09 勉強
「……マスターがまたまた素敵な乙女さんをゲットしてきたのです」
はい、素敵であることは一目瞭然ですが、
まずはご挨拶ですよ、ヴァサコさん。
「……ヴァサコというマスターの乙女コレクションに捕獲されたてホヤホヤのゴーレムです」
「……知的で素敵なお姉さまなら"キャラかぶり"問題にも抵触していないので大歓迎なのです」
「こんにちは、私はフェリシルスという学者です」
「フォリスさんの乙女コレクションに参加できるかどうかはまだ未定ですが、仲良くしてくださいね」
えーと、僕的にはいろいろと問題点が多いご挨拶でしたが、おふたりとも仲良くしてもらえるとうれしいです。
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みんな揃ってお庭でのお茶会、
フェリシルスさんの、学者としてもっと精霊さんたちと関わりたいという申し出は、
我が家の乙女たちにも好印象で受け入れてもらえたようです。
「私も、冒険者として出来ることがあれば、何なりと協力しよう」
「まあ、精霊関連はフォリスさんの独壇場であるのだが」
いえいえ、精霊乙女たちも一目置いているというシュレディーケさんなら、
必ずや"ミス精霊コンテスト"でイイ線イっちゃうのは間違い無し!
ゴツリ
イテェ!
「おふたりは相変わらずみたいですね、ルルナさん」
「気苦労お察しします」
「お心遣い痛み入ります、フェリシルスさん」
「でも、これこそがフォリス家の風物詩、ご主人様の乙女コレクション入りを目指すのなら、避けては通れないらぶらぶ試練なのですよっ」
そんな試練は我が家には不要なのです。
まあ、我が家の乙女たちはある意味選ばれた存在だとは思いますが。
「……つまりマスターが言いたいのは乙女コレクションの門戸は誰でもウェルカムでおっぴろげだから試練も試験も不要だってことなのです」
もうそれで良いです……
「確かに、来る者拒まずであるからこそ、精霊乙女たちが群がってきているのだろうな」
「あのローガンフージュさんですらメロメロ……」
シュレディーケさんは、ロージュさんには手厳しいですね。
「素晴らしいです、まさに自然生物学の生き証人」
「流石はフォリスさん、是非これから自然環境研究所で講師としてセミナーでも」
いや、自分より賢い人たちに向かって講師をするなんて、絶対にお断りですから。
「いつも通りでよろしいのですよ」
「でもそれだと教授や学生さんたちが危険かしら」
「うちの研究所は、乙女ばかりですし……」
ほう、乙女満載な秘密の華園ちっく学び舎でセンセイと呼ばれちゃう生活……
ゴッツリ
超痛ぇ!
「このリラックス感が精霊乙女さんたちを惹きつけて止まないのでしょうね」
「まさに、無数の机上理論よりひと巡りのフィールドワーク」
「本当に勉強になります」
楽しんでいただけて何よりです……