06
爽やかな、からりとした良い天気だった。
風も無く、陽の光で丁度良く寒くない、とても過ごしやすい。昨夜は寝る時間が遅かったからか、目が覚めた時には既に陽は高くにあった。こんな日は用事が無くても出かけたくなるのだ。
軽い朝食を取って、準備を済ませたマグは家を出た。特に目的は無い。
目立つ白い髪は深めに被った帽子で隠し、少しでも言い訳が効く様に洒落たサングラスを掛ける、やはり吸血鬼になっても陽の光は恋しいのだ。
ふらふらと人目に付かぬ様に彷徨い歩いていれば、コンビニエンスストアが目に留まった。
そういえば、あの甘い物とは縁が無さそうに見えた春明が食べていたアイスは美味しいのだろうか? そんな疑問が浮かんだ。
此処にあるか分からないが、見てみようかなと思ったマグはコンビニに立ち寄った。
いらっしゃいませー、と気だるげに明るい声を聞きながら、店内をふら付いた。
商品棚からは冷気が漂う、視線を躍らせればソレはあった。
「……意外と高いかも」
記憶に違いが無ければ、確かにあれだった。子供向けの様な商品名の割に合わない、そんな値段設定だ。某有名ブランド並みでは無かろうか? 悩んだが食べてみたい。
手を伸ばせば、誰かの指先に触れた。それは氷の様な温度の指先だった。その温度に驚き視線を落とせば、綺麗な硝子球の様な二つの瞳が見えた。青い硝子細工の様な瞳を瞬きさせて、にやっと悪戯好きそうな笑みを浮かべて少年は口を開いた。
「これぞ運命の出会い……――なぁんちゃってね? お先にどーぞ、おねーさん♪」
その少年はすぐにマグから距離を取った。もしかしたら吸血鬼だと気付いたのかもしれない。
少し戸惑った様な視線を少年に向けたが、彼はニコニコを通り越してニヤニヤしていた。
「……美味しいよね、それ」
戸惑った様な視線をマグが向けていたからか、少年はにやけ顔を取っ払って笑った。
「……えっと、まだ食べたこと無いんです。……知り合いが食べてたから気になって……」
「そーなの? じゃあ絶対食べた方が良いよん、美味しいからさ!」
人好きしそうな笑みを浮かべてそう言った少年に、マグは困った様な表情を浮かべた。
「ちょっと……まだ、悩み中って言うか……高いし?」
「まあちょっと高いよねぇ、しかもそれコンビニにしか売って無くってさー」
「俺それ全部買い占めたいんだよね」と少年は言った。確かに買い占めたいなら、マグの様な存在は邪魔なのかもしれない。それにしても贅沢なアイスを買い占めるとは、この少年はお坊ちゃまなのだろうか、そんな関係の無い事を考えながらマグはアイスを手に取った。
「そっか……、ごめんねー。邪魔しちゃったみたいで」
「別に良いよ。気にしてないし、お姉さんナイスプロポーションだし、目の保養だし?」
マグはそんな少年の答えに乾いた笑いを返して、会計へと向かった。
会計が終わり、店から出る前に少年が気になり振り返れば、確かに大量のアイスを籠に詰めていた。その後ろ姿を見て、本当に買い占めるんだなぁ、と思い苦笑いを浮かべた。
本当に軽い朝食だった所為か、まだまだ体がエネルギーを欲しているらしい。まあすぐに食べる予定だったし、と思いながらマグは袋を開けた。それはアイスバーだった為、立ちながらでも食べやすい。ゴミ箱へと袋を捨てながら、マグはヴァニラ色のそれに口を付けた。
想像以上に濃い紅茶の香りに驚いた。
「んむ……、でも安部さんの入れた紅茶の方が美味しいなぁ……」
「心情的に」とマグは呟いた。それはそうだろう、彼女は甘い物が苦手なのだ。
ミルクの味も紅茶の香りも甘みも強いアイスクリームなんて、彼女にとっては苦手の部類だろう。それでも久々の甘い物は、少しは美味しいと思えた。
