響き渡る騒音
あるところにボロい廃墟があった。一見すると荒れ果てた庭に囲まれたアパートの残骸。
しかしこのアパート、きちんと人は住んでいるし、きちんと経営をしているのである。
きちんとしていないのは何点かあるが、荒れ果てた庭よりきちんとしていないことがある。
実は、住んでいるのは人だけではないのだ。
ある朝、アパートには怒声が響き渡る。
「もしもし!」ダンダン!
「ニッケさん!」ダンダン!
「ニッケさん!朝です!起きて下さい!」ダンダンドン!
「昨日起きたら家賃払うって言ったじゃないですか!」ドンドン!
「もう朝ですよ!」ドンドンビキッ!
「払わないなら追い出しますからね!」バキッ!バリバリ!
盛大な音を立てさっきまで悲鳴を上げていた扉は崩れ落ちる。
酒臭く、散らかし放題の部屋に荷物を避ける様子もなく、仁王立ちでニッケと呼ばれるモノ一つと、それを睨みつけるモノ一つ。
朝だというのに暗い部屋でそれらは対峙していた。
「さあ、ニッケさん。家賃を払ってもらいますよ。さもないと、追い出しますから!」
片方がそう言うと、ニッケと呼ばれるモノが乗っている布団をクロス引きの要領で引き出した。
残念な事に、布団では完全に引き切れるはずもなく、ニッケと呼ばれるモノは床に叩きつけられた。
…ベチャッっという音と共に。
「エエ~、大家サン、ボクマダ、起キタバカリデス~ヨ?」
聞き取り辛い片言を吐きながらむっくりとソレは起き出した。
「だからどうしたんですか!家賃の納期は5日も前ですよ!早く出さないと、今朝のご飯も抜きますからね!」
滞納に相当苛立っているのか、大家と呼ばれるモノはニッケとやらに怒声を浴びせる。
「イヤイヤ、チョット待ッテ下サイヨ!ボク遅クマデ浴ビルヨウニオ酒ヲ飲ンデイタンデスヨ?ヲ腹ペコペコデス~」
ニッケは大家の出した文言に反論する。
「お金さえ出して頂ければご飯を出しますし、この部屋に住んでも構いません!だから、早く、家賃出して下さいよ!」
「フェェェ…、大家サンノイケズ!人デナシ!」
すると、引っかかる部分があったのか、それとも、怒ったのか、兎に角大家のオーラが変わった。
「そうだよ!私は人じゃないよ!ヤマネコだよ!だからどうした?このゼリーが!ゼリーの分際で酒なんて飲んでんじゃないよ!ゼラチンでも食べてな!」
大家は頬に紋様を浮かべ、髪の間から大きな耳を出して、ニッケ改め半液体のモノを怒鳴りつけた。
「ヒドイデス!差別デス!アト、私ハゼリージャナイデス!スライムデス!」
半液体改めスライムは大家が言った事に負けじと反論する。
「スライムだかゼリーだか知らないが、家賃払わない奴は出て行け!その体ズタボロに切り刻んで、ゼリーにぶち込むぞ!」
最早、大家としての理性はどこへやら、完全に野生剥き出しの目つきでスライムを睨みつける。
一方、スライムも馬鹿にされたのが癪に触ったのか、怒り出す。
「言イマシタネ?大家サン!イイデス!モウ怒リマシタ!大家サンヲ私カラ出ル淫乱ナ体液デ、メロメロニシテアヘアヘニ調教シテアゲマスヨ!泣イテモ許シマセンカラ!ブッ壊レルマデ飼ッテアゲマスカラネ!」
「いいぜ、かかってこいや!問答無用で切り刻んでやるぜ!」
スライムが大家めがけて淫乱な体液を纏って飛び出し、それに大家がカウンターを決めようと構えたその間に飛び込む一つの影。
「ちょっと、朝から何やっているんですか!辞めてください!」
揺れるポニーテール。揺れる胸。引き締まった腰。肉付きのいい尻。女の子の理想的な体付きをしたモノが、両手を広げ2人の間に立ち塞がる。
「サッチャンドイテ!」
スライムは突然現れたさっちゃんを避けようとするが、すでに空中に居たスライムはなす術も無くさっちゃんの体にベチョッ!という音とくっついた。
もちろん、スライムの体の表面には淫乱な体液が満遍なく纏ってあり、さっちゃんはその体液の餌食となった。しかし、今は服越しな為さっちゃんは淫乱な気分にはなっていない。
それでも、紳士諸君の予想通り淫乱な体液は淫乱だから、当然服を溶かす。みるみるうちに、さっちゃんの服は溶ける。
穴の空いた服からは、年相応の若々しい張りのある肌が見え、たわわな胸に服は耐えられなくなり、パンツが溶けた今肉付きの良い尻を隠すものは穴だらけの大きめのYシャツがかろうじて隠すばかり。
老若男女を問わず魅了する体は、見るものを興奮させるような状態となった。
さらに言えば、服が溶けたことにより淫乱な体液が直接彼女の肌に触れている。
怒り度MAXだったスライムが作り出した、最高級の淫乱な成分は彼女の体の感度を弾き上げる。
元々感度のよかった彼女の体は今では、触られるだけで昇天してしまう。
一方、スライムと対峙していた大家は目の前に背を向けて現れた彼女に驚きながらも、傷つけないように頑張っていた。
スライムを切り刻む為に出していた爪は瞬時にしまい込み、全力で振り出していた腕には逆方向の力をかけ、当たっても痛くないように普段は絶対に出さない肉球を全面に出し、彼女に当たる衝撃を少しでも減らそうとしていた。
いくら人ではないからと言っても、地球の大法則には敵うはずもなく大家の手の勢いは、芯があり、さらに肉が多く付いている所、つまりは彼女の尻めがけていた。
パチンッ!という軽い音と共に彼女の尻を叩いた。
先ほど言ったように、今のさっちゃんの状態では、そんな衝撃は快感へと生まれ変わる。
そこからは、紳士諸君のご期待通りの展開が待っていた。
ボロアパートに響き渡る嬌声。それに続く大声。
ここは、一見ボロアパート。近所の住民もここに住むものなど想像すらしていない。それなのに鳴り響く騒音。
人はここを『泣き叫ぶアパート』と呼び肝試しの子供すら近づかないようになっていた。
そんなアパートに住むスライムやら化け猫の大家やらそんな中、一人のヒトが住み着いた。
そこの面白いと思った方、レビューありますよ!レビュー。レビューによって連載できるか分かれますから!1点でもいいですよ!