奴隷少女
僕は自室で目を覚ます。
昨日はギルドで酷い目にあったなぁ。
頭の殴られたところがまだ痛いや。
会ったばかりの人は信用するもんじゃないね!
やっぱり仲間は運命的な出会いとイベントを伴わないと!
ということで、今日も出会いを求めて異世界に行こう!
僕は支度を済ませ「異世界」にワープする。
異世界の街並みを歩くのは新鮮だなぁ。
歩いているだけでも世界観が楽しい。
気分良く僕が町を散歩していると、どこからか怒号が聞こえてくる。
「お前!何てことしてくれてんだ!」
「ひっ……すいません……」
「何のためにお前を生かしてやってると思ってるんだ!」
男が少女を殴る。
「うっ……」
奴隷……?
少女の身なりはかなり見すぼらしく、痩せこけている。
状況を見るからに少女が運んでいる荷物を落としたのだろうか。
というかこの異世界、奴隷制度があるのか?
男は少女を甚振り続ける。
まずい。
自分の中でフラッシュバックする。
過去の「思い出」が。
「おえぇぇ」
僕は嘔吐する。
自分がされるのなんて慣れっこだ。
けど、他人が同じようにされてるのを見るのは耐えられない。
気持ち悪くて、胸が締め付けられる。
胸の動悸が治まらない。
被虐を熟知しているから、少女の痛みを完全に理解しているから、僕と少女が重なる。
その感覚がとても気持ち悪い。
僕はそれを抑えようと衝動的に元凶の元へ向かう。
「おらっ!!!!どうだ?少しは反省できたか?」
「反省するのはお前だよ。消えなよおじさん」
「君、大丈夫かい?」
僕は問いかけるが少女は気を失っている。
まずいな、このままだと騒ぎになるかもしれない。
僕はその少女を抱え、元世界の自室にワープする。
「……ここは……?」
僕のベッドで少女は目を覚ます。
「やあ、起きたかい?」
「ひっ……」
少女は僕を見ると怯え出す。
「ごめんなさい!ごめんなさい!もうぶたないでください!」
少女は目をつぶり、僕に怯える。
「そんなことしないさ。お腹減ってるだろう、これ食べなよ」
僕はコンビニで買ってきたお茶とおにぎりを差し出す。
少女は戸惑いながらも恐る恐るそれを手に取り、口をつける。
「お……おいしい……」
少女は勢いよくおにぎりを頬張る。
「んっ……」
「ああ、そんな一遍に食べたら喉に詰まっちゃうよ」
僕はペットボトルの蓋を開け、少女に飲ませる。
「っぷはぁ……はぁ……」
「いっぱいあるから、ゆっくり食べなよ」
……
少女はおにぎりを5つ程食べたところで、僕に問いかける。
「えっと……あ……あなたは……」
「僕は栗栖川類だよ。君の元ご主人が君のこと「使えない」って言って僕に売りつけたんだ。よろしくね」
「えっと……私はフィリアと申します。よ……よろしくお願いします……ご主人様」
「ご主人様はやめてよ。「栗栖川」か「類」で頼むよ」
「は……はい! えっと……ルイ様」
「様」も嫌だなぁ、悪い気しかしない。
「えっと……ご……ルイ様……私は何をすれば?」
別に何かをさせる為に攫った訳じゃないんだけど。
「じゃあ、とりあえずお風呂に入ってくれないかな?」
「えっとね、これが体洗うやつでこっちが髪を洗うやつ。ここひねればお湯が出るから」
「えっと……」
流石に分からないか。そもそもこの子はまともにお風呂入ってるのかな? 土みたいな匂いがするけど。
「じゃあ一緒に入ろっか!」
「えっ!?い、一緒にですか……?」
「大丈夫! 君は僕みたいなもんだから変な気起こしたりはしないよ!」
「は、はあ……」
少女は服を脱ぐ。
体はやせ細っていて、複数の傷や痣がある。
僕と同じように。
「じゃあ体洗おっか!」