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106話 自分じゃない自分

ドクター・モモがドアの隣にあるパネルに手をかざす。


すると、ピピッ、という音と共にロックが外れ、自動で扉が左右に割れて行った。


「入りなさい」


老科学者の指示に従い中に入る、とそこには透明のカプセルに収容された複数の人間の姿。


いずれも全裸である。


「ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? 見るなっ!」


慌ててカプセルに飛びつくデューイ。


理由としては、それが本体である四国美保であるからだ。


「俺の身体もあるな」

「俺のもだ……って御木本の旦那の身体は?」


ジャックとモヒ・カーンは自分の本体のカプセルの傍に行き、しかし、一つ足りない事に気付いた。


そう、御木本の分が足りないのだ。


「私はドッペルドールではない」

「は?」

「旭川に左遷された時にドッペルドールは破棄した。内部に盗聴器を仕込まれていたからな」

「つ、つまり、ずっと本体だったってことか!?」

「うむ」


モヒ・カーンは驚愕した。


生身で猛獣とやり合える人間がいたことに。


だが、彼は桃吉郎という規格外をまだ知らないのだ。


後日、自分の常識が覆りまくり、悟りの領域に達するのだが、それはまた別のお話である。


「そこまでするか、本部は」

「凍矢君、知っての通り、本部はもう当てにはできない。寧ろ、敵側だと思った方が良い」

「そうですね」


あんまりな対応に憤る凍矢だが、ここでふと気づく。


「こいつにも盗聴器が埋め込まれているのでは?」


見張を指し示し危機感を募らせる。


「あ、大丈夫です。オナったら出てきましたので捨てました」

「もっとオブラートに包め」


どうやら見張の女性器内に盗聴器を仕込んでいたもよう。


それも本人には無断でだ。


まさに鬼畜の所業であるが、見張は一切気にしてない。


寧ろ、興奮したもよう。


惜しむらくは、どのような凌辱をされたか分からない事に憤りを覚えている。


実際は病気が移るのを恐れて盗聴器を埋め込んだだけであるのだが、それを知る者は殆どいない。


そして、仕込んだ者もワンチャンス、役に立てば良い程度の期待だったので、今は仕込んだことも忘れているだろう。


見張を遠ざけることが出来ればどうでもよかったのである。


「膜の中心に穴が開いてるんですが、まだ処女ですよ!」

「その情報はいらないかな」

「さぁさぁ! ブチっと破りたい方! ウェルカムです!」


だが、見張りの容姿は少年そのものであり、起つ物も起たない有様。


これに全員がNOを示し、見張は屈辱でヘブン状態に至った。


無敵か、こいつ。


「問題に戻すぞい」

「というか、せめてシーツか何かで隠してっ!」

「めんどい」

「このくそ爺」


デューイは情けない格好でカプセルに張り付いたままで話を聞くことになった。


「今後は、ここがコクピットになることになるぞい。また、ドッペルドールの装備設備もここじゃ」

「つまり、俺たちの今後の活動の場は、ここってわけか」

「左様」


ジャックは自分の本体のカプセルに腰掛け、静かに息をするそれを見た。


「(やっぱ不思議な感覚だな)」


自分が二人いる。


だが、本物はあくまで眠りに就いている方であり、ジャックは偽者の自分なのだ。


彼はそう結論付ける。


いや、結論付けるというよりかは自分に言い聞かせる、というのが正しい。


ジャックはあくまで仮初の自分であり、本体よりも重きを置いてはいけないのだ。


「ここではドッペルドールの生産もできるんですか?」

「材料さえあればの」


寅吉君の問いに、ドクター・モモは条件付きという回答を述べる。


これは誰しもが納得する回答であった。


「じゃがその材料というのが問題での。現時点で都合【5体】分しかないんじゃよ」

「なんだよ、準備悪いなぁ」

「喧しい。これでも無理して集めたんじゃぞ」


ドクター・モモは桃吉郎に憤慨した。


ドッペルドールの生成にはパイロットの遺伝情報の他に【コピライト】という鉱石が必要だった。


これがドッペルドールの核となり、地球人を超える能力を持つ肉人形を生成することが出来る。


このコピライトは元来、地球には無いものだ。


異世界からもたらされた未知の鉱石はドクター・モモたち科学者によって解析、研究され実用化に至った。


しかし、コピライトは圧倒的に数が少ない。


採掘されても、その殆どは本部に回収される。


無論、回収には手段を選ばない。


そんな中でドクター・モモはコピライトを五つも着服していたのだ。


彼に偽造書を書かせたら右に出る者はいないであろう。


「こいつを計画的に使わんといかん」


ドクター・モモは小さな箱を手にし、中から一つ、七色に輝く鉱石を摘まみ上げた。


見た目はダイヤモンドであるが、ほんのり紫色に染まっている。


「あら、綺麗ね」

「宝石としての価値もあるからのう」


だが、今の時代に宝石の需要はほぼ無いに等しい。


宝石よりも食料の方が価値が高いのだ。


「チームオーガの連中はドッペルドールが無いから優先するとして、のこり1個か」

「よく考えて使う方が良い。何もドッペルドールが無い者に優先する必要はない」


桃吉郎と凍矢の意見が割れた。


「え~? 戦いは数だろ」

「それは同じような能力を持つ者同士が戦う場合だ。僕たちは一騎当千で大軍勢と戦う必要がある。それならば、能力が低い者を戦場に出す理由が無い」

「留守番は暇だろ」

「暇などさせはしないさ。仕事は幾らでもある」


ぐぬぬ、と言い負かされた桃吉郎は悔しさの余り奇妙なポージングを披露している。


gorillaも極限の馬鹿ではないため、凍矢の言うことを理解しているのだ。


ぶっちゃけ、桃吉郎が大暴れする、とだいたいの敵は沈黙するのだが。


「それなら私はパス」


真っ先にリタイア宣言をしたのは金林だった。


「私は戦闘系じゃないからね。ブリッジクルーが妥当さ」


金林の言うことはもっともであり、彼女の言う通り天職ともいえるポジションである。


「僕は戦いたいです。本部にやられっぱなしというのは癪ですから」

「私もっ」

「もちろん私もさ」


ドッペルドールを所望したのは寅吉君と熊谷、明星だ。


この三人は戦闘経験が豊富でDAドッペルエースにも後れを取らないだろう。


「とはいえ……再生成したドッペルドールでは」


問題は初期化したドッペルドールでどこまでやれるかだ。


チームオーガの強さは初めから備わっていた物ではなく、地道な鍛錬によって獲得したもの。


つまり、地に足が着いた安定感そのものであった。


「わしがちょちょいと手を加えてやるわい」

「「「うわぁ……」」」

「なんじゃい、その不服そうな顔は」


チームオーガの面々は物凄く嫌な顔をしたという。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今回はちょいとコメントしづらい内容だったが まぁいつもの事なので平常運転 [気になる点] ふと、Twitterでウォンバットの必殺技がヒップアタックだと言う事を知った ?「ハックステッポウ…
[一言] マッドサイエンティストだなぁ…
[一言] ドクターモモは故あれば「そうか!頭の中に爆弾が!」してくる科学者だと解られてますねクォレは…
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