表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/163

1話 ドッペルドール

あけましておめでとうございます。


なっとうごはんからのお年玉です(ささやき)。

今から近い未来、それとも遠い未来―――――地球は変貌した。


それは宇宙より飛来した七つの隕石のせいだ。


それは七つの地域に落下し、そこの国に壊滅的な損害を与えた。


それは人類が経験した事が無い脅威だ。


隕石は奇天烈怪奇な猛獣を吐き出し、周囲の自然環境を変化させた。


変化というよりかは浸食。

浸食というよりかは改編。


とにかく地上はかつての地球生命体の楽園ではなくなった。

人類は地下に、空に、宇宙にへと逃れた。


それから十年。

変わり果てた地上を取り戻すべく、一つのプロジェクトが立ち上がる。


【プロジェクト・ドッペルゲンガー】


地上で活動するためのクローンを製造、運用する、という狂気の計画。

通常時であれば倫理に引っ掛かるとして廃案になるはずのそれは、人類の絶滅の危機に際しては罷り通ることになる。


人類は追いやられた先で食糧難に陥り、多くの餓死者を出す形となった。

そこでは食料を生産するには困難な土地や環境であったからだ。


頼みの綱は脱出の際に持ち出した保存食。

缶詰やペットボトルといったもの。


しかし、それとて限りがある。

多くの難民を抱えた集落コロニーは早々に食糧難によって自滅していった。


だからこそ、彼らは狂気の計画に頼らざるを得なかった。

己の分身を改造、強化し、地上に向かわせ、食料を確保し持ち帰らせる。

或いは猛獣を討伐し、食料に変える。


全ては人類が生き残るための計画だった。











【日本国・札幌市すすきの地下シェルター】


地下深くに建造された人類の居住区。

そこでは約千五百名程度の人類が息を潜めながら暮らしていた。


ただし、極一部は全く息を潜める、という考えはなく。


「おう、トウヤ! ひと狩り行こうぜ!」

「朝っぱらからうるさい。少しは加減というものを覚えろ、桃吉郎」


大声を上げた無察苦しい巨漢は木花このはな桃吉郎とうきちろうという。

黒髪、黒い瞳の純日本人である。


そんな彼に呆れかえるのは知的な眼鏡を掛ける色男、東方ひがしかた凍矢とうやだ。

ほっそりとした長身の男性であるが、実のところ細マッチョである。

したがって、舐めてかかるとボッコボコにされるだろう。


ゴリラの桃吉郎は言わずもがな。

即座にミンチにしてくれることであろう。

決して、彼をからかってはいけない。


「遂に俺たちの【ドッペルドール】が出来たってよ!」

「あぁ、メールで送られてきた。これで僕たちも晴れて【パイロット】だ」


ドッペルドールとはプロジェクト・ドッペルゲンガーの中核となるクローン人間である。

それはパイロットとなる者の細胞片を培養し、改造、強化した生きた人形だ。

ただし、事故防止のため、意思を持たせていない。


ドッペルドールの脳に埋め込まれた制御チップ。

これは肉人形の意思を封じ込めると同時にパイロットの意思を伝える装置だ。


制御チップは本体専用のコクピットシートにて遠隔操作する際に重要な部分となり、破壊された場合は当然ながら操縦不能となるだろう。


そのため、ドッペルドールは消耗品として扱われる。

また、人権などは存在しない。


そして、外見はパイロットから離れた外見に変えられることが多い。

提供者と同じ顔だと精神衛生上よろしくないことがハッキリとしているからだ。


「だからといって、これはやり過ぎだろ」


ドッペルビル・33F、最上階のコントロールセンター。

そこで自分のドッペルドールと対面した桃吉郎は絶句した。


何故なら、そこに佇んでいたのは自分とは似ても似つかぬ肉人形だったからだ。


「ひっひっひっ、どうじゃ? 最高じゃろ?」

「馬鹿野郎、これを動かすのは俺なんだぞっ!?」


マッドサイエンティスト、そう呼ぶに相応しい白衣のクソ爺は桃吉郎のドッペルドールの大きな臀部を撫でまわしながら嫌らしい笑みを浮かべた。


彼の本名は不明であり、自らを【ドクター・モモ】と呼称している。


「黒髪の黒い瞳は良しとして……全部、俺と真逆じゃねぇかっ!」

「精神衛生上、いいではないか」

「俺は男だ。だが、これはどう見ても【女】だろうがっ!」

「しかも可愛いな」

「凍矢は黙ってろ!」


桃吉郎のドッペルドールは黒髪ショートのむっちり美少女として完成してた。

