿つは獅子の矜持! 『レイジングスラスター!!!』」


 さらに必殺技です! それは、レイジングファンの変化技でした。レイを包む黄金のオーラが巨大化し、打ち落としを潰して、さらにそこから突きかかるというものです!

 とても強引な力技です。それは見事、オ・パイの防御を打ち破ってその頬をかすめました。


「…ぐっ、ぬうッ!」


 怒りにオ・パイの殺気が広がりましたが、それをすぐに抑えこみ、再び消えます。


 仕止められなかったことに、レイは悔しそうに舌打ちしました。今がオ・パイを倒すチャンスだったのです。


「レイ?」


 ノアと背中を合わせるようにして、剣を構えるレイです。ノアは疲れ果てながらも、驚いた顔をしました。


「1人で戦いたいなんて言うなよ。俺たちは仲間だ…。ノアだけに苦しい思いはさせない」


 レイがニヤッと笑って言います。レイの視線の先には、メルがミャオが、ボーズ太郎がシャリオが…今にでも加勢に出ようとしている姿がありました。誰もノアが倒されるなんて我慢できないのです。

 よく見ると、スタッドやバーボンも拳を握りしめているのでした。レイのように加勢できなくとも、心ではノアと一緒に戦っているのです。ノアはそのことに強く励まされます。まだちょっと戦えそうな気がします。


「これはもう勝負じゃない。パイは暗殺者として、ノアを殺すつもりなんだ。俺は…ノアを失いたくない」


 レイがそう言うのに、ノアはちょっと紅くなります。仲間として言っているのだとは解りましたが、なんだかそう言われるのは、嬉しいけれども、くすぐったいような気がします。だって、レイの顔は真剣そのものだったのですから。


「…じゃあ、アタシをしっかり守ってくれよな。王子様」


 照れくさくなったノアは、ぶっきらぼうにそう言いました。


「ああ。ノアの背中は俺が守る!」


 それを真面目に受け取ったレイが、そう答えて剣を構え直します。予想していた応えと違っていたので、なんだかノアは調子が狂ってしまいます。いつもだったら『俺が本当に守るのはメルだけどな!』なんて冗談の返しがあってもいいぐらいです。

 今のレイはいつもと違っていました…。ノアは戸惑います。気の抜けない戦闘中なのに、なんでこんな変な感じなのでしょう。


「で、でも…。このまま防御してても、オ・パイは倒せないよ」


 深く考えることは止め、ノアは戦いに集中を切り替えます。

 2人で死角をカバーしているお陰で、オ・パイが攻めあぐねいているのは何となくわかります。さっきから攻撃が来ないからです。話ができるのもそのせいでした。


「…大丈夫だ。パイは俺たちが隙をみせたときに必ず攻撃してくる。そうなら、わざと隙を作ってやればいい」


「それができたら苦労はしないよ! アタシだってそんなこと気づいてたさ! でも、フェイントが通用しないんだ…まったくね」


 ノアは頬をふくらませます。

 オ・パイがノアの死角を突いているのは、攻撃を受けていて気づいていました。しかし、わざと隙を作ってもオ・パイはそれには引っかからないのです。本物の隙だけを狙ってきているわけです。スピードで勝るノアが反撃ができないのは、こういう理由があったからなのでした。


「…なら、本当に隙ができればいいんだ」

「へ?」


 背中を合わせて構えていたレイが、ノアの方に振り向きます。何事かとノアは目を瞬きました。いったい何を謝ったのかも解りません。怪訝けげんそうにレイを見ていると、おもむろにレイは左手を伸ばします。 


「ノア! すまない!!」


 そして、むんず…と、レイが何かをつかんだのです!

 胸に違和感を覚えて、ノアの視線が下がります。胸に当たっているそれがレイの手だと気づいて…ゾワゾワと背筋に何かが走ります。

 レイは口をへの字にして真面目な顔をしているもんですから、それが変な行為であるとノアが気づくのに数秒はかかりました。


「うっきゃあああああ!!!!」


 ノアは真っ赤になって悲鳴をあげます!

 なんと、レイの手がノアの胸をわしづかみにしたのでした。誰も予想だにしない、あまりの出来事に、ギャラリーが皆あんぐりと口を開けます。


「馬鹿レイ! 変態! 変態王子ッ!!」


 頭のなかでサイレンが鳴り響きます。軽いパニック状態です。ノアは言葉にならぬ言葉で騒ぎ続けていました。そのままボーズ音頭を踊ってしまいそうなぐらいに混乱します。


「ぐがッ!」


 レイの端正な顔が歪みます。パニックの末に、ノアの至ったシンプルな結論がこれでした。鉄拳がレイの顔面に命中したのであります!

