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恋というのはとても複雑だ。


「ねえ。ジュネ。こっち座りなよ」

「遠慮しておく」


 きっぱり断り、お茶を飲む。

 私は今、彼の借家に来ていた。

 

 彼がマンダイ騎士団の団長に就任してから、一ヶ月が過ぎた。

 あのど派手な真っ赤な制服を着こなせる者はいないと思っていたら、アンは違った。

 まるで彼のためにその制服があるかのように似合っていた。

 十年前に最初に制服を仕立てた業者が泣いて喜んだらしい。

 それから、あのマンダイの騎士達がおとなしく命令に従うかと思ったが、元王子であり第三王位継承権を保持しているアンには逆らわずに、まじめに仕事をしているようだ。

 おかげで街でマンダイの奴らに会っても難癖をつけられることがなくなり、私たち騎士団は本当に助かっている。

 エリーがユアンと付き合い始めたこともあり、私とアンのことは噂に上らなくなっていた。本当に助かる。

 ユアンは手が早いからちょっと心配だが、エリーにそれを言うわけにも行かず、デートは黒豹亭でしたほうがいいと薦めているのみにしている。


 ユアンとは友達関係を続けているが、アンの反対もあって二人で飲むことは止めた。確かにエリーにも悪いし、しょうがない。黒豹亭で飲むのが楽しみになっていたので残念に思っていると、アンが付き合うと言ってくれた。


 ありがとうと答えたら、「これで僕たちも恋人同士だね」と言質を取られてしまった。

 無駄な抵抗を我ながらしていると思う。

 だが、彼はまだ若いし、これからもっと色々な女性に会うと思う。

 だから、彼とこのまま付き合っていていいのかと悩むところだ。


 家に行くことも断固として拒否していたのだが、黒豹亭で彼が酔いつぶれてしまい、家まで運ぶというと、カラン家に迷惑がかかるからと、借りた家に連れていくことになり、今に至る。


「騙したんだな」

「うーん。違うよ」


 酔っていたはずなのに、アンはけろりとしており、ソファで寛いでいる。


「その調子じゃ、一人で大丈夫だな。私は帰る」


 まだ急げば門限に間に合う時間だ。

 席を立てば、腕を掴まれた。


「ジュネ。僕じゃどうしてだめなの?嫌いじゃないでしょ。僕のこと」


 彼は私のすぐ隣に立っており、見下ろされる。


「あなたが、色々気にしているのはわかってるよ。大丈夫。僕こう見えても色々経験しているから」

「は?」

「ジュネは僕がジュネしか知らないから、心配なんでしょ?違うから。僕だって色々試したんだ。だけど、僕はジュネだけが好きだ。他の人じゃだめだったから」


 艶っぽく囁かれ、彼の手が私の頬を包んだ。


「待て!待て!色々試したってどういう意味だ?」

「え?それを聞くの?]


 アンが珍しく動揺しており、視線は宙をさまよっている。

 

「お前が色々な女性を知っていることは理解した。だが、何か許せない。だから私は帰る!」


 そう。

 彼が私以外の女性を知っているのは嬉しい。

 そう、そのはず。

 色々な選択肢が合った中、私を選んだことってことなのだから。

 だが、許せん。

 わからんが。


「ジュネ!ちょっと、ジュネ!」


 背後からアンに必死に呼ばれるが、私は全速力で城に戻った。

 

 恋っていうのは複雑で、本当にわからない。

 でも残念なことに、私は、多分、アンに恋をしている……らしい。

 彼が他の女性と何かしたとか考えると、頭にきてしまうし、その笑顔を自分だけのものにしたいと考えてしまう。

 恋っていうのは人を欲深くする。

 本当に困った感情だと思う。


「ジュネ。本当にごめん。だけど、僕にはあなたしかしないから。信じて。僕の気持ちはずっと変らないよ」


 真っ直ぐに見つめられ、そう言われてしまうともう駄目だ。

 

 私はもう完全に恋に落ちていた。


☆あとがき3☆


こんにちは。

ここまで辿りついた方、本当にありがとうございます!!

話の流れだけでなく、文章、誤字脱字のため、ブラウザバックされた方も多いでしょう。

また突っ込みどころ満載の設定……、お疲れ様でした。


けれども、こうしてこの最終話まで読んでいただき、感謝感激です。

私としては、書いているうちに各キャラへの愛着が沸いてきて、メリアンヌとか、カリナのSSも書きたいとも思いましたが、まあ、この辺で我慢しました。

特にメリアンヌは、ユアンを闇討ちしたくてたまらないと思ったのですが。(苦笑)


ひとまず最後まで書き終えることができ、作者的には大満足です。


最後までお付き合いいただき、重ねてお礼申し上げます。

ありがとうございました!


ありま氷炎 拝

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