10 興味
そして、お待たせしました、楽しい夕食。
フェリシルスさんの訪問日を今日にしてもらったのは、まさにタイミングばっちしだったから。
「初めまして、素敵なお嬢さん」
「ミルルシュモという地味な精霊お姉さんですよ」
「初めまして、素敵なミルルシュモさん」
「フェリシルスという普通の学者です」
うん、ミルルシュモさんが登場すると、場の空気が一気にユルみますね。
きっとこれがちまたで噂の"呑気なお姉さん現象"
「精霊さんのことをお知りになりたいそうですけど、お仕事の方はNG案件ばかりなのよねえ」
「私のことはスリーサイズくらいしか話せないかも」
ヨシッ、まさに望むところのところてんっ。
ゴツリ
痛ぇ!
「それも興味はありますけれど、出来ればお仕事以外のご趣味とかご家族のこととかを、是非お願いします」
「じゃあ、お夕飯の後のお風呂トークの時にでも、ね」
ぐぬぅ、さすがにそれは男子禁制、
口惜しいが敗北を認めざるを得ないのです。
「あら、ご一緒してもよくってよ、ねぇ、フェリシルスさん」
「奥様さえよろしかったら」
……いかがでしょう、奥さま。
「ふむ、そうくるか」
「まあ、フォリスさんにそんな度胸があるとは思えんが、好きにすればよかろう」
バレテーラ……
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A棟は、シュレディーケさんと僕。
B棟は、ルルナさんとヴァサコさん。
C棟は、フェリシルスさんとミルルシュモさん。
今日のお泊まりの割り当てです。
お風呂の割り当てとも言いますね。
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夜の家族会議のお時間、
今日はミルルシュモさんが初めてのお泊まり。
お仕事の方、妹さんにお任せしてきちゃって大丈夫なのですか。
「そうねぇ、元々あれって妹の方が得意なのよねぇ」
「私の方がおまけみたいな感じだったし」
あーなるほど、何となく分かります、その感じ。
「こういう失礼なことを言った時は、遠慮無くお仕置きすべきですよ、ミルルシュモさん」
「だって、あんな楽しそうなじゃれ合いっこ、奥様から横取りできないわよぅ」
「こう見えて結構気配りさんなのですよ、私」
「……実に素敵なお姉さん属性なのです」
「……マスターのコレクションに必須なのです」
「あら、嬉しいわぁ」
「私も可愛い妹がたくさん欲しいから、今度ヴァサコさんもご一緒にお風呂しましょうねぇ」
ほう、お風呂をご一緒すれば姉妹になれるのですね。
泡姉妹とでも言うのでしょうか。
精霊さんの世界は奥が深い……
「いいえ、ただの性癖ですよぅ」
それはそれで興味深い……
ゴッツリ
痛ぇ!
「何だか今日は、ツッコミ疲れてしまったようだ」
「失礼して先に休ませてもらおう」
「じゃあ、そろそろお開きってことで」
「続きはピロートークですよ、フェリシルスさん」
「はい、おやすみなさい、皆さん」
「お休みなさいませっ、皆様」
「……皆々様おやすみなさいませです」
はい、おやすみなさい。
言われてみれば確かに、今日は何だかゴツリ増量気味だったので、オツムの具合が……
後でシュレディーケさんに慰めてもらわねば。
こつり
ありがとうございます……