 その時でした。オ・パイがサッと姿を現します。その気配に気づいたレイが、歪んだ顔のままでニヤッと口元だけを笑わせました。


「…れ、『レイジングスラスト!!!』」


 不安定な姿勢のままではありましたが、レイジングスラストの推進力がレイの身体を前に押しやりました。ノアの後ろから迫るオ・パイに剣を突き出します!


「ぬッ!? し、しまった!! うぐあッ!?」


 剣がオ・パイの肩に深々と突き刺さりました!

 ノアは拳を繰り出した無防備なところに、レイジングスラストの余波を受けてひっくり返りそうになります。それをレイに片腕で抱きとめられました。

 ノアを抱きとめ、なおかつオ・パイに1撃を加えているというシーンは絵になっていて格好良かったのですが…鼻血をしどどに垂らせていたところだけは残念です。


「…見事だぜ。意表をうまくつきやがった!」

「考えたものだね。レイ王子」


 バーボンが目を丸くして言います。スタッドは口笛を吹いて賞賛しました。


「…グゥッ!」


 慌てて剣から逃れると、ブシュッと肩から血が吹き出出してオ・パイが片膝を付きます。


「へ? …な、なにが?」


 ノアが、レイとオ・パイを交互に見やります。当事者が何が起きたかサッパリなのでした。

 レイは剣を引くと血振りしました。パタパタッと血の雫が床を汚します。


「本物の隙かどうかなんて、目だけで完全に判断つくわけがない。判断できたとしても、あんなに即座に的確な攻撃ができるなんて考えられない」


 レイが言うのに、ノアが眉を寄せます。

 その時、ずっとノアを抱きかかえていたことに気づき、レイは気まずそうにしつつようやく離しました。ノアもバツが悪そうに頭をかきます。


「じゃあ…どうやって攻撃してきたってのさ?」


 ノアがちょっと口を尖らせながら尋ねます。レイは少し視線をさまよわしてから答えました。 


「…あ、ああ。俺たちの“気”か何かを読んでいたんだろう。そのせいか、攻撃がワンパターンであることに気づいたんだ」


 レイは、オ・パイが“ノアの動き”を読むことだけに集中していたのだと説明します。だからこそ、攻撃を単純化させざるをえなかったのだとも。

 言われて始めて、そういえば姿を消すようになってからオ・パイが技を使ってこなかったことにノアは気づきます。単なる手刀や蹴りといった具合なのです。それこそ連続突や空転方羅で攻め立てればよかったはずです。


「視覚に頼っていないなら、逆にそれを使って誘き寄せてやればいい。パターンで攻撃してくるなら、そのパターンに当てはまらない対処をすればいいんだ」


 レイがそう説明するのに、オ・パイは額に汗を浮かべながらニヤリと笑いました。


「…ククク。成長しましたな。レイ王子。一流の戦士でも死ぬまで気づかぬレベルの話だというのに。まさか見破られるとは。確かに、“本物の隙”までおとりにされては対処のしようがありませんな」

「俺だって強くなっている…。ノアだけじゃないさ。もう終わりだ。降参しろ、パイ」


 レイがオ・パイに剣をつきつけます。しかし、オ・パイの目は死んでいません。


「…終わり? 降参しろ? クククッ!!」


 血の吹き出ている肩をグッと抑えつけると、筋肉が盛り上がって血が止まります。そして、オ・パイは不気味なオーラを放出しながらゆっくりと立ち上がりました。


「誰に物を言っている! このオ・パイ!! 貴様ら小僧どもに遅れをとるほど衰えてはおらぬ!! これが正真正銘の我が奥義だッ!!」


 オ・パイが全力の殺気を放ちます!

 部屋中に満ちるその気で、皆が気圧されました。まるで重力が増したかのような重苦しい錯覚を覚えます。ギャラリーの皆が苦しそうにあえぎます。


「まだこんな力を…。さすがに、魔神バルバトスと素手で渡り合った最強の男だね」


 スタッドがメガネをカチャリと上げながら言います。


「…ノア。勝とう」

「…ああ。アタシたちは負けない」


 ノアとレイが頷きあいます。それぞれ、最強の技を繰り出す構えをとりました。それを見て、オ・パイは不敵に笑います。


「これが我が究極の殺技!」


 オ・パイが両腕を脇に差し込み、片足を折りたたんで軸足の後ろに隠します。そして目をつむりました。まるでそれは眠っているフラミンゴのようです。とても戦いの構えとはいえない姿です。


