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87話 鋼鉄の獣

「そりゃあ、もちろん走ってく」

「バカタレ」


まさにgorilla。


「全力で走れば1日で着くだろ」

「おまえだけじゃ。凍矢もいるんじゃぞ」

「じゃ、抱きかかえて走る」


凍矢はそのワードで再びエロ妄想が捗ったという。


「いい加減に走るから離れんか。東京まではわしが作った乗り物で向かえい」

「……」

「なんで凍矢が残念そうな顔を見せるんじゃ」


ドクター・モモは凍矢の、えー? な顔を見て半分呆れた。


もう半分は計画が上手くいっている事にほくそ笑んでいる。


「(進行が早いが……十分な余力も残しておる。問題なかろうて)」


老科学者はトントン、と腰を叩き二人に付いて来るよう命じた。






そこはドッペルビルの最下層、地下2階。


「ここじゃ」

「壁じゃねぇか」


地下2階の最奥、その灰色のコンクリートを指し示すドクター・モモに桃吉郎は怪訝な表情を浮かべる。


「そう急くな。着いて来なさい」


そういうと、ドクター・モモの身体が壁にめり込み消える。


「ふぁっ!?」


桃吉郎は変な声を上げた。


「この壁は……映像か?」


流石に凍矢は冷静であり、この壁が何なのか察しがついたもよう。


彼女も老科学者に倣い、壁の中へと進入した。


「壊して入っていい?」

「さっさと来い。なんで、こういう時だけ慎重なんだ」


桃吉郎は凍矢に引っ張られて渋々、中へと進んだ。


gorilla脳はいまだ解明されていない部分があるから仕方がない。


暫し、灰色の空間を進む。


すると、視界が晴れて目の前にエレベーターらしきものが見えた。


「ここから更に下じゃ」

「随分と用心深いですね」

「まぁの。バレたら、わしであっても殺されかねん」


エレベーターのボタンを押しドアを開ける。


内部に入ると淀んだ空気が三人を出迎えた。


老科学者が淡々とボタン操作を行う。


ボタンは階層選択ではなく、パスワード入力画面であったもよう。


正しいパスワードを入力しないと動かない仕組みであるようだ。


やがて、エレベーターは作動し、三人は下層へと下ってゆく感覚を覚える。


「随分と下に行きますね」


凍矢の問いにドクター・モモは答えた。


「地下30階じゃからの」

「用心深いにも程がある」


やがて、三人は目的地にたどり着く。


そこでは無数の蜘蛛型工作ロボットが動き回り、何かを整備している様子が窺えた。


「こ、これは……」

「ふふん、驚いたか? これは獣型自動車ビーストじゃ」


凍矢は驚愕した。


それは大小の男の子の憧れゾ○ドそのものだったからだ。


タイプは狼。


シュッとしたスタイリッシュな姿はため息が出るほどに格好良い。


コ○ンドウルフ脳内再生余裕でした。


「○イドじゃねぇか」

「まぁ、ぶっちゃければそうじゃ。わしのは意志を持たせることが出来んかったがの」


桃吉郎はぶっちゃけた。


ドクター・モモもぶっちゃけた。


「おまえさん方には、こいつで東京にまで行ってもらう」

「操縦はどうするんですか? 僕も桃吉郎も運転なんてできませんよ?」


桃吉郎、凍矢、共々、運動神経はいいが操縦は大変に下手くそである。


「やっほー。そこは私が操縦するから安心して」

「か、輝夜っ!?」


頭部のハッチが開き、運転席から乗り出したのはまさかの影月・輝夜であった。


彼女も桃吉郎、凍矢同様にコンバットスーツを着用している。


しかし、彼女は凍矢とは違い、首に赤いマフラーを巻いているのみであった。


つまり、輝夜のナイスバディが見放題である。


「なんで輝夜がここにいるんだよ?」

「それは私がこの子の正規パイロットだからですっ、ふっふーん」


ドヤ顔を炸裂させる姫カット様。


何を隠そう、輝夜はドクター・モモの計画の全てを理解している。


その果てに何が待っているかを知っているのだ。


だからこそ、今を思いっきり楽しむことを優先している。


