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第九章 隠居者コネミと女魔物のステラ

 ミャオの案内により、ノアたち一行は釣り人の海を出て、ちょっとした南国風の森を抜けます。

 そこを越えて、誰もが絶句しました。あれだけ豊かな自然があったというのに、森を抜けた先は一面の砂漠なのですから。それも地平線の彼方まで続くような大砂漠。

 海を満喫し、ちょっとしたバカンス気分だったので、今からここを歩かねばならないと思うと気が重くなります。


「…なんだよ、これ。すな! スナ! SUNA! 砂しかないじゃん!!」


 ノアが、地面の黄土色のものをつまみあげると、サラサラと風に流れて飛んでいきました。


「ここだけ気候がおかしいのでしょうか? 後ろは森だったのに…」


 メルが振り返ります。ヤシに似た木がズラッと並んで生えています。そこから先は南国パラダイスです。

 しかし、今立っている地点を境にして、その先から急に砂漠となっているのです。まるで森が切り取られてしまったかのように不自然でありました。


「…この砂漠はもともとが豊かな森林だった。ファルが木々を伐採したせいで、この『レグー砂漠』は生まれたんだ」


 レイがそう説明します。ノアもメルも眉をひそめました。この広大な砂漠を、人の手が生み出したというのだからちょっと信じられないのも無理はありません。


「な、なんでこんなに木を取っちゃったボー?」


 森で生きていたボーズ太郎は信じられない気持ちでいました。

 森は生活に必要な豊かな恵みを与えてくれるものです。それを根こそぎにしてしまうことは、そこに住まう命を奪うことに等しいことです。それどころか、自分たちが受け取れる恩恵をわざわざ減らしてしまうことになるのですから…。


「ファルは、デムやメリンとは比べものにならないぐらいに文化が進んでいるんだ。レムジンに行けば、その意味がわかるさ」

「レムジン、ミャー? さあ、コネミのおじちゃんところに行くニャ!」

「お、おい!」


 ミャオがレイの手を取って歩き出します。なぜか気に入られたようです。

 どうやら、コネミという人物はこの砂漠のどこかにいるようですが、はたして無事に出会えるのでしょうか…。

 

 30分ほど黙々と歩き続けました。

 ノアが砂だけの風景に飽きかけた頃、メルとミャオが何かに気づきます。

 メルの耳がピーンと立ち、ミャオが鼻をピクピクと動かしました。


「…誰かいます」


 メルがそう言った瞬間でした。ちょっと小高くなった砂山に、3つの人影が現れます。


「オ・パイ!?」


 それはアホンとダラを引き連れたオ・パイでした。

 ノアとレイが進み出て武器を構えます。メルは口元に手を当てて青白い顔になりました。


「なぜ、アンタがこんなところに!!?」


 ノアの問いかけに、オ・パイは目を細めます。


「フン。ネズミどもめ、貴様らの計画などお見通しだ。このままスタッドに会わせるわけにはいかぬ」


 オ・パイがザッザッと黄砂を巻き上げて降りてきます。


「な!? なんで、アタシたちがスタッドに会おうとしていることを知っているんだ!?」

「ククク。あの町医者が喋ってくれたよ…。貴様の命を条件に出したら、すぐに吐いてくれたぞ」


 狡猾こうかつなオ・パイのことです。きっと、ノアたちを助けるとか何だのと言ったのだとすぐに解りました。ノアやメルの名前を出されて、バーボンが黙っていられるはずもありません。


「パイ! お前はいったい何を企んでいる!? 何が目的なんだ!?」


 レイが怒鳴ります。そのただならぬ雰囲気に、ミャオはちょっとだけ不安そうな顔をしました。


「レイ王子。姿が見えぬと思いきや、このような悪党どもにくみしているとは…お父上が嘆きますな」

「父上は!」

「関係ない、と? ならば、あなたはもはや王族でもなんでもありませんな」


 言い負かされ、レイは唇をかみます。オ・パイはフンと笑いました。


「ば、バーボンさんたちは!!? バーボンさんたちは無事なんですか!?」


 青白い顔のメルが、気力を振り絞って聞きます。

 どうしても、目の前にいるのが自分の記憶にある父だとは信じられません。姿形こそ父であるのに、その持つ雰囲気はまったく違うのです。


「…フン。盗賊共々、牢に放り込んであるわ。貴様らを捕らえてから、まとめて処刑だ。ゆっくり仲間の死に逝く様を見届けさせてやる」


 オ・パイはメルを見やってそう言いました。

 それは、娘に向かって喋る父の言葉ではありませんでした。それでも、ノアもメルも、バーボンたちが無事であることを知って少し安堵あんどしました。殺されていなかったことが解っただけでも良かったです。


「パイ! 俺の最初の質問に答えろ!! ジャスト国の大臣であるお前が、いったい何をしようとしているんだ!?

