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病弱令嬢は、死にたくないので闇堕ち王子を甘やかします!  作者: ゆにみ


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13/14

13、案外、君のことが気に入っているらしい

 (なっ……!?)


 ルキウス様の爆弾発言に、ただでさえ熱を帯びていた顔が、一気に燃え上がった気がした。


 ――もっと、試してみるか?


 その一言が、頭の中で何度も反芻される。


 そ、その……“もっと”って……?

 もう十分すぎるほど近いのに、それ以上なんて……いったい、何を――。


 (ええっ、も、もしかして......っ)


 考えれば考えるほど、思考は変な方向へ転がっていく。


 すると、ルキウス様の顔が、ゆっくりと近づいてきた。


 (え……まって……っ)


 反射的に、私はぎゅっと目を閉じていた。


 胸の鼓動が、うるさいくらいに響く。


 ――なのに。


 何も、起きない。


 ……あ、れ?


 恐る恐る目を開けると、そこには――

 口元を押さえ、必死に笑いを堪えるルキウス様の姿があった。


 肩が、微かに震えている。


 ……か、からかわれた……!


 そう思った瞬間、恥ずかしさが一気に込み上げた。


 「リリアーナ」


 落ち着いた声で名を呼ばれ、顔の熱が引くどころか、さらに熱くなる。


 「一体......何を、想像していたんだ?」


 「ル、ルキウス様……っ」


 わかっていて、聞いている。

 その確信が、私の羞恥心を容赦なく煽った。


 その視線は相変わらず穏やかなのに、どこか楽しそうで――

 

 「......わかっていて、聞いてますよね」


 「すまない。少し、揶揄いすぎたな」


 そう言いながらも、くつくつと笑うのをやめる気配はない。


 ……なのに。

 

 揶揄われて恥ずかしいはずなのに、嫌じゃない。

 それどころか、胸の奥がじんわりと温かくなる。


 ――原作での彼は、いつも孤独で、不器用で。

 こんなふうに、柔らかく笑う場面なんて、ほとんどなかった。

 

 「......もう、その笑顔に免じて、許してあげます」


 見上げるようにそう告げると、ルキウス様は一瞬だけ目を細めた。


 そして、私の髪を一房、指先ですくい上げる。


 距離が、詰まる。


 息が触れ合うほど近くて――

 時間が、ほんの一瞬、止まった気がした。


 次の瞬間。


 私が言葉を失うより早く、柔らかな感触が、髪に触れる。


 「……っ」


 唐突な仕草に、息を呑んだ。


 

 「俺は......案外、君のことが気に入っているらしい」


 その視線は、しっかりと私を捉えたまま。

 逃げ道を塞ぐような視線に――私は、目を逸らすことができなかった。



 「......そろそろ、戻ろうか」


 何事もなかったかのように差し出される手。


 「......はい」


 その手を取った瞬間、胸の鼓動が、また少し速くなった。



 ***



 

 落ち着かない心臓のまま、ルキウス様に手を引かれて会場へ戻る。


 そこには、待ち構えていた兄の姿があった。


 「リ、リリー! 心配したんだぞ!」


 「何よ、お兄様。大袈裟ね」


 「いつもみたいに休んでいただけだよな……? そ、その殿下と一緒だったから、もしかして……」


 兄は、明らかに言葉を濁している。


 「お兄様? どうしたの?」


 「い、いや……」


 すると、ルキウス様が一歩前に出て、兄に視線を合わせた。


 「シアン殿が心配するようなことは何もなかった。ただ、リリアーナを休ませていただけだ。安心して欲しい」


 「殿下がそういうなら……」


 ......どういう意味、なのかしら?


 でも、まあ。

 いつも通り癒しの力を使ってもらって、休んでいただけだし。

 何も後ろめたいことは――ない、はず。


 それはともかく。

 

 本来なら、五年後に王都へ来るはずの彼女が、なぜ今ここに?


 男主人公である兄とは、もう出会ったのかしら。


 

 「そういえばお兄様。パーティーでは誰かと話したの?」


 「いつも通り、知り合いに挨拶したり軽く会話したくらいだが……それがどうかしたか?」


 「いえ、その……女性と話したりは、なかったの?」


 「なんだリリー。お兄ちゃんのこと、心配してくれているのか? 」


 「もう!知らないわ!」


 なんだか気恥ずかしくなり、ルキウス様の手を引き、その場を離れた。


 ……兄とセラフィナは、まだ出会っていない?

 それとも、私が知らないだけ?


 原作と、違う。


 確実に、何かがズレている。


 その予感だけが、胸の奥に、静かに影を落としていた。

ルキウス様がデレはじめた……

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