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お呼び出し<1>


こんにちは、乃崎です。


……とうとう塾の夏期講習後半戦がスタートしてしまいました……

一日4時間+途方もない量の宿題のせいで

なかなか更新ができません(T□T)

申し訳ありません。

でも必ず完結したいと思っていますので広い心で見守っていただけると嬉しいです。




「……あの」

高校一年生の友達同士ではとても入ることのできないような洒落た喫茶店に、何故かあたしはいた。

しどろもどろになりながら飲んだコーヒーは砂糖を入れ忘れていてとてつもなく苦かった。



 あれから、何時間かべらべらといろいろな話に花が咲き、お開きとなった。

サークルの皆さんとも仲良くなって、もう行くことも会うこともないだろうに、メールアドレスを全員と交換した。

青葉さんとも。

 それから、二日後の月曜日の夕方、放課後。

 いつも一緒に帰っている夕菜が彼氏と帰る約束をしていたらしく、久しぶりにぶらぶらと一人で帰宅していたところ、携帯電話のバイブがなった。ヴー、ヴー、と二回で鳴り止んだので、それがメールだと分かった。

誰だろう、と別段気にも留めず、ぱこんと折りたたみ式のそれを開く。

 ディスプレイに表示された、見慣れない文字に少しだけ指が震える。

メールの内容とは、次のようなものだった。


件名【青葉です♪】

本文【この前は楽しかったね。

   今から少し時間ある? 暇だったら一緒にお茶しない?】


 何だか、とてつもなく行きたくない。言い過ぎかもしれないけれど、行ったら生きて帰れない気がする。

あの日、健の「名前騒動」があってから、あたしと青葉さんは一言も話もせず、ふと気づけば冷たい視線が送られていた。

 あの時は何か具合が悪かったのかな。そもそもあたしが嫌いなんだったらお茶なんて誘わないだろうし。

実際、断りたい気持ちのほうが強かったのだけれど、年上の人に断る文句など思いつかず、承諾のメールを送った。

 喫茶店の場所を聞いて、少し重い足をぐいっと前に出し、歩き出す。

 そして、だ。

今、あたしの目の前に満面の笑み(作り笑いのような気がする)の青葉 芽衣さんが座っている。

 大学で講習か何かがあったのだろうか、黒に近い灰色のスーツを着ていた。

「急に呼び出したりしちゃって、ごめんね。あたしちょっと小堀さんと話してみたくて。

 ……この前はほとんど話さなかったしね」

 笑顔のまま二行目の部分をやけに低く話され、少し恐くなる。最後の二文字の「しね」が「死ね」に聞こえてものすごく顔が引きつった。

「いえ……大丈夫です、暇だったから」

 あはは……と引きつった愛想笑いをすると、笑顔を崩さない青葉さんがもっと笑顔になった。

「暇……って、小堀さんって、彼氏とかいるの? 一緒に帰ったりしなくていいの?」

 ……笑顔で言われても悲しいだけなんですけど。泣きたくなるんですけど、泣いても良いですか。

 あたし、彼氏とかいないんですよ。と言うと、青葉さんはさも驚いたように「え、そうなんだ、ごめん」と悪びれもしない様子で言った。

しばし、沈黙が続く。窒息しそうな沈黙に抜け出したくて、何か必死に言葉を探す。

「あのっ……青葉さんは、好きな人とか、いるんですか?」

 とっさにそんなことしか思い浮かばなかった自分を呪った。完全に馬鹿だと思った。

だいたい、この前の言動から見て、たぶんだけど青葉さんは健が好きなんだろう。たぶんだけど。

それなのに、幼馴染のあたしが「好きな人いるんですか?」って……。嫌味言ってるようなものだ。

 気まずくて顔も上げられない。じっと制服のスカートを見つめる。

でも、何か言わないと、というか謝ろう……。

 そう思い、意を決してぐっ、と顔を上げる。

「あのっ、ごめんなさ……」

 言いかけた瞬間、青葉さんの満面の笑みが一瞬にして鬼面に変わった。漫画だったらこういう時、背後に「ゴゴゴゴゴ……」とかいう効果音が着くんだろうな、とか馬鹿なことを考えながら、言葉を失っていた。

 その刹那、青葉さんはテーブルからぐいっと身を乗り出し、あたしの制服の胸倉をつかんだ。

あたしは何が起こっているのか把握し切れなくて、口をパクパクしながらつかまれた手と青葉さんの顔を交互に見つめていた。


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