04 お呼び
「すみません、フォリスさん」
「僕の立てたフラグに、思いっきり巻き込んじゃいましたね」
いえいえ、サイリさんのせいではないのです。
ってか、サイリさんもある意味とばっちりですよね、コレ。
ここは、ヒューネ湖。
目の前に広がる雄大な湖、
その湖面には、バカでかい生き物が大量にプカプカと浮いております。
あれ全部、クラゲ。
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リグラルト王国のヴェルクリの街にある『有害生物研究所』に、ある日緊急支援要請が。
エルサニア王国とアルセリア王国をまたぐ大きな湖"ヒューネ湖"に、突然、大クラゲが大発生。
『アルセリア大太鼓クラゲ』
ヒューネ湖固有種のこのクラゲ、
どう料理してもお味がめちゃくちゃ不味いってこと以外は、
猛毒をもってるとかの厄介な実害は無し。
ただ、エサがあればあるだけ育っちゃう。
つまり、やたらとデカく育って、とにかく見た目がキモい。
元々は目立たない程度の個体数しかいなかったはずだったのに、
なぜか突然、異常発生 & 巨体化。
両国がチカラを入れているヒューネ湖畔の一大観光地としては、
本当に迷惑この上ないシロモノ。
で、『有害生物研究所』に緊急お助け依頼。
でも、大クラゲを一匹一匹処理するのはめっちゃ面倒だし。
というわけで、困った時はもちろん、あのヒーローに丸投げ。
そう、害虫・害獣退治のスペシャリスト、
滅殺公人『バリアラン』!
ところが、シュメリ博士のバリアランコールは、不発。
現在、ワケあってバリアランに変身できないのですよ、アランさん。
いえ、ピンピンしておりますよ、ご本人は。
ただ、例の"覗き魔事件"で『バリアランスーツ改』を没収されておりまして、現在物理的にマジ変身不能。
しかも、アランさんご本人も、ほぼ自宅軟禁、
じゃなくて、自宅で謹慎中な状態。
ちなみに謹慎場所は、現住所のジオーネ『平和の館』では無く、
ペンネッタの町の奥さまたちが暮らしている方のお屋敷です。
アランさん……
ってなわけで急遽お呼びが掛かったのが、
"滅殺公人2号『リサイリー』"こと、サイリさん。
元々、アランさんの助っ人として『有害生物研究所』と"滅殺公人"契約していたサイリさん、
なにせ優しいお人ですし、何はともあれ依頼を受けちゃったのです。
で、すぐに現場の様子を見に来たら、
湖面にはハンパ無い数の大クラゲ。
こりゃあかんと、例の凄い固有スキルで一網打尽にしようとしたのですが、
なぜか必殺の固有スキル『鑑定修正』がはじかれちゃう。
どうやら、ヒューネ湖一帯に掛けられた強力な精霊結界が干渉している模様。
というわけで、
精霊絡みの案件ってことで、
急遽、僕もお呼ばれ。
えーと、本当に怖いですよね、"フラグ"って……