「うん……サクサクしてるとこが美味しい……、でも暫くは食べたくないかも」
うんうんと頷きながらアイスを食べていると、背後から「ねぇ」と声を掛けられた。
振り向けば、黒髪の色白な男性が視界に入る。
「えっと……君は、吸血鬼だよね?」
小さく問われた声に、マグは頷いた。口の中にアイスが残っていた為に声は出せなかった。
そんな事を聞いて来た男性は、紛れも無く吸血鬼だった。
質問内容もそう思わせる要因だったが、何よりも纏う雰囲気が人とは思えない。
実際に臭う訳では無いが、彼は何処となく血生臭いのだ。
怪訝そうな表情で見詰めていると、男性は苦笑いを浮かべた。
「怪しい者じゃないんだけどなー……、なんて言っても信じられないよね」
困った様に笑う男性は、日本人では無さそうだ。
高い鼻に透き通る様な白い肌、長いまつ毛が影を落としている。とても綺麗な顔立ちだ。
深い色合いの赤い瞳は、マグの眼と少し違った。
そんな彼を見て、外国産吸血鬼、と少々失礼な事を考えていた。
マグは口に残っていたアイスを飲み込んで、軸だった棒を捨てると男性に視線を移した。
「……噂を聞いて、引っ越してきたんだけど……。迷っちゃってさ」
「この町に吸血鬼を援助する団体があるって」と申し訳なさそうに笑う男性を見て、納得した。
先程の質問も、これに繋げる為には必要だったのだろう。
吸血鬼では無く、人間に聞いていたら大問題になっていたかもしれない。
大層困っているのか、男性の眉尻は悲しそうに下がっていた。
「確かに、――分かり辛いんですよね、……あそこ」
小さく呟いて、盗み見る様に男性の様子を窺えば、目が合いにっこりと微笑まれた。
確信的な物は無かったが、悪い人物には到底思えない。
「……分かりました、案内しますよ」
マグが笑ってそう言えば、男性は安心した様な表情を見せた。
もしこの場に春明が居れば、「危機管理不足」だの「不用心」だの「馬鹿」とか言われそうだなぁ、と居ない彼を想った。それでも困っている人を見捨てられないのだ。
「ありがとう、お願いするよ」
笑って礼を言う男性に、道を教えながら歩き出した。彼の横顔を見て、ふと何かを思い出した。
そう言えば、似た人を最近見た事があった様な気がした。
僅かに表情を険しくして、首を傾げるマグを見て男性は少し笑って聞いた。
「どうかしたの?」
「えーっと……何でもないです」
その笑顔が微かに胡散臭く思えて、マグは硬い表情で呟いた。
距離を取るマグを見て、男性は困った様な、悲しい様な表情を浮かべてそれ以上は追及しなかった。やはり人を疑うのは苦しいな、と悲しそうな顔を見るとそう思えた。
「この辺りは、やっぱり吸血鬼でも住みやすい?」
「どうでしょうかね……」
生活は出来るが、それ以上は無い。だがまともな生活ができると言うのはだいぶ大きい。
それを踏まえて考えても、住みやすいかどうかの判断は難しかった。
「……日本語上手ですよね」
「まあ……仕事柄色んな所に行くから、何度も日本には来てるからさ」
仕事で日本に滞在か、どんな仕事をしているのだろうか、と少し疑問に思った。
「キミはさ、犬とか好きかな?」
「犬……ですか?」
鸚鵡返しに答えながら男性を見れば、笑顔を浮かべていた。
良い人なのだろうな、と思わせる様な笑顔で、少し安心してしまう。
「そう、犬だよ。俺は好き、従順で馬鹿っぽくて可愛いよね。ソレでいて意外と凶暴だしね」
「はぁ……、でも凶暴なワンちゃんだと保健所とか、色々と大変だと思うんですけど」
ふふっ、と小さく笑うと彼は「まあそうだね」と小さく呟いた。
先程の返しに何か面白い所でもあっただろうか? とマグが首を傾げれば男性はさらに笑みを深めた。心底面白がっている様な、そんな笑いだった。
