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第5話 要求

あれから少しして。

お兄さんはなんとか落ち着き、色々教えてくれた。


人に危害を加える盗賊・野盗・モンスターには懸賞金がかけられており、

討伐・捕縛した際は国の兵士に引き渡せばお金を貰えること。


すぐ近くの村でも引き渡せることには引き渡せるが、

大きな集団ならともかく、無名の野盗数人では大したお金にならないこと。


そもそも、捕縛するための縄などが手元に無いので村へ連行するのが難しいだろうということ。


連行するのが難しいし、苦労してもはした金にしかならない。

しかし、いくら悪人だからといって殺すのも夢見が悪い。

仕方が無いので野盗の皆さんは治療し、もう悪事を働かないように注意してリリースした。

もっとも、野盗をするような連中に「もうするんじゃないぞー。」ぐらいの注意をしても無駄なことぐらいはわかる。

だから少し『説得』することにした。

話が通じ改心したのか、彼らはもう二度と悪さをしないと誓ってくれたので解放した。


説得内容については企業秘密である。

決して、「もし次に合った時に同じように悪さをしていたら命はない。」とか、

「お前らが悪さをしているという話を聞いたら討伐に来る。」とか、

「まだ死にたくないよね?」とか、

満面の笑顔で言ったりなんてしていない。

かなり強く脅しつけてもやりすぎということはないのだ。


「さて、お兄さんをお家まで送りますよー。」


お兄さんに声をかけると、「いいのかい!?」と

一瞬喜びの表情を浮かべたものの、すぐに落胆した顔になる。


「でも、君ほどの腕の立つ傭兵を雇うお金なんて多分払えないよ。」


「いえ、お金は取る気はありません。ただし・・・。」


僕は真顔で、人差し指を立てる。

お兄さんは何か物騒なものでも要求されると勘違いしたのか、ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。


「出来れば、今水お持ちではないですかね?

喉がカラカラで・・・。

贅沢を言えば、今日のご飯と一晩の寝床を頂ければ嬉しいです・・・。」


一文無しで道もわからず水や食料も無い。

野盗をするわけにもいかない。

とりあえず今を生きるために「恩でお腹を満たす」ことは重要なことなのであった。

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