114話 漁
CN国に向かう戦艦イズルヒ。
現在は海に着水し、本来の船の姿を披露していた。
やはり、空中を航行するのは目立つ、という理由だろう。
全ての機能が完全に整うまでは、なるべくアナザーたちに発見されたくない、というのが実情である。
「いい天気だな」
「いいてんきー!」
甲板にて、木花兄妹が晴天の空を見上げ満面の笑みを浮かべる。
その隣には、凍矢姉妹の姿。
彼女たちは、いそいそとビーチパラソルを設置していた。
果たして日光浴か何かか。
それを予期させるかのように木花兄妹は水着姿だ。
「敵の姿は見えず……か」
「……みえないね、ねーさま」
一見、順調な航行だがやはりそこには問題が付き纏う。
というか、これはある人物が乗船している限りずっと発生するものなのだが。
「おっしゃ。海産物、ゲットしてくるぜ」
「にーちゃ。おいしいもの、いっぱいな?」
「おう、日本酒が進むぜっ!」
「とうきも、また、のみたーい!」
トウキは桃吉郎がパイロットをしていた際は、しこたま日本酒を飲んでいた。
今は様々な理由で飲酒を禁止されているのだが、どうやら、それもそろそろ我慢できない状況に来ているようで。
「う~ん、御木本の旦那が許してくれるかどうか」
「おししょー、こわいな?」
「怖いな」
桃吉郎、トウキ共に水着姿であるのは、素潜りによる食材獲得を狙っているからだろう。
というのは建前であり、本当は全裸で潜るのを凍矢姉妹が止めたのが真実である。
桃吉郎、トウキ共にピンク色の水着を着用。
特にトウキははち切れんばかりの肉で全裸よりも逆にエロい状態だ。
柔らかな肉に食い込む紐がデンジャー、エロスをアトミックエクスプロージョンさせる。
尚、凍矢は体型を隠せるシーツにコートというクソ暑い見た目になっている。
だが、その中にドクター・モモ特製のボディスーツを着ているので、暑さは無効となっていた。
トーヤの方は普通にスクール水着を着ている。
ペタン娘なので、とても尻が強調されて見える。
「まぁ、いいや。行ってくる」
「あぁ、大漁を期待している。それと、無線機はしっかり装着しているな?」
「おう、このイヤホンだろ?」
桃吉郎は右耳を指差した。
そこには小さな黒いイヤホンが装着されているではないか。
これはドクター・モモが開発した小型の無線機である。
これを装着すると【念話】のような情報交換技術が使用可能となるのだ。
「それならいい。何かあったらそれを使って連絡してくれ」
『わかった』
「今やらなくても良い」
「へ~い」
念話は脳に直接声が響く感覚であり、凍矢は背筋がぞわわっとした感覚に思わず「あんっ♡」とという嬌声を漏らしそうになったとか。
「行くぞ、トウキ」
「よっしゃー」
木花兄妹が甲板から直接、海に飛び込んだ。
そのあまりの豪快さに凍矢は溜息を吐く。
「ま、何も問題は無いとは思うが」
「……きっと、だいじょうぶ」
凍矢姉妹は束の間の休息を堪能しつつ、ビーチパラソルの下で愛銃の点検作業に入った。
海中にはアナザーの影響を受けて変異してしまった魚介類の楽園であった。
最早、おまえ生物かと疑ってしまう連中もうようよ居る。
『つかまえたー』
トウキが早速、無線機を使って兄に成果を披露する。
『なんだそれ?』
『わかんなーい!』
トウキが捕まえたのはカップヌードルの姿をした魚【シーフードウオヌードル】である。
こいつはカップヌードルの容器に魚の顔とヒレ、尾びれがくっついたかなりふざけた外観を持っている。
食べれる部分は胴体のみ。
そこ以外を切り離し、普通のカップヌードルの姿に戻してやると、普通のカップヌードルとして機能するようになる。
味はもちろんシーフードだ。
DLは0。
ちなみに、こいつが沢山エサを獲得していた場合、中のかやくがちょっぴり豪華になるもよう。
『ま、一応、ゲットしておくか』
『おうっ』
桃吉郎たちはまず、シーフードウオヌードルを狩り始めた。
もちろん、素手でだ。
確保した食材はトウキが手にしている網の中へと放り込む。
『にーちゃ、いっぱいになった』
『よし、息継ぎついでに上に上がるか』
こうして、網一杯に奇妙な魚?を確保した木花兄弟がイズルヒに戻る。
「うん? 早いな」
「あぁ、網がパンパンになったからだ」
その中には大量のシーフードウオヌードルの姿。
「なぁ、これは食べ物か? それとも魚か?」
「知らん。輝夜に見せれば無理矢理にでも料理にしてくれるさ」
「おまえの輝夜に対しての信頼感はなんだ」
凍矢は、ぴちぴち、と飛び跳ねるシーフードウオヌードルにドン引きだ。
トーヤもビームスナイパーライフルの先端でシーフードウオヌードルをツンツン突いている。
どうやら、かなり警戒しているもよう。
「次だ、次!」
「こんどは、もっと、おいしそうなの!」
そう雄叫びを上げて再び海の中へ。
元気があり余っている兄妹の次の獲物は果たして。
先ほどは比較的に浅い場所での狩りとなった。
しかし今度はもっと深い位置に移動するもよう。
そこは太陽光が届きにくくなるだろう。
しかし、この兄妹は変態なので暗くても昼間のように見ることが出来る眼球を持っている。
断っておくが、こいつらは改造手術などは一切行っていない。
生まれながらの変態であるのだ。
『きらきらおさかなー!』
『おぉ、なんだこいつ? 美味いのか?」
トウキが発見した魚は七色に輝く鱗を持つ魚【レインボール】だ。
こいつはフグの仲間であり、威嚇のために身体を膨らませる。
その際に鱗で七色に輝くため、レインボーなボール、レインボールと名付けられた。
食べても絶品であるが、美しい鱗を持つため観賞用としても人気がある。
『掴まえた』
『ふくらんだー!』
レインボールはぷくーっと膨らんで精一杯抵抗したが、この兄妹に対しては何の意味も無い。
きっと輝夜の手によって美味しい料理へと進化を果たすであろう。
今日はふぐ刺しだな(暗黒微笑)。
『他には……あれなんかいいな』
『でけぇ!』
桃吉郎が指差す方角には巨大なサメの姿があった。