 魔神バルバトスと戦った四天王であるお前がなぜだ!?」


 オ・パイは顎に手を当てて考えるような仕草をしました。


「ほう。やはり、オルガノッソだけでなく、どうやらミルミ城のアルダークまで倒してしまったようだな」


 もはや敬語も使いません。仲間が倒されたというのに、オ・パイは不敵に笑い続けます。


「ああ! そこで、お前の過去を見た! 英雄スタッドの前身であったお前がどうしたというんだ!? ガラガ山道にある救いの小屋にも行った! シーラさんにも会ったぞ!」


 まるでメルの言葉を代弁するかのように、レイはたたみかけます。それでも、オ・パイの表情は変わりません。


「救いの小屋? ククク…。そんなものがどうしたと?」

「…え?」


 メルの表情が固くなります。

 

「いいだろう。そんなに知りたいのなら教えてやろう。

 私の野望はただ一つ。魔神バルバトスを復活させ、魔神の力と恐怖によって、デム・ファル・メリンの三種族を完璧なまでに支配することだ!」


 全員が度肝どきもを抜かれます。なんと、オ・パイの目的は魔神バルバトスの復活だったと言うのですから!


「な、なんだって?」

「正気か!? や、やはり…魔神バルバトスの呪いを受けて…」


 呪いという言葉に、オ・パイは不愉快そうな顔をしました。


「私は私の意思で、魔神バルバトスを使役するつもりだ。オルガノッソやアルダークのように操られているわけではない。私は魔神の力を逆に利用してやるつもりなのだ」


 オ・パイが拳を握りしめてニヤリと笑います。相当なまでの自信です。


「そんなことが出来ると思っているボー!? あ、あんな恐ろしい魔神を…」


 ボーズ太郎がブルブルと震えながら言います。カッとオ・パイの目が見開かれました。


「フン! できると思うから言っているのだ!

 魔神バルバトスが復活した暁には、貴様ら下等種族は根こそぎにしてやる!!

 恐怖という恐怖を味あわせ、痛みと絶望のうちに死に行くがいいッ! ボース星人よッ!」


 向けられる尋常じゃない殺気に、ボーズ太郎は震えながらレイの後ろに隠れました。

 長老や仲間の仇ではありますが、オ・パイの血走った目と睨み合うのはボーズ太郎には酷でした。

 恐怖と、己の情けなさにブルブルと震えるボーズ太郎を見て、ノアは気の毒そうな顔をします。

 そして、ノアはダガーを構えて、オ・パイをキッと睨み付けました。


「なんで、そんなにアタシらやボーズ星人を憎むんだ!? シーラさんは、アンタはとっても優しい人だって言っていた!! それなのに、なんでだよ!?」

「…なんでだと?」


 オ・パイは額に青筋を立て、ギロリとした目をノアに向けます。


「それは、貴様ら…下等なヤツらが、私の娘をもてあそび、そして、それをボーズ星人どもが連れ去った上に殺したからだ!!」


 怒りに震え、オ・パイの殺気がさらに増します! 

 側にいるアホンもダラもちょっと離れ、ゴクリと喉を鳴らしました。


「殺した…? なにを、言っているんだ? ボーズ星人たちは、アンタの娘を保護したんだぞ!! メルメルはここにいるじゃないか!!」


 ノアがメルを指さします。

 メルは不安そうにオ・パイを見やりました。父と娘の視線が交差します。


「…なんだと? ふざけるな。私の娘は死んだ…死んだのだぞッ」


 意味不明なことを言うオ・パイに、ノアは首を傾げます。


「は? アンタの娘は生きて…」

「私はその憐れな亡骸を目にしているのだッ!!」


 メルはショックを受けて目を丸くします。


「ちょっと待ってよ! シーラさんだってメルが娘だって!!」

「メルはジャスト国の近くででさまよっていたんだ! 大臣となったお前に会うために! 他にメリンが俺たちの国にいるなんて考えられないだろうが!!」


 ノアとレイが猛抗議します。

 ですが、オ・パイはほんの少し目を左右に動かしただけでした。


「先ほどから何を世迷い言を…。シーラ? メルメル? 誰だ、それは?」

「え?」


 オ・パイは額を抑え、首を横に振ります。

 そして、クルリと背を向けました。


「…グッ。そんなことは…どうでもいい。

 英雄スタッドの居場所が解れば貴様らは用済みだ。あとはヤツを殺すだけで魔神バルバトスの復活は完了できる!