「まあ、そういう所にお世話にならない様に手懐けるのが楽しいんだよ」
「そっかぁ……、言う事を聞かない犬とかを調教する感じなんですか? トレーナー?」
少々間があったが、男性は面白そうな雰囲気で肯いた。
クスクスと小さく笑う彼の声は、意外と気にならなかった。
「ねぇ、ある特定の物事を語る上でさ、良くソレを指す言葉を誤魔化したり隠したりするよね」
まぁ、その通りである。その通りではあるが、話の繋がりがよく分からない。
怪訝そうな表情を見て、男性は笑う。
「解らないなら良いけど。――キミって犬っぽいよね、でも俺の好きな感じじゃなくて子犬っぽい感じ、俺が好きなのは大きい犬とかなんだよね」
どういう意味か、理解しきれずにマグは目を瞬かせた。
どうやらマグが理解できないのを見て彼は笑っている様で、肩を震わせた。
「解らせたい、なぁんて思うんだよね。俺ってそう言う奴なんだよね、子犬は成長したらどんな牙を見せてくれるの? 完璧に折った訳じゃないよね?」
「えっ……、えっ? 意味が解らないんですけど……」
不穏な空気を感じて、マグは一歩足を引いて距離を取った。
あまり良い雰囲気では無い、と思うのに男性自体が悪い人物だと思えないのが異常だ。
まだ疑うのは良くないなんて思う心があるのか、自分の考えがよく分からずに小さな混乱を孕んだ。彼が何を言っているのか、分かりそうで分からない。
「解らなくても大丈夫だよ、すぐ解る様になるから」
戸惑っていると、手を引かれた。細長く綺麗な白い指に力が入って、腕に食い込んだ。
何なんだこの人、そんな考えが頭の中を埋め尽くしていた。
取られた手元は、男性の口元へと運ばれた。噛まれる、と思ったマグが手を振り払えば彼は、驚いた様できょとんとした表情を浮かべた。距離を取るマグを見て理解したのか、彼は笑った。
「――意外。俺って綺麗な顔してるから、拒まれた事無いのに」
「やっぱり一途なんだ」と男性は笑いながら呟いていた。
噛もうとした訳では無い、と混乱した頭でも分かったが、何が何だか分からない。
人が良さそうで、何故か今でも悪い人と思えない彼はどうやら危ない人の様だ。
徐々に混乱した頭でも事態を理解し始める、彼の言った犬とは人の事だろう。人を調教するのが好き、だなんて会って間もない他人に言ってしまう程に彼は変だ。むしろ変態だ。
「す、すみません……。もう、目的地まで近いですから、歩いていれば見付かりますから」
そう言って逃げようとするマグを見て、「律儀だね」と男性は笑って言った。
彼は逃げ出すマグを追い掛ける事はしなかった。後ろ姿をただ笑って見送ったのだ。
あまり走る姿を人に見られたくない、その思いで裏路地を選んで走っていた。
「そういえば……、あの人昨日見たのかも」
服装等が似ている様な気がした。似ている様な気がするだけで、間違いかもしれない。
そんな事を考えていると、背中に衝撃を感じる。獣臭さが鼻に衝いて肩口に痛みが走る、視線を向ければ獣が噛み付いていた。いや、獣では無い。獣に良く似た人だ。
骨が嫌な音を立てる、肩を噛み千切る積もりなのかもしれない、そう思うと体が恐怖に震えた。
「……い、やぁ――――――ッ!」
気持ちの悪いそれを力任せに引き剥がして、力一杯に叫んだ。
突き飛ばしたそれはふらりと体勢を崩しただけで、何一つダメージを受けていない。
傷口が熱い、流れ出る血の臭いに顔を顰めた。
人とは思えない大きく裂けた様な獣の口は、見ていて気持ちの良い物じゃない。
「あはは、ごめんごめん。痛いよね?」
元凶なのだろう、にこにこと笑いながら男性は、ゆっくりと歩きながら近付いてきた。
笑顔を見ると、やはりどうも悪い人に見えなくなってしまう。笑顔が原因なのだろうか?
