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64話 アナザー

「アナザーは異世界人と言ったが正確には、同次元の別惑星からやって来た侵略者、というのが正しい」

「侵略者、ですか?」

「左様。奴らは【隕石型の宇宙船】に乗って、安住の地を探しておった」

「……詳しいですね」


凍矢はドクター・モモに疑問を抱く。


このような情報は今まで公表された事が無いからだ。


もしかしなくてもトップシークレットであることは間違いない情報。


これを聞かせているという時点で、誰一人としてドロップアウトさせる気が無い、という意思表明だろう。


だが、これら以外にも彼は知り過ぎていた。


一介の科学者が所持する情報量ではない。


「そりゃあ、そうじゃろう。向こうに協力者がおるんじゃから」

「なっ!?」


衝撃的な事実がまたしても発覚。


この老科学者はサラッと機密を暴露した。


「ほれ、おまえら。羊蹄山で耳の長い娘に出会ったじゃろう? その娘がそうじゃよ」

「あれが異世界人の姿、と?」

「そうじゃ。耳以外はわしらと変わらんじゃろ?」

「はい」


凍矢の答えに、ドクター・モモは「ふふん」と口角を上げた。


「あれはな、擬態じゃよ」

「え?」

「わしらが使うドッペルドール……それが、あれじゃ。本来の姿は全く別もんじゃよ」


ここでドッペルドールの名が出た。


そこで桃吉郎を除く三人が出した答えは同じ物であった。


代表してジャックが答えを言う。


「まさか……ドッペルドールの技術の元ネタって」

「うむ。アナザーの技術をの、わしがパクったんじゃよ」

「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」


「そんな事よりもラーメン食べたい」

「桃吉郎は黙ってような」


桃吉郎は、この状態でも平常運転だ。


しかし、凍矢に窘められてションボリした。


今は拗ねてトウキのカプセルをペシペシ叩いている。


「壊すでないぞ。こほん……アナザーの本体の外見はそうじゃな……バカでかいトカゲ、といった感じじゃな」

「ト、トカゲ、ですか?」

「うむ。それに蝙蝠の羽が付いておるの」


桃吉郎を除く三人はドクター・モモの情報を基にアナザーの本来の姿を想像した。


どう考えても可愛らしいものにはならない。


というか、もしかしなくともアレだ。


「「「ドラゴンじゃねぇかっ!」」」

「ご名答。その通りじゃ。アナザーは、侵略者はドラゴンという名の化物じゃ」


まさに、異世界ファンタジーが地球に侵略してきた件について、という題名がしっくりくるであろう。


今、地球が置かれている状況はこれである。


「連中は母星を失ったんじゃよ。エティルが言うには巨大な隕石の衝突が原因だったらしい」

「巨大隕石が?」

「うむ。それでの、その砕けた星を改造して宇宙船にしたらしいぞい」


ジャックはその話を聞いてピンときた。


「地球に落ちた七つの隕石って……」

「そうじゃよ。連中の母星だった物じゃ。そして、それは……」


地球を侵食している。


ドクター・モモは言う。


近い将来、地球はアナザーの母星と化すだろう。


それを止める事は出来ない、と。


「そんな無茶苦茶があっていいのかよっ!?」


ジャックは憤った。


だがドクター・モモは彼を諭す。


「冷静になれい、ジャック。これも地球に起こる事象の一つに過ぎん」

「だが……!」

「かつて起こった地球の寒冷化。地震による地殻変動。火山の噴火。それらに適応できなかった生物は絶滅し、適応した生物は生き残った。そうじゃろうが」


一瞬の沈黙。


そして、ぺちぺち、という音。


ごん、という音がして桃吉郎が、びょくっ、とした。


「トウキが怒って内からカプセル殴ったぞっ!?」

「おまえが構い過ぎるからじゃろ」

「お、おうっ」


ドクター・モモは咳ばらいをし話を続ける。


「今回もそうじゃ。異世界となった地球に適応し人類は生き続ける。今この状況に適応できなければ絶滅する。それだけじゃ」