 アホン、ダラ! ネズミどもを倒し、ジャスト城に先に帰れ!」

「はいチョ!」

「了解だベー!」


 2人が返事をし、アホンが剣を、ダラは槍を構えます。オ・パイはそのまま降りてきた黄砂を登っていってしまいました。


「ま、待って! お、おとうさ…」


 メルが呼びかけようとしますが、オ・パイの姿はもう見えません。


「メル…」

 ノアがそっとメルの肩に手を当てました。


「…大丈夫。ええ、大丈夫です。ごめんなさい。私、何も言えなかった…」


 メルは胸に手を当てて、気持ちを落ち着かせようと大きく深呼吸しました。 


「しかし、どいうことだ? オ・パイは、まるでメルのことを知らないようだった。それどころかシーラさんすらも…」


 レイが剣を納めて言います。


「……それは考えても解りません。

 今は先に進みましょう。父が魔神バルバトスの復活を企み、スタッドさんを殺そうとしているならば、何としても止めねばなりません」


 メルは強い目をして、オ・パイがいなくなった後を見やりました。


「そうだね。じゃ、先に進もう!」


 ノアが片手を上げて言うと、皆が「オー!」と答えます。


「ちょ! 待つチョ! 俺らのことを忘れるなチョ!!」


 さっきからずっと戦闘態勢を堅持していたアホンが、怒りのあまり地団駄を踏みます。


「あ。アンタたちいたんだ?」


 すっかり忘れていたノアがほっぺをポリとかきます。アホンがもっと真っ赤になって、頭から湯気を立ち上らせます!


「なんか舐められまくってムカツクチョ!」

「そうだべーな」

「やれやれ。お前達を相手にしている暇はないんだが」


 レイが剣を再び抜きました。

 戦闘態勢のアホンとダラが深く身構えました。


「行くチョ!!」

「ふんりゃだべー」


 アホンが上段構えで飛び上がります!

 ダラがブオン! と、槍を振り回しました!


「ふんぎゃチョ!」


 パコンと、ダラの槍の柄がアホンの後頭部を直撃します! アホンの目がビョーンと飛び出しました。


「な、なにするチョ!」

「すまんだべー」


 気を取り直し、アホンは身を低くして、剣を突き出して突進します!

 ダラも低めの払いを繰り出しました! しかし、それはアホンの進行方向です。今度はアホンの横面を引っぱたきます。


「ほんぎゃチョ!」


 ズザザザと、顔面を地面にこすりつけながらアホンが倒れます。


「やっぱりな…」

「ホント、やる気あんの?」


 レイは呆れたように剣をしまいます。ノアはガックリと肩を落としました。


「う、うう! 馬鹿にするなチョ!」

「馬鹿になんてしてないボー。アホだとは思うけどボー」


 ボーズ太郎にまで言われ、アホンの顔がますます赤く歪みます。


「ううぐうう!! 絶対に許さないチョ!!!」


 アホンが立ち上がり、攻撃を続行します! しかし、再びダラによって妨害されてしまいました。息が合うコンビというのは良く聞きますが、合いすぎるのも問題です。2人して攻撃する方向が同じなので、どうしてもぶつかりあってしまうんです。


「ニャハハハ!」


 ミャオがお腹をかかえて大笑いします。


「もう! お前、何を考えているチョ!!!」

「すまんだべー」

「もうその台詞は聞き飽きたチョ!!」


 ついに、怒ったアホンの剣先がダラに向けられました。あーあ、これは仲間割れですね。


「アホらしー。さ、ほっといて先に行こ」


 ボカスカと殴り合っている二人を尻目に、ノアたちはその場を後にしようとしました。


「あ! 待つチョ!!! 今度、お前らを逃がしたら…ボスに、またまたまたお仕置きされるチョ!」


 タンコブだらけのアホンが気づいて止めます。


「そんなの知らないよ!」


 こんな2人のために残ってやる義理はありませんでした。


「お、おい。あれはなんだ?」


 レイが何かに気づきます。言われてノアも遠くに目をやりました。

 アホンとダラの後ろの方から猛烈な勢いで、何かがやってくるのが見えました。土煙を上げ、砂山の向こうから何かがやって来ます。


「ま、まさか…ボスが…」

「戻ってきたべか?」


 アホンとダラは青い顔をして振り返りますが、どうにもそれはオ・パイよりももっと大きいものでありました。

 砂山の上に現れたのは、大きなサソリのような生物でした。長い毒針のついた尾をフリフリと左右に振っています。それは砂漠に住まう魔物『デザート・スコーピオン』だったのであります。


「あ?」「べ?」


 アホンとダラは逃げる暇もありませんでした。パコーン! 大きなデザート・スコーピオンのハサミに弾かれて、2人は仲良く天高く飛ばされてしまいます!