錯覚と言う言葉が、脳裏にちらついた。
「すごい汗だよ、やっぱり痛いよね。早く治療しないと、……汚いからね」
近付く男性に、恐怖を感じて足を引けば背中に固い物が当たった。そこには壁があった。
見られない為に選んだ裏路地が、今はマグを追い込んでいた。
ポケットから取り出したハンカチは、とても綺麗な物だった。汗を拭う手先は怖い程に優しい。
「大丈夫だよ、キミ自身にはあんまり興味無いし?」
男性の事は確かに悪い人には見えなかった。だがそれ以上に恐ろしい物に見えた。
矛盾した考えが、マグを混乱させた。
「治療しなきゃ、本当はキミを襲わせる気なんて無かったんだよ」
それなら、どうしてそんなに嬉しそうな表情をしているの。
そう思ったが口には出せない。有無を言わせない、そんな雰囲気がそこにはあった。
「綺麗なままじゃないと、そこまで執着して無いみたいだし。意味が無くなるよね」
どういう意味なの、そんな事を思っていると、男性の眼に囚われる。
頭の中が恐怖で一杯になる、そんな感覚に襲われて体が震えた。
「簡単に捨てられる存在って事だよ、憧れの彼にさ」
この人は何を知っているのだろうか、混乱と恐怖に満たされた心で考える。
答えなんて出る筈が無く、溢れ出たのは焦燥感と言い知れぬ不安だけだった。
「俺はキミなんかよりも、よーく彼について知ってる。キミなんかが知らない彼を知ってる」
「キミは彼について知ってる?」そう問う声に、首を振る事しか出来なかった。
男性の言う彼とは、きっと自分も知っている人物だ。最近良くして貰っている、あの人だろう。
でも、どうして、どうして、そればかりが頭を占めた。
「彼は可哀想な奴なんだよ、どうしてか知ってる? お気に入りなんだ」
ふわふわとした、的確では無い言葉は心を刺激する。勿体ぶる言い方をしないでほしい。
「戦う事を宿命付けられた正しく主人公って奴だからね」
「……どうして」
そのどうして、には様々な意味が含まれている様な気がした。
自分の感情が分からない程に、マグは混乱と恐怖で疲れ切っていた。
「まあ、面白いから? 俺にはよく分かんないけどさ、そう言う趣味の人が居るんだよね」
玩んでいるのか、そうぼんやりと思った。疲れ切って良く考えられなくなったらしく、虚脱感が体を蝕んでいた。酷い話だ、と何となく感じた。
「俺の仕事は、そんな彼を刺激する事だからね」
「刺激……」と鸚鵡返しにマグは小さく呟いた。考える事を放棄した様な声だ。
「彼を刺激するにはどうしたら良いか? やっぱり愛情とかって大事だと思うよ。強ければ強いほど良いんだけどね、本当は」
「キミにも詳しく聞いて欲しいんだ、彼の為にもね」そう言った男性の表情は、清々した笑みだった。そんな笑顔に思考が囚われる、悪い人では無いのだろうと思ってしまう。
彼の為と言われると、心が揺れる。
「俺は彼の事、嫌いじゃないから。むしろ好き……、――いや大好きだよ」
そう言って笑い伸ばされる手を、取っても良いのではないだろうか? と思えた。
何時の間にか座り込んでいたマグは、男性の手を取って立ち上がった。
力を入れれば肩口の傷が痛み、漸く傷の事を思い出して顔を顰めた。
「安心して、俺は嘘が嫌いなんだ。言った事は絶対にやるし、曲げる気は無いよ」
そう言って笑う男性に、くらくらした。容量を超えてしまった様で、眩暈がしていた。
