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病弱令嬢は、死にたくないので闇堕ち王子を甘やかします!  作者: ゆにみ
本編

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20/61

20、お兄さまとセラフィナ

 最近のリリアーナは、とても機嫌がよかった。


 この日も、公爵家の庭園でひとり、ゆったりとティータイムを楽しんでいた。


 (ルキウス様と……ちゃんと、仲良くなれている)


 胸の奥が、じんわりと温かくなる。


 以前より、距離を測る必要がなくなった。

 癒しの力を使うときだけでなく、何もないときでも、彼は自然と近くに来る。

 最近では、私の膝が彼の定位置みたいになっていて――。

 

 思わず、頬が緩んだ。


 かわいい。

 本当に、かわいい。


 あれほど壁を作っていた王子が、私の前では気を許し、甘えるような仕草まで見せる。

 そんな姿を見せられて、可愛く思わないわけがなかった。


 このまま、ずっと。

 こうして一緒にいられたら、安心なのに。


 そんなことを考えていた、そのとき。


 ふいに、視界に影が落ちた。


 「リリー、最近はずいぶん機嫌が良さそうだね」


 顔を上げると、桃色の髪が揺れる。

 兄——シアン・フランヴェール。

 そして、原作の男主人公。


 なぜか最近、兄の様子もおかしい。

 表情は柔らかく、鼻歌まで口ずさんでいることが増えた。


 

 「......それは、お兄様もでは?」


 そう言うと、兄は一瞬、目を丸くした。


 「え? ど、どうして?」


 「見ていれば、わかるわ」


 最近の兄は、明らかに浮かれている。

 気づかない方がどうかしている。


 「リリーは流石だなぁ」


 苦笑しながら、兄は頬をかいた。


 「それで? 何かあったの?」


 「……ああ。実はね、今度デートすることになったんだ」


 驚きで、思わず椅子から立ち上がった。


 「え!? 相手は!?」


 「辺境伯家のご令嬢だよ。セラフィナ・ヴァレンシュタイン辺境伯令嬢。君の婚約披露パーティーで出会って……声をかけたら、意外と話が弾んでさ」


 照れくさそうに視線を逸らしながら、兄は続ける。


 (いつの間に......!)


 原作では、私の死をきっかけに、五年後に出会うはずだった二人。

 けれど今は、もう――。


 私が生きていることで、運命が変わってしまったのではないか。

 そんな不安は、ずっと胸にあった。


 それでも、私は生きる方を選んだ。

 ルキウス様と距離を縮めることを、選んだ。


 ……けれど。


 どうやら、心配はいらなかったのかもしれない。

 やっぱり主人公同士、運命なのかも......!


 「お兄様もやるじゃない。顔だけはいいのに、なかなか婚約者を見つけないから心配してたのよ」


 「え!? 顔だけはってどういう意味だ!? お兄ちゃんは、案外モテるんだぞ」


 「冗談よ。上手くいったら、またお話し聞かせてちょうだいね」


 「ああ、リリーも殿下と仲良くしているみたいだし、安心だ」


 「......ふふ」


 そうして兄は去っていった。


 私は紅茶を口に含み、静かに息をつく。


 二人が、無事に巡り合えたこと。

 それだけは、素直に嬉しかった。


 ……ただ。


 ひとつだけ、引っかかっていることがある。


 ――セラフィナ・ヴァレンシュタイン。


 「ルキウス様と……婚約破棄を、してください」


 一体どうして、あんなことを言ったのか。

 確かに原作では私とルキウス様の婚約はなかった。


 でも、セラフィナと私とルキウス様が関わりを持っているわけでもないのだ。


 なのに......。


 「……私、リリアーナ様と……ずっとお話してみたかったのです」

 「……それでも、私にとっては……ずっとお会いしたい方だったのです」


 こんなことも言っていた。

 なぜ? あれは一体どういう意図が?


 胸の奥が、ひやりと冷える。


 もしかして、彼女も――転生者?



 でも、それならおかしい。

 ルキウス様が壊れていく理由を、知っているはずだ。

 彼を、最初から否定するはずがない。


 ……わからない。


 けれど。


 外から何を言われようと、関係ない。


 私は、ルキウス様と一緒にいると決めた。

 生きるためにも。


 それだけは、もう――変わらない。

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