 それはつまらない漫才にツッコミを入れるかのようでした(タイミング的にはちょっと遅かったですが)。「なんでやねん」という台詞でも言ってくれれば完璧だったことでしょう。


「クソッ! よりによって、砂漠で一番危険な魔物だぞ!」


 レイが叫んで剣を抜きます。アホンとダラを相手にしていた時とは緊迫感が全然違います。


「ミャ? ウィリアムだニャー!」


 ミャオが何を思ったか、先頭に飛び出します。


「な!?」

「危ない! ミャオ!!」


 巨大サソリの前で、飛び出したミャオが両手を振ります。

 アホンたちと同じように吹っ飛ばされると思いきや、デザート・スコーピオンはパシパシッとまばたきしたようでした。


「チョース!」


 なんと、デザート・スコーピオンの背中から声がしたではありませんか。

 その方を見やると、1人の女性が顔を出しました。そして、手を軽く振ったかと思うと、ピョンと飛び降りてきます。


「よっとっと!」


 それは、20歳ぐらいの美女でした。

 薄紫色のシャギーヘアで、額に古びたゴーグルを付け、つなぎ姿という出で立ち。ジッパーがへそまでしか上がっていないのは、そのパッツンパッツンのはち切れんばかりのボディを収納しきれないからであります。

 魅惑的な身体を前に、レイはすでに鼻血を出して倒れそうになりました。

 しかし、注目すべきは別にありました。その彼女は、デムでもメリンでもファルでもありません。薄緑色の肌に小さな角。赤紫色をした瞳。人型をした魔物の特徴です。


「魔物…?」


 ノアが警戒するのに、ミャオが首を横に振りました。


「だいじょうぶだよー。こっちがステラ。あっちの大きいのがウィリアム。ミャオの友達ニャ!」


 ミャオが紹介すると、ステラがニッと笑います。ギザギザの歯が太陽の光を反射しました。

 ウィリアムは挨拶の代わりに毒針のついた尻尾をフリフリと動かしました。ノアたちは刺されるんではないかとビクビクします。


「ああ。アタイはステラだ。このレグー砂漠を縄張りにしてる。

 …と、にしても、ミャオ。珍しいな。お前がこんなに多くの友達を連れているなんて」


「ニャハハ! ノアとメルとレイとボーズには、釣り人の海で会ったんだよー。コネミのおじちゃんとこ行くんだニャ」

「そう。でも、釣り人の海は、海の魔物がでるから行っちゃダメだって、コネミから言われてるんだろ?」

「ごめんニャー。ステラよりも強い怪物ニャ?」

「怪物はないだろ、怪物は。でも、そうだな。アタイより強いヤツもいるかもね。だから、もう一人で行っちゃダメだぞ」

「はーいニャ!」


 ミャオの頭を撫でながら言うステラ。どうやら、ミャオにとってはお姉さんみたいな存在のようです。


「…釣り人の海に魔物なんていた?」

「い、いや…。遭遇した覚えはないが」


 平和なイメージしかないところだったとノアたちが話すのに、ステラは「ははーん」と笑います。


「そら運がよかったね。海の魔物は滅多に浜辺にはでてこないんだが、このウィリアムより大きいサメの魔物とかもいるんだよ。そんなのに出くわしたら一口で丸呑みだったよ」


 ウィリアムを見上げ、ボーズ太郎はアワワと口を震わせます。デザート・スコーピオンよりも大きい魔物なんか勝負にすらならなそうです。海に引きずり込まれたら一巻の終わりです。

 