「な、何をする気だ?」


 異様なオ・パイの姿に、ノアがゴクリと息を呑みます。


「防御を棄てたんだ…。全力で俺たちを攻撃するために!」


 レイの手がカタカタと震えます。あの構えの恐ろしさが解っているようでした。


「行くぞ!! 『死至烈空しいれっくう!!!!』」

 身動き一つしないオ・パイの身体から、無数の黒い何かが飛んで来ました。それがノアやレイの身体にぶち当たります。


「う、うあッ!?」「ぐうッ!!」


 当たったところが黒い斑点のようになり、血管がどす黒くなっていきます。それは死至突と同じ効果を持つ範囲攻撃でした。 


「無差別かつ遠距離から放てる死至突だ! なんてこった! 俺が使った活戻突の効果を上回りやがった!」


 バーボンが叫びます。そうです。その技を受けたノアの血管もどす黒くなっているのです。


「ううううッ! 死ぬほど痛い!! でも、アタシは負けないッ!!!」

「そうだ!! ここまできて、ま、負けるものかッ!!!」


 ノアもレイも血を吐き出しながらも、最強の必殺技を繰り出そうとします。

「クククッ! これで決着だ!! 奥義『瞬去しゅんきょ!!!!!』」


 オ・パイが目をカッと見開いた瞬間、殺気に満ちた周囲の時が止まります…。

 それは無数の乱打。10、100、1000、10000にも及ぶありとあらゆる超絶連打でした。オ・パイの殺気の届く範囲にいる敵に、一瞬のうちに最大の攻撃を打ち据えるものです。

 防御も回避も不可能な攻撃を、ノアもレイも全身に受けます。骨が折れ、肉が裂け、血が吹き出ます!

 それでも止まりません。オ・パイの暗く沈んだ瞳に、2人の戦士の姿が映ります。


「『スラッシュレイン!!!』」

「『テンペスト!!!』」


 ノアもレイも渾身の力を込めて持ちうる最強の技を放ちました。ノアの力を込めた6本のナイフ、そしてレイの雷撃を伴った剣がオ・パイめがけて一直線に飛んでいきます!


「うおおおおおおおおッ!!!!」


 オ・パイの殺気空間を切り裂き、それらの攻撃が突き抜けます。そして、オ・パイの身体に深々と突き刺さりました!

 グラリと身体が左右に揺れ、倒れまいとオ・パイは腰を落としました。胸や腹を切り裂いたナイフと剣を見やります。ダメージは大きいですが、オ・パイはその攻撃を耐えたのでした。

 オ・パイは「勝った!」…と、口元を笑わせます。しかし、グリンと白目をむいたかと思いきや、その場にドッシーン! と、仰向けに倒れます。ブチンと三つ編みが切れ、長い髪がバッと床に散りました。

 オ・パイが倒れるのを見届け、ノアとレイもバタンとひっくり返ります。本当に力を使い果たしたのでした。

 本当に一瞬のことだったので、何が起きたのか把握するまで時間が少しかかりました。皆、倒れているオ・パイ、そしてノアとレイを見やります。


「…ノアの…いや、ノアたちの勝ちだ」


 しばらくして、スタッドが勝利を宣言します。皆がそれを聞いて、ようやく笑顔になります。そして、手を叩いて喜び合います。そうです。オ・パイに勝ったのです!


「ノア!! レイ!!」


 メルがハッとして、ノアとレイに駆け寄りました。2人とも死至突を受けて瀕死です。どす黒くなった血管がパンパンに膨れあがった上、最後の技である瞬去によって全身がズタボロです。慌ててバーボンとボーズ太郎が治療の準備を整えます。


