アクアソムリエ
にたにたした顔してお楽しみの中悪いんだけどあなたどうしたら人間になれるのか分かってるわよね?
俺はまりなとの紅茶の、いやお紅茶の思い出に浸りかなり幸せな顔をしていたのだろう。
喜びは顔に出る。表情になる。
そんな気持ち悪い顔してにたにたしてたらあなた嫌われるわよ。
こ、こいつ、、本当に天使なのか?
もちろんだ。ヒューマン試験に合格してライセンスを貰えないと俺は人間になれない。
だったらにたにたしないで早速ヒューマン試験の為の特訓に入るわよ。覚悟良い?
何だってこい。俺は必ず人間になってやる。
これを見て。
ひま天は俺の前に水が入ったワイングラスの様なコップを差し出した。
ハッ、これは、、
試験×コップ×水見式。
もしかしてこれは、心源流に伝わる念能力を判別するあの方法なのでは、、、胸が高鳴った。
飲んでみて。
この水を俺が飲むのか?なんだ水見式じゃないのか、、
俺はひま天に言われるままコップの中の水を飲んだ。その水は喉に通ると不思議な事に俺の中に残る記憶を呼び起こしその水が涙になったのか?と思う程に目から溢れだした。気付けば俺は泣いていた。
その水なんの水だか分かる?
ああ、これは。分かるさ、、分からないはずがない。1月と2月、千葉の房総半島で突きん棒で捕れる真カジキは本マグロだって敵わない。DanDan気になる〜♪︎気のないフリしてるのがDanD、、、
そう言えばそうだわ。冷凍マグロの様なエグ味もなく濃厚で味わい深いわ。ねえ、山岡さん。、、って
ちょっとあなた何の話しをしているの?
こ、これはまりなん家の水道水だ。
プラスチックの俺の皿にまりながいつも入れてくれてた。
俺の食事が入ってたピンク色で真ん中に窪みがありまるで山のカルデラの様な皿の横にあったプラスチックの俺の皿の中の水だ。なんて懐かしい味わいなんだ。泉の様にあふれて涙が止まらない。
俺は猫の中でも落ちこぼれだった。
まりなの住む街にあるペットショップアミーゴプラスの小さな檻の中に俺は居た。
白くてもふもふなあいつや、シルバーグレーで目の青い気取ったあいつらが次々と売却されセレブそうなご婦人や、お前医者かよ。っ風貌の人間達があいつらを連れて帰る。
そんな人間達の家族、ペットになるあいつらが羨ましく思えた。
俺は猫になってこの檻の中でもうすぐ2年が過ぎようとしていた。
ペットショップの店員達はこいつもうダメだな。
まったく売れないじゃんか。もふもふ感足りないし毛並みも固いしね。って罵声を浴びせられる日々を耐え過ごしてた。
そんなある日、清潔感があり品もある美しい女性と髪がサラサラで黒い瞳に八重歯のある小さな女の子が俺の檻の前に現れた。
ねえ、ママ。私この猫ちゃんが良い。
まりな、こっちのマンチカンにしようよ。ママこっちの猫ちゃんの方が断然可愛いと思うわ。
ううん。私、こっちのお鼻がぺちゃんこの猫ちゃんが良い。
あら、この猫ちゃんは不細工よ。こっちの方が可愛いじゃん。
私はこの不細工の猫ちゃんが良いの。可愛いの。
まりながそこまで言うならママもこの不細工の猫ちゃんで良いわ。ちゃんとお世話するのよ。
俺は自分の耳を疑った。俺が、この俺が売られる。この人達の家族になる。ああ、素晴らしき世界。素晴らしきニャン生。
ペットショップの店員がまりなとまりなのママに尋ねた。
本当にコレで良いのですか?。かなり不細工な猫ですけど。でも餌はめちゃくちゃ食べるし健康だけは保証しますよ。しかもプライスダウンで1000円です。
そうね。お安いしこの猫貰うわ。
やったあ。ママありがとう。まりなね、この不細工な猫ちゃんちゃんとお世話するね。
しっかり面倒見てね。アハハ。それにしても本当不細工な子ね。
不細工×ブサイク×BUSAIKU。
これが俺と大好きなまりなとの出会いだった、、