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僕を貶めたゴミを全員消す

 目を覚ますとそこはゴミ捨て場だった。

 体はボロボロで僕はゴミの中で横たわっていた。


 頭が痛い、ガンガンする。


 ふらつきながら僕は立ち上がる。



 あれ……。

 荷物がない、お金も無くなっている。


 一体何があったんだろうか。

 確かギルドで会った美女のパーティと一緒にご飯を食べに行っていて……そこから記憶がないぞ。


 僕は表の通りに出る。


 ん……あれは……。


 ベルちゃんとキャリーちゃんとクレアちゃんが3人の男を連れて歩いている。そして酒場に入っていった。



 僕は酒場の側から聞き耳を立てる。


「いやあ、チョロかったなぁ。あのクリスガワとか言うやつ」


「マジきもかったよね〜(笑)めっちゃキョドッてたし。あいつクレアの胸ばっか見てたよ」


「え〜?まじ最悪なんですけど〜。さいてー。すごい気持ち悪いんですけど〜!」


「まあさっきみたいに俺たちが守ってやるからよ」


 男はそう言ってクレアの胸を鷲掴む。


「いやん❤︎」


「今夜はこのお金で豪遊して、そんなキモい奴忘れようぜ!」


「「ウェーーーイ!」」




 ああ、変わらないな。

 現実世界も異世界も。

 容れ物が変わっただけで本質は何も変わっていない。

 陽キャラは陰キャラを虐げる。

「強者」が「弱者」を虐げる。


 そして、現実に因果応報などは無く、「弱者」はそのまま泣き寝入りするしか無いのだろう。


 そう、何かの間違いが無ければ。

 何かの間違いで「能力」を得てしまった僕を除けば。





 彼らが店を出る。


 彼らがひと気が少ない場所まで歩いたところで僕は動く。



「やあみんな。宴会は楽しかったかい?」


 僕は能力によりワープし、クレアの首元にナイフを突き付ける。


「ひっ」


「は? お前は昼間の……。てめえ何処から現れやがった」


「あ、みんな動かないでね。動いたらすぐにこの子刺すからね」


「はぁ? ふざけんじゃねえよ!!」


 男の内の1人が僕に襲いかかる。




 消えろ








 男は消失する。



「ああ、逆らったら今みたいに消すから。下手なことしないでね」



「あ……あ……うわあああああ」


 男の内の1人が怯え、逃げ出す。


 僕は能力を使い、そいつを直ぐに消す。


「だからぁ、動かないでって言ったじゃん! 消さないといけないじゃん!」


 彼らは青ざめ、戦慄する。


 ここまでやれば、もういいか。


 僕はクレアを離す。


「じゃあベルちゃん、キャリーちゃん、クレアちゃん、服を全部脱いでよ!」


「なっ……!?」


「僕をこんなに傷つけたんだ。それくらいしてもらわないと」


「それとも、今ここで「消える」かい?」


「うう……」


 彼女達は怯えながら服を脱ぎ始める。


「あ、君はそこで何もしないで見ててね!僕が彼女達にエッチなことをするのを!」


「くっ……!」


 彼女達は服を脱ぎ終える。


 みな、豊満なバスト、引き締まったくびれ、お尻と、とてもエロい体をしている。


 でもおかしいな。

 全然たたないや、なんでだろ。


「じゃあちょっとおっぱい揉ませてね」


「い、いやっ……!」


 僕はクレアちゃんのおっぱいを揉んだ。


 しかし、何も感じなかった。


 あれぇ、なんでだろうなぁ。


 僕は裸になった彼女達3人を見る。





 ああそうか、僕にとっての彼女達はとっくに終わってたんだ。

 僕の中で彼女達は人間で無く醜い化け物に変わっていたんだ。


 そこにある裸体はエロくて素敵な体じゃ無くて、ただの肉の塊になっていたんだ。


 なるほどなぁ、僕の性格って結構厄介だなぁ。

 これじゃ童貞を捨てられるのはいつになるのやら。


「ごめんね、君たち全然魅力的じゃ無いからもういいや」


「消えて」





 僕は世界のゴミを掃除する一仕事を終えた後涼しげな夜道を歩く。


 気持ちが良い。

 覆す瞬間が。

 優位に立っていた奴らを、僕に酷いことした奴らを覆す瞬間が。


 そもそも今までが可笑しかった。

 ただ弱い奴が虐められるだけ、それでお話終了、終わり。

 そこに何の面白さも爽快感もない。

 悪いことした奴は痛い目見なきゃいけない、虐げた奴らは虐げられなきゃいけない。

 それでストーリーとして完成するんだから。


 だから僕がこの力を手に入れたのは必然だったんだ。

 偶々とか運がいいからとかじゃなく、そうあるべきだったからそうなったんだ。


 でも、世の中すべてがそうはいかない。

 ただ理不尽な目にあって終わる人間、虐げられ搾取され死んでいく人間で溢れている。


 僕はこの得た「能力(ちから)」で世界を救わなきゃいけない。


 世界を滅ぼすことで世界から理不尽を無くさなければならない。


 それが僕の「勇者」としての使命なんだろう。

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