12 強引
サイリさんから『転送』トライク『ロージー』に強引に乗せられ、
連れてこられたのはヒューネ湖の、
例の観光地?
「突然すみません、実は……」
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あのクラゲ騒動は終わってはいなかったのです。
サイリさんたちの活躍で騒動自体は収まりましたが、
観光地を運営しているお偉いさんたちとしては、
今後のこと、真剣に対応せざるを得なかったのです。
自然の営みである以上、これからもあのクラゲと付き合っていかねばならぬ。
いや、せっかくだから、今こそあのクラゲを何かに有効活用出来ないものか。
あんなデカいのに食べられないなんて本当にもったいない。
いや、食べられるようにしなかったことこそがもったいないのだ。
そうだ、美味しく食べられるようにすれば、むしろ名物になる。
よしっ、今こそみんなのチカラを!
ってな感じの議論の末、
『第一回"アルセリア大太鼓クラゲ"料理コンテスト』、開幕……
で、それと僕と、なんの関係が?
「こんにちは、フォリスさん」
アランさん……もしかして。
「仲間って、いいよね……」
アランさん……
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観光地のスーパーバイザーこと、
特使公爵アランさんに半ば強引にお呼ばれされまして、
いわゆる男衆一同、
お料理コンテストの審査員に……
「ちょっと酷く無いか、これ」
「無理やりみんなを呼び出すなんて、アラン君らしくも無い」
ですよね、ロイさん。
さすがにコレは……
「アランさん的にも、やむを得ずなのでは無いかと」
「日々の食卓での鍛錬で舌が肥えていること」
「嫌がらずに試食に付き合ってくれそうな面子であること」
「俺たちは仲間の窮地を見捨てたりしないだろうということ」
「まあ、俺らが納得出来るかどうかは別問題ですが……」
シナギさんも口調は静かですが、
かなりキテますね、これ。
「でも、今回の手法は強引すぎますよね」
「正直、アランさんらしく無いと思います、僕は」
仲間思いのカミスさん、
今回の件に何かウラがあると考えているようです。
「本当にごめんなさい」
「僕も『ロージー』をこんなことに使いたくは無かったのですが……」
サイリさんのせいではありませんよ。
問題はサイリさんの優しさを利用したアランさんの方なのです。
まずはみんなでアランさんの真意を確認しませんか。
「異議無し!」×4