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病弱令嬢は、死にたくないので闇堕ち王子を甘やかします!  作者: ゆにみ


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15/18

15、ヒロインとの対峙!?

 セラフィナと共にその場を離れようとした、その瞬間だった。


 ルキウス様が、私の耳元にそっと顔を寄せる。


 「……何かあったら、すぐに呼べ。体調が悪くなった時もだ」


 一拍、間を置いて。


 「――わかったな?」


 有無を言わせぬ低い声。

 けれど、その言葉には確かな気遣いが滲んでいた。


 胸の奥が、じんと温かくなる。


 私は思わず、ルキウス様の手をそっと握っていた。


 ほんの一瞬、彼の瞳が見開かれる。

 ――動揺したようにも見えた。


 「わかりました。ルキウス様」


 「……わかったなら、いい」


 短くそう告げると、彼は視線を逸らす。


 私は名残惜しさを振り切るように手を離し、セラフィナへ向き直った。


 「では、行きましょうか。セラフィナ様」 




 ***



 会場を離れ、王宮の外へ。

 噴水の水音が静かに響く庭園で、私たちは並んでベンチに腰掛けた。


 しばらく、沈黙。


 その静寂を破ったのは、セラフィナだった。


 「……私、リリアーナ様と……ずっとお話してみたかったのです」


 思いがけない言葉に、瞬きをする。

 

 「......私、ですか?」


 「はい。憧れ、と言いますか……とても個人的な感情です」


 彼女は少し困ったように微笑みながら、視線を伏せた。


 「私、身体が弱くて……社交界にもあまり出られませんでした。だから、目立つ存在ではないといいますか……」


 原作のヒロイン。

 けれど今、目の前にいる彼女は、どこか不安定で、繊細だ。


 原作では、リリアーナとセラフィナは出会わない。

 だから、彼女が私をどう思っていたのか――知る由もなかった。


 「……それでも、私にとっては……ずっとお会いしたい方だったのです」


 まるで告白のような言葉に、胸がくすぐったくなる。


 「それで……今回、ルキウス殿下との婚約のお話を耳にして……気づいたら、こちらへ向かっていました」


 これが嘘か本当かは知る由もない。

 でも、彼女が言うには、原作と違う行動を取ったのは、私とルキウス様の婚約がきっかけってこと......?


 ますますセラフィナの真意がわからない。


 「……初対面で、こんな話をするなんて……変ですよね。でも……」


 セラフィナは、ぎゅっと拳を握る。


 「……どうしても、伝えなければならないと思ったのです」


 真っ直ぐに向けられた視線。


 「今日……お二人の様子を見て、本当に仲が良いのだと……そう思いました」


 「……はい?」


 唐突な言葉に、戸惑う。


 そして――


 「でも……ダメです」


 「……え?」


 セラフィナは、意を決したような真剣な表情で、私の両手を掴んだ。



 「ルキウス殿下だけは......ダメなんです......!」


 「ど、どういう意味ですか……?」


 意味がわからなかった。

 突然の発言に、思考が一瞬止まる。


 「詳しいことは……まだ言えません。でも……」


 彼女の声が、震えた。


 「……こんなお願い、非常識だと分かっています。それでも……!」



 そして――


 「ルキウス様と……婚約破棄を、してください」


 言葉が、重く落ちる。



 いきなり、婚約破棄してくださいだなんて、なんだろうか。

 でも、この婚約は私とルキウス様を繋ぐ大事なものなのだ。

 他人にどうこう言われる筋合いはない。


 私は、セラフィナの手を振り払い、立ち上がる。


 「……セラフィナ様の真意は分かりかねますが」


 立ち上がり、真っ直ぐに告げる。


 「自分のことは……自分で決めます」


 「……リリアーナ様、でも――」


 「これ以上は、大丈夫です」


 言葉を重ねる。


 「でも……私に会いたかったと言ってくださったことは、嬉しかったですよ」


 セラフィナは、はっとしたように目を伏せた。


 「……いきなりすぎましたよね。申し訳ありません。反省します」


 「私こそ……強く言ってしまって、ごめんなさい」


 そう告げ、私は一礼する。


 「では……また、機会があれば」


 背を向け、会場へ戻ろうとした、その時だった。


 ――木の影で、衣擦れの音。


 反射的に身構える。


 けれど、姿を現したのは――


 ルキウス様だった。


 ……もしかして。


 聞かれて、いた?


 心臓が、嫌な音を立てて大きく脈打っていた。

セラフィナは何を考えているのでしょうね

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