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85話 戸惑いと性欲の狭間で変態は踊る

ドッペルドール操縦室にて木花・桃吉郎は目覚める。


う~ん、と体を解しながら隣の相棒の様子を窺った。


そして違和感に気付く。


妙に艶めかしいな、と。


だが、その違和感は元彼の覚醒で霧散した。


「うん……はふぅ」

「妙な声を出すなよ」

「うるさい。覚醒後はなんかこう……身体が火照るというか」

「鍛え方が足りぬっ!」

「僕はデリケートなんだ」


凍矢は長い髪をかき上げ、むすっ、とした表情を見せる。


やはり、桃吉郎はそれに違和感を感じた。


色気が段違いだ、と。


「おまえ、何か変わったか?」

「―――――っ」


桃吉郎の問いに、凍矢の心音が高まる。


拙い、気付かれたか、と。


「な、何も変わっていない」

「そうかぁ?」


ぬうっ、と上から顔を覗き込まれる。


それは、いつものやり取りであり、桃吉郎、凍矢ともに気にするような行為ではなかったはずだ。


数日ほど前だったなら。


「(ち、近いっ)」


桃吉郎はgorillaであるが、決して不細工というわけではない。


だが、爽やかイケメン、ではなく。


いうなれば男前。


圧倒的な【男】を前面に押し出すタイプだ。


その鍛え上げられた肉体に相応しい面構えは、【女】を意識し始めている凍矢には強烈過ぎる。


内なる【女】を通り越して【雌】が、遺伝子を確保せよ、とブレイクダンスを炸裂させ始めているではないか。


このまま欲望に従えば、この場は阿鼻叫喚地獄並みの濡れ場と化すであろう。


この両者は体力お化けなので延々と盛るに決まっている。


「なにやっとんじゃ、おまえら」

「んを? おう、クソ爺」


ここで凍矢に助け舟を出したのはドクター・モモだ。


彼は凍矢の身体を色々と確認しているので、彼から彼女に完全変態したのを理解している。


尚、凍矢はまだ誰にも正体がバレていないと思っているもよう。


「じゃ、ちょっくら、東京に行ってくるわ」

「待て待て、準備が必要じゃ」


しゅたっ、と手を上げてその場を去ろうとするgorillaを慌てて止める。


「なんだよ。サクッと行って、サクッと終わらせてくるんだから、準備なんていらないだろ」

「おまえさんなら、それも可能じゃろうが、それでも保険は必要じゃよ」

「心配性な爺だな」


腕を組み、ため息を漏らす。


それでも桃吉郎は嫌々ながらもドクター・モモの言うことを聞く構えだ。


「わしのラボに完成した【コンバットスーツ】がある。それに着替えてから出発せい」

「おう、格好良い響きじゃねぇか」

「性能も格好良いぞい」


それを耳にした凍矢はドクター・モモに問うた。


「ドクター・モモ、それは体にフィットするタイプなのか?」

「うん? そうじゃよ」


拙い―――凍矢は窮地に立たされた気がした。


確かに身体のラインが浮き彫りになれば様々な不具合が発生するだろう。


凍矢はトーヤとは違い、色々と肉付きが良いのだ。


尻はもちろん、胸も秒単位で成長中である。


今はさらしで誤魔化しているが本来ならブラが必要なくらいにはあるのだ。


「ちゃんと保温機能もあるぞい。コンバットスーツを着ていれば北極でも寒さを感じん」

「マジか」

「マジじゃ」


桃吉郎はコンバットスーツの着用に乗り気だ。


こいつは全裸に近付くほどに戦闘能力が向上する変態である。


なので全裸に近いコンバットスーツとは相性が良い。


「(勘弁してくれ)」


凍矢はコクピット傍にあるテーブルから自分の眼鏡を手にして着用した。


ぼやけていた世界がハッキリとする。


するとやはり、目につくのは桃吉郎の逞しい肉体だ。


「(こうしてみると……やはり、こいつの造形は芸術だな)」


桃吉郎は筋肉デブではなく、恐ろしいほどに引き締まった筋肉である。


その全てが機能性に富んでおり、無駄な部分など一欠けらもない。


膨張した筋肉アクセサリーではなく、超高密度に圧縮された筋肉。


それが桃吉郎の肉体なのだ。


もちろん、消化器官や生殖機能も異常なレベル。


何でも消化するし、誰でも一発で妊娠させる。


残念な部分は脳みそ。


これだけは、どうにもならなかったもよう。


「ほれほれ、さっさとラボに行くぞい」

「おう。凍矢も行くぞ」

「わ、分かった」


凍矢は立ち上がり、しかし、違和感を覚える。


「その前にトイレに行ってくる」

「ウンコか?」

「違うっ!」


凍矢は顔を真っ赤にさせながら、ウンコを否定。


実際はもっとヤッヴェ状態を解消しなくてはならなかった。


股間が、ぬるぬるのぬっぽりじょん状態なのだ。


こう見えて凍矢はかなりのむっつりだ。


やろうと思えば想像だけで妊娠できるだろう。


凍矢は急いでトイレに駆け込んだ。


男子トイレの個室に入り、ズボンを下げ―――。






暫くお待ちください。






「ふぅ――――――」


賢者の顔つきになった凍矢は個室から出た。


そして、完全に心を殺し手を洗う。


ちょっぴり声を漏らしたが、幸いなことに誰もいなかった。


とでも思ったのか? そんなんじゃ甘いよ?


「ふっふっふ……やはり私の目に狂いはありませんでした」


なんと凍矢の秘密の行為の一部始終を見届けた者がいたのだ。


それは天井に張り付く変態。


見張・益代である。


「男装の麗人にして相棒をおかずにオ○ニーっ! 内容は恐らく、秘密がバレて押し倒されからのレイプっ! 妊娠セ○クスからの公開凌辱出産! いい! 実にマーヴェラス! 私は遂に同士を見つけたのかもしれません!」


こいつは本物である。


なので凍矢を同類に見ないであげてほしい。


そして、堂々と男子トイレに侵入するな。


「それでは、私も、ちゃちゃっとオ○ニーしていきましょう。今、ここでっ!」


見張は個室に入り、ドアを【開けたまま】おっぱじめた。


こいつはもう駄目だ。


早くなんとかしてくれ。


もちろん、こいつの痴態を見ても野郎どもは逆に、ひゅん、となって見なかったことにしたもよう。


そりゃあ、誰も関わりたくないわな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分より変態をみると 1)冷静になる 2)負けてなるものか!と変態を暴走させる トーヤはどっちだろう? 珍獣はたぶん後者
[一言] うわ! ヘンタイに目をつけられた!
[一言] ドアを開きながら意識を上に落とす変態(悪魔城並の表現)
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