「ま、ちょうどいいタイミングだ。コネミのとこに行くなら、アタシのウィリアムに乗せて行ってやるよ」


 ステラが親指を立てます。ウィリアムもハサミをガチャガチャと鳴らしました。


「は、はぁー。でも、アンタは魔物なのに?」


 ノアがステラの顔をマジマジと見ながら言います。


「なんだい。何か問題でもあるか? 魔物だって別にいいだろ。アタイは人が好きだしね」


 救いの小屋にいた魔物たちの例もあります。ステラも、そういった類の魔物なのでしょう。


「なら、お言葉に…」

「甘えさせてもらおう、か」


 特に話し合うこともなく、ノアたちはウィリアムに乗せてもらうこととなったのであります……。



 ウィリアムは、徒歩よりも遙かに快適に進みます。ノアたちの足では間違いなく1日以上かかった道のりを、半日もかからずに踏破してしまいました。

 ステラの誘いを疑ってしまったのをノアは後悔しました。何せこんな砂漠を延々と歩かずに済んだのですからね。感謝しかありません。

 どこまでも続く黄土色の砂の中、ポツンと存在するオアシスと、その側に立つ小さな建物が見えてきます。


「あれは『釣り人の湖』っていう淡水湖さ。海やそこらへんの水辺じゃ見かけない珍しい魚がいるよ」


 ゴーグルをしたステラが、ウィリアムのスピードを落とすために手綱を引きます。それはまさにライダーと呼ぶに相応しい姿でした。

 オアシスから、ちょっと離れた建物の前でウィリアムがピタッと止まります。


「よーし。着いたぞ」


 ステラが手の平を下げる仕草をすると、ウィリアムは身を屈めました。

 指示通りにきちんと動くのですね。これだけ強力そうな魔物を従順にさせて操っているステラは、かなり凄いのかもしれません。


「ミャオ。これをコネミに渡してくれ」


 ステラは、ウィリアムから降りようとするミャオに小さな封筒を手渡します。


「いつものやつニャー。わかったー!」


 皆がウィリアムから降りる中、ステラは手綱を握ったままです。ノアは首を傾げました。


「あれ? ステラは来ないの?」

「あ、ああ。アタイは、ちょっと急いでいて…」


 わざわざここまで連れて来たというのに、急いでいただなんて言うなんて、おかしいなとノアは思います。


「ま、コネミによろしく伝えてくれ! また機会があったら会おう!」


 そう言って、ステラはウィリアムと共に砂漠の彼方へと消えていきました……。


 なぜか建物には向かわず、ミャオに案内されるまま、建物の裏側にと回ります。

 裏にあった物置小屋には、扉が閉まらないぐらい沢山の釣り竿やらバケツやらの道具が置かれています。ひっくり返った道具箱からは、ルアーがゴロゴロと転がり出ていました。ちょっと不気味な光景ですね。


「ニャー。ここじゃないとすると、釣りだニャ」


 ミャオの言う通りに、オアシスのある湖の方に向かうと、クーラーボックスを椅子がわりにして、釣り糸を垂らしているデムの姿がありました。

 ミャオが言った特徴通りの人物。ピカピカと光る禿げあがった頭に、いったい何が詰まっているのかというぐらい、たっぷんたっぷんのお腹まわり。大きなお尻をちょっと動かしただけで、クーラボックスがミシミシというイヤな音を響かせます。