頭に負担が掛かっているのか、酷い頭痛がしていた。それは警報の様だった。
手を引かれてぼんやりと歩いていた足を止めれば、足元で獣の様な人が急かしていた。
不機嫌そうな表情で「危機管理不足」と小さく呟く彼を簡単にイメージできたが、足を止める事は出来なかった。
その頃、春明はまだ何もやる気になれず、ベッドの上で怠惰に耽りながら記憶を反復していた。
昨晩アイスを食べてから何も口にしていない、何かを食べなければいけないのに体が受け付けない。このまま体重が減り続ければ、仕事すら儘ならなくなるのに、と溜息を吐いた。
そんな思考を放置して、目を閉じる。思い浮かべるのは朧気な記憶だ。
両親が死んだ日の事は何となく、覚えていた。
梅雨の晴れ間、弟の死から一年を過ぎた頃だった。
春明の両親は、二人とも祓魔師だった。
その日は朝から用事があると早く出た二人を見送って、憂鬱な気持ちを引き摺って家を出た。
行きたくも無い学校に行って、鬱蒼とした心に苛立ちを溜め込む、そんな毎日だった。
受け入れられない自分は、祓魔師になる事が決められていたからか、それともアレだったからか、どちらにせよ浮いた存在だ。
弟が殺された事も、起因だったのかもしれない。
別に然程気にする事は無い、勝手に恐怖して近付かれないのは楽だった。だがジロジロと見られるのはストレスだ、と幼いながらに重い溜息を吐いた。
春明は気分が悪い事を理由に、その日は昼前には学校を早退した。別に嘘は吐いていない。
受け入れられる事はありえないと分かっていたから、気にならないと考えた。
何か遭った時の為にと持たされた剣は、細身ながらに子供には重く長い。引き摺る音が耳障りだった。こんなのを持っているのだって、避けられる原因だと理解していた。
でも自分にはこれが無いとダメらしい。
「あ、もしかしてお前が……安部の子供?」
声を掛けられ顔を上げれば、煌めく様な鮮やかな紅い瞳が見えた。
その女性は修道服を着ており、マグに似た髪と眼を持っていた。銀色の髪が目に眩しい。
他に何を言われたのか覚えていない、此処から記憶がかなり曖昧になるのだ。
それは暖かな日差しの中の犯行だった。引き摺られる様に連れられて、放り投げられる。
「なにこれ」
怪訝そうな男性の声に、顔を上げた。
逆光の所為で顔が良く見えない。本当は見えていたのかもしれない、だが思い出せない。
その男性の手には、象牙色の棒が握られていた。先端が鋭い事から、もしかしたら槍なのかもしれない。視線を彷徨わせれば、部屋の隅に無残な二体の死骸が見えた。
「あら……まあ、可愛らしい。何処で拾ってきまして?」
声の聞こえてきた方へと視線を向ける、そこにいた人物は紅だった。
紅色に眼を囚われる、とてつもない恐怖が襲う、これ以上は思い出せない。思い出してはいけない、と本能が語っていた。まだ受け止められる程の心が無い。
家族の死から立ち直れていない春明には、重く大きすぎる真実だった。
過去の事を思い出していた所為か、体が燃える様に熱い。嫌悪感から舌打ちを打った。
「……抑えられない」
その事が、恐怖だった。
再度布団に包まって、もう少し休む事をメールにて伝えれば二つ返事で許可が出た。
抑え込む為に、言い聞かせる。自分は違うのだと、そうでは無いのだと、言い聞かせた。
それは願望にも近い、自己暗示だった。