シャミと二人っきり
「みなさん行っちゃいましたね」
「そうだな」
つい先ほど、リック・リン・ミュウの三人が家を出て行った。次にみんなでこの家に揃うのはしばらく先になってしまう。
さっきまで騒がしかった家の中が嘘のように静かになっている。同時に広くも感じる。
「なんか寂しくなっちゃいましたね」
シャミも俺と同じことを考えていたようだった。
ソファーに横たわる。俺は未だに先日までの疲れがたまっている。まあ、久しぶりに働いたようなものだ。仕方がない。
シャミは朝食に使った食器などを片付けている。その後ろ姿、最高にキュートだ。尻尾を嬉しそうに左右に振っている。何かあったのだろうか。ダメ元で聞いてみるか。
「シャミ、なんか嬉しいことでもあったのか?」
「はい!」
即答だった。
「何があったんだ?」
「だって、久しぶりにお兄ちゃんと二人っきりになれたんですよ。嬉しくないわけがないじゃないですか」
あっさりと教えてくれた。そんな恥ずかしいことをよくそんな簡単に、しかも本人に言えるな。
振り返って最高の笑顔を俺に向けてくれる。やめろ、眩しい。でもやっぱりやめないでくれ。
俺だって嬉しいさ。もちろん恥ずかしくて口にすることはできないが。
「なんかこう二人っきりになると、最初のころを思い出すな」
「そうですね、懐かしいですね。あの頃は私も新米で失敗ばっかりしてたな」
「あれ、そうだっけ?」
「そうですよ」
覚えてないな。もしかしたら俺の知らないところで失敗をしていたのかもしれないな。
さて、これから何をしたらいいのだろうか。シャミはいろいろと忙しそうだ。俺も手伝ってもいいのだが、どうせ「休んでていいよ」と言われるのが関の山だろう。
そんなことを考えているうちにもシャミは手際よく家事を終わらせている。なんかもう家事のプロフェショナルみたいにも見えてきた。可愛いし家事もできるし料理もうまいしもう完璧だ。異論は認めない。
「あ、お兄ちゃん。お願いあるんだけどいい?」
「なんだ?」
「後で一緒に買い物に行ってくれる?」
「もちろんさ」
そんなイベント断るわけがないだろう。
ジッとしていられないのが俺のため、せわしなく働いているシャミのことを手伝うことにした。なんかこういうことをするって夫婦みたいだな。そう思ったが、恥ずかしくなってきたため考えるのをやめた。