「コネミのおじちゃーーーーん!」


 ミャオが飛びつきます。ですが、小柄であっても体格のよいコネミの身体はビクともしません。何事もなかったかのように、ゆっくりと振り返ります。


「おや、ミャオ。1週間も姿が見えないから、死んだかと思いましたよ」


 ニコニコと笑うコネミです。もう目が逆Uの字になっているぐらいの笑顔です。

 ですが、その口から放たれた言葉はトゲがありました。ノアたちは思わず顔を見合わせてしまいます。


「ニャー! 生きていたニャ! それより、おじちゃん! 魚! 魚!」


 辛辣しんらつな物言いなど気にせず、ミャオはコネミのタプタプの腕にしがみついて甘えます。


「ハハハ。今釣りますからね。そこらへんに座って待っていて下さい…。

 おや、客ですか?」


 コネミがノアたちに気づき、ペコリと頭を下げます。太陽の光がそれによって反射され、ノアたちは眩しい思いをしながらも頭を下げ返します。


「おー。ミャオの友達! なんかね、レムジンに行きたいんだって!」

「レムジンに? それは珍しい…しかし」


 そうコネミが言いかけた時、地面が揺れました。グラグラグラ! ちょっと立っているのも大変なぐらいです。慌てて、コネミは釣り竿を引き上げます。


「ボー? この辺の悪魔…アルダークは倒したのに、どうしてだボー?」

「ふう。最近、こういうのが多くて…。おちおち釣りもしていられません」


 コネミはリールを巻いて、竿を担ぎます。どうやら釣りを諦めたようでした。


「ま、続きは中で話しましょうか」


 コネミは、自分の家にと皆を案内しました……。


 コネミが緑茶を入れて、それぞれの前に出します。ミャオにはミルクと小魚を出します。まるでネコのような扱いでしたが、ミャオは喜んで小魚を頬張ります。


「…さて、確かレムジンに向かわれるという話でしたが」


 コネミは相変わらずニコニコした顔のまま言います。


「ええ。陸路は初めてで道が解らないんです…」

「ほうほう。それはお困りでしょう」


 そんなことを言っても笑った顔なので、もしかしたら馬鹿にされているのかもと思ってしまいます。

 レイの視線は、思わずコネミの頭に向けられます。


「…しかし、驚きました。デムがレムジンの領土にいるなんて」


 ミャオの保護者であるから、てっきりファルだと思っていたのだとレイは続けます。


「ハハハ。釣り好きがこうじて、魚が豊富なこんなところで生活しているわけですよ。それも、ファルから目の届かない、こんな砂漠のど真ん中ですが」


 ミャオのミルクを注ぎ足しながら言います。さっきのキツイ言葉とは裏腹に、どうやら面倒見は良いようです。


「失礼かもしれませんが、ミャオとはどういうご関係で?」


 メルが恐る恐る尋ねます。コネミはミャオの顔を見て、それからメルに向き直りました。


「赤の他人です。砂漠に捨てられていたのを、私が拾って、気まぐれにエサをやったら懐いたんです」

「ニャー」


 あまりに冷たい言葉に、皆が愕然としました。ミャオだけは何も気にしていないようでニャハハと笑います。


「そ、そんな言い方ないだろ! まるでペットみたいな言いぐさじゃないか!!」


 とうとう我慢ならなくなったノアが怒鳴ります。ですが、コネミの顔色は変わりません。


「あー。すみません。あまり人と話さないせいで。悪気はないんです。ただ私、毒舌なだけで」


 ニコニコと笑うコネミ。本当に反省してるのかどうかも怪しいです。

 よく見たら笑っているわけではありませんでした。顔の形が、ただ笑っているように見えているだけなのです。簡単に言えば、引きつっているわけです。こんな辺境の地で、あまりにコミュニケーションを取らないせいか、顔の筋肉が強張ってしまっているだけなのです。決して笑っているわけではなかったのでありました。


「あ。そうだ。コネミのおじちゃん。ステラからまた預かったよー」


 ミャオがステラから預かった、あの封筒を取り出して渡します。コネミはスッとそれを受け取って、チラッと裏表を見ました。


「またですか。本当に」


 小さくため息をついて、何を思ったかその封筒を開けもせずにビリビリと破きます。


「あ! なんで、見ないんだボー!?」


 コネミは手紙を細々にするとゴミ箱に放り込みます。穏やかそうな見かけと違うのは、毒舌だけでなく行動もでした。


「そうそう。で、レムジンの件ですが…」


 まるで手紙のことがなかったかのように、コネミは続けます。ノアたちはなんだか釈然としませんでしたが、手紙自体はコネミ宛だったものです。それをコネミがどうしようが、周りに口出す権利はありません。

 ノアは怒りを押し殺し、フーッと息を吐き出しました。ここでケンカしても、レムジンに行くための宛はないのです。ちょっと大人になったノアです。


「ここから向かうには、2つのルートしかありませんね。1つはヤマンバ洞窟という強力な魔物が徘徊するところを通るか、もしくは地下道です。いずれも、この砂漠から行けるんですがね。後者は…ちょっとお勧めできません」


 そういえば、海で出会ったファルのおじさんもそんなことを言っていたなとノアは思いだします。

 こんなことなら、あのおじさんにテレポートで一緒に連れていってもらえばよかったかもしれません。まあ、使われる前に知っていたらの話ですが。


「なぜ地下道はダメなんですか?」

「地下道は…ほら、さっきみたいな地震がいつくるかわかりませんからね。日増しにひどくなってしますし。地盤が崩れたら生き埋めです」


 もしオ・パイであれば、きっと崩れ落ちる岩盤を蹴り飛ばしながら強行突破なんて真似もしてしまうのでしょう。でも、ノアたちにそれだけの力と俊敏さはありません。


「じゃあ、ヤマンバ洞窟しかないが…っていうか、このネーミングは…」

 レイが口をへの字にしていいます。ずっと、この洞窟の名称にツッコミたかったのです。


「まあ、通称ですよ。本当は『レムジン洞窟』と、あんまりにそのまんまなんでね。

 ヤマンバの由来は、なぜかその洞窟に女型の魔物が集まってしまったからです。砂漠がこんなに広がってしまって、生態系が狂ったのかもですね。

 ときおり、この釣り人の湖にも悪さしに来るので…そのたびにらしめているのですが」 


 ミャオが「女の怪物をメッて怒ったり…」と言ったのはこのことだったのです。


「女型の魔物か…。いくら魔物とはいえ、女に剣を向けるのは性に合わないが。仕方ないな」


 レイが自分の剣をみて、ギュッとそれを握りしめます。さっきまでステラに見とれて、鼻の下を伸ばしていたとは思えないほどの真面目な顔つきです。


「うーむ。ヤマンバ洞窟の魔物は…それは悪魔と呼んでも差し支えないぐらいに強いのですが。本当に行かれるのですか?」

「ああ。もちろん。アタシたちは何としてもレムジンに行かなきゃいけないんだ。それに悪魔とはもう2体も戦ったことあるしね。心配ないよ」


 ノアがそう言うのに、コネミは渋々と頷きます。


「はあ。そこまで仰るなら…よろしい。私も暇ではないのですが、案内しましょう」



 砂漠のど真ん中にポカンと口を開いたレムジン洞窟…通称、ヤマンバ洞窟。

 見た目はなんも変哲もない洞窟でしたが、ただ女性物の香水のニオイがプーンと立ちこめていました。電車とかで、ほら。女性から香るアレです。あれを何十倍も強くしたニオイです。バラなんだかラベンダーなんだか、ラフレシアなんだか。はっきりしろと言いたくなるニオイでございました。

