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第4話 ゲームスタート

 

 隅田川の箱崎防災船着場を出発した二十隻の大型屋形船団は、約一週間かけて四国は香川県高松市にある高松港へと入港した。


 屋形船で本当に四国へたどりつけるのかと、多くの生徒たちが心配した。

 そんな心配は杞憂だったようで、屋形船は太平洋の荒波をもろともせず、無事に半数が到着することができた。

 佐藤ヒカルは生きて再び四国の大地を踏みしめることができたことを神様に感謝した。



 ここ高松港は本州や小豆島を繋ぐフェリーなどが発着する海上交通の要衝である。

 古くからこの地に港町が開かれ、交易によって繁栄し、現在に至っている。


 現在の高松港は、JR高松駅、高松シンボルタワー、ホテル、国の出先機関の合同庁舎、高松港旅客ターミナルビルを含めてサンポート高松と呼ばれる四国最大級の臨海施設となっている。


 屋形船から下船した超能力たちは港からサンポート内のホール棟3Fへと向かう。


「こ、これは!」


 東京豊島区超能力者高校一年の『タロット』の巻島は、思わず声を出して驚いた。

 彼の超能力はタロットカードを誰よりも上手くシャッフルできる能力だ。ちなみに彼は今後登場する機会はない。


 生徒たちが案内されたサンポートホール高松の大ホール。千五百名収容可能な立派なホールだったのだ!

 これは東京の施設にも劣らない立派な設備である。

 香川県民は「シドニーにオペラハウスがあるならば、高松にはサンポートホール高松がある!」と胸を張ってもいいだろう。そんな胸を張る度胸があるならば、の話だが。



 生徒たちは席へ座る。

 当初東京を出発したときは千名だった超能力者たちも太平洋の荒波に揉まれ、今では半数の五百名。

 五百名でこのホールを使うには大きすぎる。空席が目立っていた。


 突然、ホールは暗転する。

 そして中央のステージにスポットライトが集まった。


 〈能力者の諸君。ようこそ香川県へ〉


 あの船の中で散々聞いたアナウンスの声の持ち主がホール正面の舞台に立っていた。

 その顔はマスクで覆われており、はっきりとはわからない。


 〈船で説明した細かいルールはちゃんと覚えていますね? さぁ、皆さんお待ちかねの脱出ゲームの始まりですよ~〉


 ――ついに大会が始まるのか。


 ヒカルはぎゅっと身が引き締まる思いがした。


「ここは沖縄じゃないのか?」


 シーンとしたホールにリピートの皆藤の声が響いた。

 しかし彼の問いにマスクマンは何も反応しない。

 マスクマンは、超能力者『リピートの皆藤』に対する超能力の無効化の方法、つまり皆藤を無視するということを覚えたらしい。


 これまでの一週間、揺れる屋形船の中でリピートの皆藤に一番メンタルをやられていたのは、彼のそばにいた生徒たちではなく、このマスクマンだった。


 実はこのマスクマン、ヒカルたちと同じ船に乗っていた。

 アナウンスのときだけはどこかに消えて、それが終わると、それほど大きくない船内で生徒たちと寝食をともにしていた。

 なので、リピートの皆藤の恰好の餌食となっていた。



 屋形船に同船していた船医に心の病気に効く薬を処方して貰っているところをヒカルは何度も見ていたので、彼には同情するところがある。


 〈……。それではゲームスタートです〉


 リピートの皆藤に話しかけられて、何か悩み事が再発したかのように、少しだけ話始めるまでに妙な間があったが、謎のマスクマンは全国高校超能力者バトル大会『島』のスタートを宣言した。


 わざわざこれだけのために、自分たちはこの大きなホールへ集められたのだろうか?

 ここでやらなくてはならない理由があったのだろうか?

 船から下りたところでやれば良かったのではないか?

 誰もその答えもわからぬまま、超能力者たちは次々とホールを後にする。


 ついに四国脱出ゲーム「香川編」がスタートした!


能力者もそうでない人も。

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