嘘つき
君が嘘をついた
白を黒だと言いくるめ
一頭の蝶、羽ばたいて
僕の世界は打ち壊された
味方だった友までが
いまは去って帰らない
地獄の底を覗いて見たら
二十四色の色鉛筆を
心の缶に見つけたよ
僕もほんのり嘘をつく
自然色の淡い嘘
木々や草花大地に似せて
案外みんなは気づかない
ねえねえ
「あそこに郭公がいるよ!」
ほらほら
「あっちに告天子がいるよ!」
因習や言技を信じた嘘
ちょっぴり世界を豊かにする
時には恐怖の大王が
黒い爪で地表を引き裂き
「宇宙は我れの配下にあり!
お前たちに権利などなし!」
鋭利な眼で睨めつけて
どす黒い毒霧吐いては
世界に病をばら撒いて
地軸さえも震撼させる
それを知ってか知らずにか
道化が悪戯楽しむのは
いつの時代も変わらない
金と銀の嘘ふりまいて
みんなを笑顔にしてしまう
時々仮面が剥がれては
優しげな顔が覗いてる
だけど真を語れぬ悲哀
一粒の涙を零してる
人は誰でも
嘘を抱えて
生きている
金の涙に
銀の微笑
自然な装い
見え隠れする
悪魔の尻尾
時には雲が地を覆い
燦たる陽光遮るも
世界の地図は
七色に彩られ
虹のように艶やかで
人はみな
道化の子ども
夢見る小粋なトリックスター
悪気もなしに魔法をかける
いと誇り高き妖精たちも
いささかこれには困り顔
天で羽ばたく
真を愛する妖精たち
地で蠢いては
嘘に群がる人間たち
虹の女神様は天見て地を見て
「人間世界は健全です!」と
雷帝ゼウスに
伝令するとかしないとか