 口と鼻にハンカチを当てたノアたちは、武器を構えてそろそろと洞窟に入っていきました。ミャオとコネミは外でそれを見守ります。


 洞窟に入って5分後…。

 剣を杖がわりに、ヨロヨロと洞窟から先に出てきたレイの顔は青ざめていました。顔中にはキスマークです。服も上半身を脱がされていました。手形とキスマークが至る所につけられています。


「…こ、こんなに恐ろしいダンジョンは…初めて…だ」


 レイはその場に倒れます。その後に、レイと全く同じ状態のボーズ太郎が出てきて、やはり倒れました。


「…やはり。結婚適齢期を逃した女性は、人でも魔物でも同じですか」


 コネミは額に手を当てて首を横に振ります。

 まったく無傷のノアとメルが、げっそりと疲れた様子で出てきました。


「コイツら、ひっぺ返して連れてくるのはどんなに大変だったか…」

「なんで、あんなに殺気だっているんでしょう?」


 ノアとメルが口々に言います。


「男性型の魔物の数が極端に少ないんです。この洞窟から、私の所にわざわざ来るのも…きっと、私を狙ってのことでしょう」

「えー!?」


 ノアとメルの目に、コネミが美化されて見えてしまいます。

 いわゆる耽美系です。パッチリお目々と長い睫、儚いボディラインに、意味なさげな手を頬に当てたポーズ。バックには赤と白のバラの花が咲き乱れます。…頭は輝いていたままですが。


「ミャー。だから、ミャオもコネミのおじちゃん以外は男を見たことがないミャー」


 ミャオが笑って言います。いや、笑いどころじゃないんですが…本人は面白ければどうでもいいようです。


「私も何度もミャオをレムジンに送り返そうとしました。……ま、正直、邪魔だったんで。でも、こんな状態ですからね。困ったものです。

 まあ、ともかく。腹が減ってはいいアイディアも出ません。私がせっかく釣った魚を食べさせるのはもったいないんですが…お昼にしましょうか」


 コネミが肩に担いでいたクーラーボックスを降ろします。ミャオがヨダレを垂らしつつ、敷布をサッと引きました。

 ノアもメルも、レイとボーズ太郎をその上に寝かせて介抱してやります。


「良かったな。レイ。人生で、こんなにモテること…もうないよ」


 レイの傷の手当てをしながら、ノアが言います。


「モテたって…あきらかに老婆の魔物もいたぞ! 若いのなんていなかったじゃないか…。

 ってか、なんでノアだ!? なんでメルじゃなくて、ノアが俺の手当をしてるんだ!」


 レイが、メルに膝枕をしてもらいながら手当を受けているボーズ太郎を指さします。心底羨ましそうに、レイは指をくわえました。ボーズ太郎は心安らかな天使の寝顔です。


「…アタシは膝枕なんて絶対にしないよ」

「誰も頼んでいない!!」


 そんなやりとりをしている間に、コネミはクーラーボックスから魚を取り出していきます。大きい。大きいです! どうやってそんな魚を入れていたのでしょう。地球でいうところの、タイセイヨウクロマグロ級の大きさです。1本釣りで、男たちが賞金目指して競ってしまいそうなレベルです。


「これって、明らかに入れていた箱より大きい…」

「目の錯覚です」


 ノアの疑問を、コネミは即否定です


 ピクリとも動かず、ずるずるとクーラーボックスから出されていくマグロもどき…見た目はマグロなんでそう呼ぶことにします。

 しかし、大ぶりの目がギョロッと動きました。そしてビッチビッチ跳ねます。死んだ振りをしていたのです!


「まだ息がありましたか…。どうせ食べられるんだから、観念なさい!」


 ボグゥッ!! コネミの強烈なボディブローがマグロもどきに叩き込まれます!

 マグロもどきはついに昇天しました。ミャオが「魚と戦ったり…」と言ったのは文字通りの意味だったのです。


「この辺の魚は強くて…。ただ釣っただけでは勝ちではないのです。文字通り、生きるか死ぬか。デッド・オア・アライブ。生半可な釣り人では通用しない世界ですよ」


 コネミは、これまたどこから取り出したか、巨大な出刃包丁を握ります。プロ顔負けの包丁さばき。マグロもどきの解体ショーです。

 小分けにされたマグロもどきの身。それを皿に盛って配ります。


「さあ、どうぞ」

「え? 火は通さないの? まさか生?」

「当たり前ですとも」


 刺身なんて食べたことのないノアです。恐る恐るそれを手に取ります。そして、コネミが用意してくれたショーユという謎の液体につけ、目をつむって口に放りました。


「ん、んーーッ! 何コレ!? 旨い、旨すぎるー!」


 ノアの口に芳醇ほうじゅん濃厚のうこうな味が広がります。味の革命です。演出効果で、劇画タッチのノアの背景に、ロケット噴射で撃ち上がる富士山が描かれてもおかしくないほどの派手なリアクションでありました。