どうしてこうなった? としか言いようがない出来栄えである。


「僕のは多少アレンジされているようだが……うん、男だな」

「それも女じゃ。スレンダー美女はロマンじゃからな」

「ざまぁ」


凍矢は無言で桃吉郎とドクター・モモをぶん殴った。

実のところ、彼は口より先に手が出る。


凍矢のドッペルドールは黒髪ロングの美女だ。

胸は無いが尻は見事に大きく艶めかしい。


二体のドッペルドールは装備を付けておらずフード付きのコートのみという姿だ。

この下は下着すら着けていないのだから大変だ。


「変更は?」

「ダメじゃっ! ここまで改編するのに苦労したんじゃからなっ!」

「もっと別のところに労力を注げよ、クソ爺」


桃吉郎は苦情を申し立てたが、ドクター・モモはこれを受け付けなかった。


「何はともあれ、性能は札幌じゃあトップクラスなんじゃ。文句は操縦してから言うがええ」

「まったく……これなら俺自身が直接上に出た方が良いんじゃねぇのか?」

「それはお偉方に止められているじゃろうが」

「ふん……」


実はこの桃吉郎、変態である。

完全武装した自衛官でも歯が立たない猛獣を素手で殴り殺すことが可能なゴリラなのだ。


しかし、ゴリラでも貴重な地球人類であるため、直接地上へ出向く事は固く禁じられていた。


「装備はどうすっかな……これ邪魔」


桃吉郎は自分のドッペルドールのコートを剥ぎ取った。

そうすると豊満な肉体を持つ人形の全てが露わになる。


「えっろ。よし、どちゃくそエロい装備にしようぜ」

「おぉ、そなた、分かっておるのう。お勧めはビキニアーマーじゃ」

「それを自分で操縦するんだぞ? 分かってるのか?」


半分ヤケクソになっている桃吉郎は、凍矢のツッコミにもめげずにドッペルドールの装備を選んで行く。


ちなみに、ドッペルドールの装備等は専用の通貨を使用する必要がある。

ドッペルドール用の通貨は【ディ】。

これは地上探索時に持ち帰った資源の価値によって増加する。


また新米パイロット着任時には10000Dほど支給されることに。


「ビキニアーマーは何色にすっかな?」

「赤もええがピンクもええぞ」

「狙い過ぎだろ。無難に黒にしておくか」

「童顔に黒は攻め過ぎじゃろ」

「いいんだよ。あとは刀とハンドガンくらいしか買えないな」

「ひっひっひっ、資源を持ち帰りゃ直ぐにポイントなんぞ貯まるわい」


もっとも、持ち帰ることが出来ればな、と彼は付け加える。


「僕はこの紺色のバトルレオタードとスナイパーライフル。あとはコンバットナイフ」

「おぉ、目の付け所がええの。このレオタードはの、ケツのラインがくっきりとじゃな……」

「僕は装備の性能しか見ていない。尻などどうでもいい」

「そうじゃ、眼鏡を買わんかい、眼鏡を」

「必要ないだろ。ドッペルドールは目が悪いわけじゃないんだから」

「眼鏡が本体じゃろうがっ」

「んなわけあるかっ」


こうして、準備を整えた桃吉郎と凍矢はコクピットシートへ着席する。

操縦の準備はシートと繋がっているヘルメットを着用しシステムを起動させるだけ。

実に簡単である。


このヘルメットはドッペルドールを遠隔操作するために必要なもので、簡単に説明するなら、実体の意識を仮初の肉体へと移し替える、といったものだ。

そのため、ドッペルドールを操縦中は、実体を動かすことは一切できない。


「それじゃあ、行くぜ」

「あぁ」


「「ソウルリンク!」」


桃吉郎と凍矢のヘルメットが静かに起動する。

二人の瞼が閉じ、逆にドッペルドール瞼がゆっくりと開いていった

というわけで、始めます。

目標は完走です。


昔通りノリと勢いで書き進める感じですね。

ブックマーク、評価、感想をくれると納豆菌がやる気を出します。


それでは、暫しのお付き合いを(どれくらいかかるとは言っていない地獄)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ああ! アバターみたいな感じですな!
[一言] いつもの奴らが帰って来た 氷矢「またお前とか…」 桃吉郎「性転換してバトろうぜ!」 氷矢「断る!」 Dr.「ポイント換算で強化もできるぞ デカ尻にしたり巨乳にしたりとかのな」 桃吉郎「スゲぇ…
[良い点] 先の返信欄で 珍獣は出ない!と? [一言] 性癖ぶっ込んできましたな! 納豆菌繁殖しすぎじゃね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