０７ 原因
一件落着と言いたいところですが、実はまだですね。
クラゲの大量発生と激太りの原因を突き止めないと、
根本的な解決には至っていないのです。
ハンジさんのスキルの効果は消失ではなくて阻害、
しかも手繋ぎしてる間だけですから、
ヒューネちゃんの手を離したら精霊結界が復活しちゃいましたし。
つまりはこのままだと、サイリさんのスキルの影響を受けていない新たに生まれた個体も増えて、遠からずメタボクラゲが大復活……
「迷惑掛けてすまんかったのう、皆の衆」
おっとリスト爺ちゃん、いつの間に。
まあ確かに、精霊さんたちの行動が原因の一端でしたし、
リスト爺ちゃんの方からでもヒューネちゃんファンの精霊さんたちに注意喚起してもらって、
今後は＂ヒューネちゃん詣で＂は禁止にしてもらえれば。
「それもそうじゃが、大クラゲでいっぱいになった原因もじゃよ」
ほえ？
－－－
えーと、精霊さんたちが張りまくった結界は、
辺り一帯の生態系にまで影響を及ぼしておりました。
ヒメ湖に張られている＂争いごと禁止結界＂と同様の効果を。
つまり、意志のある動物・魔物の精神を穏やかにして、
精霊結界内は争いごとがまったく起こらなくなる状態になっちゃう。
そしてここヒューネ湖近辺は、お魚さんも含めた、生き物たちの楽園となったのです。
ここで重要なのは、精神・意志の有無。
まことに遺憾ながら、クラゲさんにはそんなもんは無かったのです。
そして、平和な湖で増えまくった大好物のお魚さんを食べまくって、
クラゲたち、急成長の大繁殖。
あー、全部＂ヒューネちゃん詣で＂ですか、原因は。
だったら、リスト爺ちゃんからの全面禁止の呼びかけの時に、
心当たりのある精霊さんたちに結界解除もお願いしてもらえば、
この一件は全部解決、ですよね。
「本当、すまんかったのう、ヒューネちゃん」
「ところで、ヒューネちゃんのおひざでひざ枕しとるのは、どなたかのう」
「……ハンジさん……だよ……」
「……精霊王様の……お顔を見たら……寝ちゃった……」
おっと、ひょっとして……
あー、気絶しちゃったみたいですね、ハンジさん。
リスト爺ちゃんが近くにいるプレッシャーに耐えられなかったようです。
「……精霊王様……キライッ！……」
「ぎゃふん！」
うん、まさにこれにて一件落着……