 ノアだけでなく、皆がマグロもどきにがっつきました。ミャオもネコ食いです。美味しいだけでなく、量も充分です。

 いやはや、全員の体力が完全回復しました。


「さて。お腹はふくれましたが…。どうしたものですかね」

「アタシとメルだけが行く? どうやら、あそこの魔物は男にしか興味ないみたいだし」


 ノアの提案に、レイもボーズ太郎も首をイヤイヤと横に振ります。


「いや、きっと、男がいなければいないで…侵入者は襲ってきますよ。魔物ですし」


 コネミがそう言うのに、レイもボーズ太郎もホッとします。どうやら置いて行かれる心配はないようです。


「コネミのおじちゃん。ステラにお願いしたら?」


 ミャオがペロペロと手の甲を舐めながら言います。


「え?」


 コネミがちょっと驚いた顔をしました。ミャオは呑気に伸びをします。


「ステラだったら、きっと中にいる怪物の説得してくれるミャー」


 ミャオの提案に、ノアもメルも希望を見いだします。

 しかし、当のコネミは渋い顔をしていました。ああ、でも表情は変わらないんですが…うつむいていて、顔に影ができていたのでそう見えたのです。


「確かに。ステラであれば…きっと、ヤマンバ洞窟のヤツらをおとなしく成るかも知れません。しかし、私の体が目的のあの女などに…」


 コネミは自分の両肘を抱いてさすります。その仕草は、かなり気持ち悪いとノアたちは思いました。


「し、失礼なヤツだな!! ア、アタイは…ほ、ほ、ほ、本当にお前のことが!!!」

「え!?」


 ステラの声が聞こえたので、皆がビックリして辺りを見回します。

 なんと、洞窟の入り口の裏側に隠れていたステラが飛び出して来ました。どうやら、ずっとノアたちの後を付けていた様です。


「な、何度も、何度も…ラブレター出しただろうが! い、一度も返事をもらってないけどさ!」


 ステラが真っ赤になって言います。どうやら、ミャオに渡したのはラブレターだったようです。


「なんで、魔物のあなたが私に惚れるんです? それに、私は隠居して釣り生活を満喫してるのです。面倒ごとは、ミャオ一人で充分ですよ」


 相変わらずの毒舌に、ステラはプルプルと震えます。目尻に涙がたまっております。


「コネミのバッキャロオオオオオオー!!」


 ステラは走り出し、地中にうまく隠れていたウィリアムに乗るとものすごい勢いで去っていきました……。


 夜。腹を出して寝ているコネミの横で、ノアたちは作戦会議をします。


「ヤマンバ洞窟…抜けるためには、ステラの協力が必要だ。そうだな、ミャオ」

「ニャー。ステラはこの辺でいちばーん強い怪物…魔物ニャ。きっと大丈夫ニャ!」


 ノアが手をパチンと叩きます。ミャオはゴロゴロと喉を鳴らしました。


「しかし、ステラさんは…どうやら、コネミさんに惚れているようですね」

「ああ。理不尽だ…。あんな、太った男のどこが…俺の方が…ブツブツ」


 レイは口を尖らせて、寝ているコネミを見やります。


「でも、どうして…コネミと、そのステラをくっつける必要があるボー? 普通に、頼めば…」


 この作戦の根幹を口にしたボーズ太郎を、ノアとメルがギロッと睨みます。ボーズ太郎は思わずすくみあがりました。


「あれじゃ、ステラさんがあまりにも可哀想です!!」

「そうだ! あそこでブタみたいに寝ているオッサンに、乙女の想いがどんなに一途か思い知らせてやらにゃ…アタシの気がおさまらん!!」


 ノアは拳を握ります。いつの間にか、コネミに恋するステラを…スタッドに恋する自分に置きかえていたようです。

 恋の理由までは解りませんが、自分と同じように、かなりの年齢差というネックに加え、ステラの場合は種族の差というのもあります。困難な恋愛ほど燃えるものなのでありました。


「よし! コネミとステラをくっつけろ作戦! 明日より決行だ!!!」

 

 ノアが立ち上がると、メルとミャオも続きます。


「「「オー!!!」」」

「「おー…」」


 女子3人の強い雄叫びと、いまいちな男子2人の声、そしてブタ…いえ、失礼。コネミのイビキが砂漠の空に木霊したのでありました……。

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