「く、くそったれ! これは…。俺でも…治せ…ねぇ。なんて技だ。骨だけじゃなく、全身の神経や筋肉の筋まで寸断されてやがる上、血管まで潰されてやがる!!」


 手を当てて魔法を使おうとしたボーズ太郎を、バーボンが制止させます。


「魔法は使うな! 魔法を受けた衝撃で血管が破裂する! 一瞬で出血死しちまう!」

「ボー!! じゃあ、このままじゃどうするボー!!」


 ボーズ太郎が頭を床に打ち付けます。バーボンは唇を噛みました。何も出来ないのです。治療をしようとして触れる行為ですら危ないのです。


「な…なんて…こと。ノア!! レイ!! しっかりして!!」

「ミャー! 死んじゃイヤだニャー!!」


 メルがノアの側でボロボロと涙を零しました。ミャオがオイオイと泣き出します。


「…僕がやろう」


 スタッドが静かに言いました。皆がスタッドを見やります。スタッドの顔からはいつもの笑みが消えています。心の底から申し訳なさそうな顔です。


「…聖剣エイストでも、すべての未来が見通せるわけじゃない。これは2人だけを戦わせた僕の責任だ」


 スタッドがそう言うのに、バーボンが大きく舌打ちをしました。


「いくら聖魔法だって言ってな…。万能じゃねぇだろうが! 治る前に死んじまう!」

「いや。聖剣エイストなら…。彼らを…聖剣エイストにすれば死にはしない」


 バーボンは怪訝そうに眉を寄せます。


「聖剣エイストに彼らの主要臓器を移せば、とりあえず死ぬことは免れる。その間に医術や魔法を使って、彼らの身体を回復させてくれればいい」

「そ、そんなことが…」

「荒業になるだろうけどね」

「ああ! どんな難しくても、手を触れていいなら絶対に治してやる! それなら…さっそく!!」


 バーボンが嬉しそうに頷きます。それに対し、メルが大きく首を横に振りました。


「そんなことをしたら…スタッドさんはどうなるんです!? すでに聖剣エイストに寄生されているスタッドさんの心臓は!!」


 痛いところをつかれたと言わんばかりに、スタッドは頭をかきます。


「…僕は死ぬだろうね。そんなことを試したことはないし、ましてや2人分の臓器を預けられるのかも不明だ」

「そんな危険な!」

「でも、やらなきゃいけない。ここで2人を死なせるわけにはいかないんだ」


 そう言ってスタッドは、聖剣エイストから自身の心臓を抜き取ろうとします。


「ま、待って…。ボクが、ボクがやる!!」


 シャリオが震えながら前に出てきました。


「そう! そうよ! シャリオの魔法なら…」

「お、おい。こんな子供に…」

「いいえ。大丈夫です。バーボンさん。この子の力ならば…。私はシャリオを信じます」


 メルはその小さな手をギュッと握りしめました。シャリオは強く頷きます。

 そして、ノアとレイの前に立ちました。大きく深呼吸して魔法力を集中させます!


「『ゴッドキュア!!!!』」


 神聖な光の雫が、ノアとレイに降り注ぎました。

 それらはノアとレイの身体を癒していきます。黒い血管が正常に戻っていき、断ち切れていた神経や血管、筋肉がみるみるうちに修復していきます。


「き、奇跡だ…。俺は夢でも見てるのか? こんな魔法が…存在しやがるなんて」


 バーボンが目をこすって、頭を何度も横に振ります。


「…これは、聖魔法? いや、それよりも…遙かに巨大な力だ。この子は…いったい?」


 スタッドが真剣な眼差しでシャリオを見やります。


「…ん? あ…あれ?」

「…ぐ…。ま、まだ戦える…ぞ」


 ノアとレイがゆっくりと身を起こします。そんな2人にメルが泣きながら抱きつきました。


「よかった! 本当に…よかった!」

「え? メル…ちょっと、痛いって」

「メ、メル!?」


 ノアは苦しそうにしながらも笑い、レイは鼻の下がのびています。


「勝ったんだよ! ノアもレイも、あのパイパイに勝ったんニャー!」


 ミャオがはしゃぎながら、倒れているオ・パイを指さします。


「…勝った? アタシたちが?」


 ノアもレイも呆然と、オ・パイを見やります。倒したところの記憶がすっぽり抜けているのです。しかし、オ・パイはピクリとも動きません。 


「ボスチョー!」

「ボス…だべー!」


 バタンと扉が勢いよく開き、アホンとダラが飛び出します。きっと戦いが終わるまでは立ち入りを禁じられていたのでしょう。涙や鼻水をたらしながら、倒れているオ・パイの元へ駆け寄ります。


「…わ、私は…まだ、負けた…わけではない!」


 パァンと身を翻し、いきなり立ち上がるオ・パイです。それにアホンとダラは腰を抜かしてひっくり返りました。


「まだ…戦うってのか。なんて野郎だ」


 バーボンがオ・パイのダメージを確認します。それはもはや普通では立ち上がれないほどのものでした。


「…わ、私は…ま、負けるわけには…いか…ぬ」


 オ・パイがヨロヨロとよろめきながらも、ノアたちに向かって進んできます。

 ノアたちは迎え撃とうと立ち上がりました。ミャオもボーズ太郎もバーボンもそれぞれ構えます。


「まだ…お、終わらぬ!!」

「いいえ…。お父さん。もう終わりよ」


 メルがそっとオ・パイの身体を抱きしめました。

 殺気に満ちていたオ・パイから、瞬時に毒気が抜かれたかのように、表情が和らぎます。


「…メルメル」

「お父さん。もういいの…。もう自分を責めないで」


 涙を流しながらも微笑む娘の姿に、オ・パイはガクッと膝をつきました。


「…メルメル。すまぬ。お父さんは…負けた…」

「うん。それでいいのよ…。お父さん。お父さんは…ずっと私を守ってくれたんだもん」


 その言葉を聞いて、オ・パイはゆっくり目を閉じました。本当に気を失ったのです。

 今までピーンと張り詰めていたものが完全に消えたのでした。

 それは今までのオ・パイではありません。優しく強かった、メルの父の顔でした…。


 こうして出せるものをすべて出しあい、壮烈を極めたノアとオ・パイの戦いはようやく幕を閉じたのでありました……。

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