「でも、こんな理不尽ってないわ」


デューイは両腕を抱きしめた。


不安から来る震えに耐えられないかのように。


「この世の八割は理不尽で構築されているんじゃ。そんな弱気では生き残れんぞい」

「達観してんわね、このジジイ」

「かっかっかっ、伊達に歳は取っておらんよ」


腕を抱きしめながらデューイは不満をドクター・モモにぶつける。


しかし、彼はサラリとそれを受け流した。


その間にも桃吉郎はトウキのカプセルに悪戯を続ける。


するとカプセルが突然開き。


ずびしっ。


「目がっ! 目がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


ぱたん。


それ以降、桃吉郎は大人しくなった。


今は隅っこで蹲っている。


「何をしとんじゃ、おまえは?」

「だって、話がつまんないんだもん」

「子供か」


これには流石のドクター・モモも呆れたという。


「いや、それよりも今、トウキちゃんが勝手に動いてなかったか?」

「気のせいじゃ」

「え?」

「気のせいじゃ」

「あっはい」


ジャックはドクター・モモの圧に屈した。


本能的に、これ以上はいけない、と悟ったのである。


「ったく、話の腰を折るでないわい。とにかくじゃ、地球の異世界化は止められん。であるなら適応し、【今の地球人】になるより他にないんじゃ」

「どういうことだよ?」

「アナザーの力をそっくりそのまま頂く。これがわしの野望じゃよ」


くっくっくっ、と黒い笑みを見せる老科学者に狂気を見た三人。


桃吉郎はそれに欠伸で返した。


こいつはホンマに。


「地球人が異世界化する地球に適応するにはこれ以外になかろう。姿はそのままに、力だけをそっくりいただく。そのためのプロジェクト・ドッペルゲンガーじゃ」

「え、エゲツねぇ事考えるな、この爺さん」

「向こうは侵略者じゃ。どこに情けを掛ける必要がある? のう、ジャックよ」


ジャックは答えは言わず、肩を竦める事で返事とした。


「じゃが、この事はまだ言うなよ? 色々と先手を打っておきたいからのう」

「利権とか、そういう問題か?」

「それもある。じゃが……俗物どもを黙らせるのは、いつの世だって力じゃよ」


過ぎる力を悪用させないために、それを上回る力を手に入れたい。


ドクター・モモはそう言っているのだ、とここにいる三人は解釈しただろう。


「その力っていうのは腕力か?」

「桃吉郎」

「なんだよ?」

「わしの答えはいつだって、おまえの中にある。この言葉を覚えておけい」

「んだよ、キモいな」

「ふふん。そうそう、おまえさん、ラーメンが食いたいって言っておったな?」


ドクター・モモは語る。


この北海道の地に【極上のラーメン】が流れる滝があると。


「マジかっ!?」

「マジじゃっ!!」


迫真の集中線。


「これはわしからの依頼じゃ。わしをそこに連れてっておくれ」

「え~? クソ爺も来るのかよ」

「わしだってラーメン食べたい」


日本人は麵が大好きだからね、仕方がないね。


「ま、いいか。俺ものびたラーメンは食いたくないもんな」

「たすかるぅ」


こうして、桃吉郎たちは新たなる冒険へと旅立つ。


今回は珍客も同行することになるが、果たして彼らは無事にラーメンをゲットすることはできるのであろうか。


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― 新着の感想 ―
[一言] 異星からの侵略者…ラ〇ダーじゃなくてウル〇ラマンタスケテ!
[一言] 壮大な裏話からラーメンを食べに行く 桃吉郎「そこでは何ラーメンが喰える?」 Dr.「ブロッケン麺が美味しいとな…」 凍矢「制作費が高いドールを使う気か!?」 Dr.「その為のドールじゃ」
[一言] なんか・・・ あの「エ」のつく女性に思えてくるんですけど・・・
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