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ゴブリンのサイズ変更しました。
「.......うぁ、...は?」
目を覚ますとそこは森の中だった。
「ん~、まだ夢見てんのかオレ?」
頬を抓ってみる......痛かった。
「どうなってんだ?夢じゃないのか?」
(痛覚もある、目の前の風景が夢とも思えないし...)
京介はバス内で何か魔方陣のようなものが現れたことを思い出した。
「夢かと思ってたんだけど現実だったってことか?いや、バスが事故で森に落ちたとかもありえなくはないし...」
そう考えて、ふと空を見上げるとそこには、
「お~きれいな星空だな。2つの月も.........月が2つ!?」
もう一度よく見る.....2つある。
「あ~、バス内で誰か言ってたけどマジ物なのか?」
京介は自分が今どんな状況なのか考えた。
大学に入る前からネット小説やマンガはかなり読みまくっていた彼は今自分が置かれている状況がよくある異世界召喚系のものなんじゃないかと思い始めた。
しかし、未だに心のどこかでは“そんなことあるわけない”と考えていたので“やっぱり夢なんじゃないか”という考え方の方が強く、夢であってほしいという願望もあり、
「やっぱり夢だろ。かなりリアルだな」
かなりリアルな夢だと考えることにした。
「とりあえずは、定番の装備確認ってか」
かばん、筆記用具、教科書、時計、空の水筒.....おわり。
「おいおい、こんなんじゃ敵が出てきたら即終了だぞ(笑)」
夢だと思っている京介はゲーム感覚だった。
しかし、すぐに現実を思い知ることになる。
「とりあえずは、はじまりの町的なものを探すか」
夜の森の中をとりあえず歩き始める。
夜とはいえ、星空と月のもと明るいところが多く真っ暗というわけではなかったので普通に歩けた。
「夢だったら、ぱぱっと町についてくれないもんかねぇ」
その時、
“ガサガサッッ”
「!」
木の陰から出て来たたそいつはRPGでよく出てくるあのモンスターによく似ていた。緑色の肌に130cmほどの体躯、小さな角、そして手に持つ棍棒。
「おいおい、これってどっからどう見ても.....ゴブリンだろ。」
「グアァァァァァ!!」
ゴブリンはこちらの姿を確認すると棍棒を振り上げて襲いかかって来た。
「やっぱりバトルになるよな~、こっちはショートソードどころか初心者の剣も持ってないんだぞっっと」
危なげなく棍棒を回避した京介はそんなことを考えていた。
幼い頃から古武術の鍛錬をしてきた彼は武器を持った相手に対しても臆することはなく、ただ力任せに振り下ろしてきた棍棒を避けることなど造作もなかった。さらには、RPG定番の最弱モンスターで知られるゴブリンが相手だったので完全に舐めていた。その慢心が京介の感覚を鈍らせた。
「ガアァァァ!」
振り下ろした棍棒を上手く使い、目に向かって土を飛ばして来たのだ。
「なにっ!うっ」
見事に目に命中し、視界を奪われてしまった。
それは致命的な隙だった。
「ガアァァアァァァァ!!!」
「ガハッ!!おェっ」
ゴブリンの渾身の一撃が腹に入った。見た目通りの威力で思わずその場でうずくまり、口から血を吐く。そこに更なるゴブリンの追撃が襲う。
それを転がるようにして避けた京介は体の芯から滲み出てくる痛みが夢ではなく現実の痛みであることを否応がなく自覚させた。
「はぁはぁ、マジかよ.......夢じゃねえのかよ.....」
少しずつ冷静さを取り戻してきた京介はこれが現実であることを完全に自覚した。そして、今の状況は自分にとってかなりピンチだということも理解した。
「ガアァァ!!」
棍棒が振り下ろされる。
「舐めんな!!」
腹にかなりの一撃をくらったとはいえ京介は古武術を修めた者なのだ。痛みを我慢し、冷静になれば力任せに振り下ろされる棍棒がなど避けられないわけがなく、そのままカウンターの肘鉄をゴブリンの顔面に食らわせた。
「グァッ!」
「おまけだ!!」
さらに回し蹴りをおみまいしてゴブリンをふっ飛ばす。そのまま木に激突したゴブリンは動かなくなった。
「はぁはぁ、夢じゃないなんてな...」
戦闘には勝ったものの腹に貰った一撃が響いているようで、その場に座り込んでしまった。
その時だった。
《レベルアップしました!柳京介はレベル2になった!》
「は?」