これから起こる過酷な時代を乗り切るために。


「さぁさぁ、二人とも。私のウルフちゃんに乗りなさいな」

「くそ爺、輝夜を巻き込むなよな」


悪態を吐きながらも桃吉郎はウルフちゃんに乗り込んだ。


一っ飛びで、だ。


ちなみに、ウルフちゃんのコクピットはしゃがんだ状態でも3メートル近くある。


「ったく……」


やはり、凍矢も一っ飛びでコクピットに乗り込んだ。


尻はでかいが鈍重ではない。


「それじゃあ、博士、行ってきまーす」

「おう、気を付けて行くんじゃよ、輝夜」


孫と祖父のような会話を交わし、輝夜はコクピットハッチを閉じた。


暗闇がコクピット内を満たすも、それは一瞬の出来事。


直ちに光に満たされ、周囲の様子が窺えるようになったではないか。


「うをっ!? なんだこりゃっ!?」

「全方位モニター?」

「そうそう、凍矢君の言う通りだよ。凄いよねぇ」


それは、コクピットの全ての壁がモニターという規格外の機能。


前後左右、真上はもちろん、真下ですら映像が投影されているではないか。


「なんだか宙に浮かびっぱなしで落ち着かないな」

「桃吉郎は地面に足を付けていてなんぼ、なところがあるもんね」


輝夜はくすくすと上品な笑い方をする。


凍矢はなるほど、と感心した。


「(こうか?)」


凍矢、隠れて実践。


「何してんだ、凍矢? きもい」

「ふんっ」

「もんごりあんっ!?」


しかし、桃吉郎にバレた上でキモいと言われ逆上。


怒りの肘鉄をgorillaの脇腹に突き立てる。


「仲良いわね、相変わらず」

「「良くないっ」」


やはり、クスクスと笑う。


輝夜はそんな二人が大好きだった。


彼女は鋼鉄の獣を立ち上がらせる。


重厚な駆動音と共に視界が高くなった。


「高いなっ!?」

「立ち上がると6メートルくらいあるんだって。でも、直ぐに慣れるわよ」


ウルフちゃんを地上へと送り出すリフトへと乗せる。


操縦し慣れているのか、実に滑らかな動きだ。


「リフト接続……オールグリーン。射出、願います」

『了解じゃ。発進どうぞ」

ABアナザーブレイカー-ウルフ、行きますっ」


それはリフトというよりかはカタパルト。


物凄い速度で物体を射出するそれ。


「おいおい、楽しくなってきたじゃねぇか」

「ねー?」

「ねー、じゃないっ! 大丈夫なのかっ!?」


桃吉郎、輝夜、凍矢、の感想である。


やはりというか、凍矢はあくまで常識人枠に留まるもよう。


やがて、鋼鉄の獣は地上へと射出された。


しかし、それに張り付く謎の影。


「ふっふっふっ……この見張から逃れることが出来るとお思いですか?」


なんと、ウルフちゃんの尻尾にしがみ付いているのはド変態見張・益代であった。


どうやって、鋼鉄の獣に張り付いたのであろうか。


答えは簡単だ。


彼女は同士とうやの変態オーラを察知し地上へ移動。


そこから走って気配を追いかけ、高速で放たれた獣の尻尾に跳躍ししがみ付いたのである。


この娘、メンタルも異常だが、フィジカルも異常である。


こうして、三人と変態一名は一路、東京を目指す。


そこでは、それぞれの運命が待ち構えているだろう。


はたして、桃吉郎たちは無事に目的を足することが出来るのであろうか。


カギを握るのはやはり、桃吉郎の携える妖刀と、凍矢の神銃であろう。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マスヨちゃんの人気が急上昇! いや元々低い位置からだったからこれでようやく一般人レベルになったくらいだな だが嫌いじゃないぞ! [気になる点] コウサクン!コウサクンじゃないか‼︎ ゑ?違…
[一言] ZOIDSだ! 桃吉郎「ゴ○ュラスか ア○アンコングは無いのか!」 凍矢「ライガー系は!?」 輝夜「男の子だね…」 Dr.「版権の問題で無理じゃ…」
[一言] 益代…お前本当に人間か…?
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