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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
リンの異変
70/80

戸惑い

 えっと、兄妹?兄妹ってあの兄妹でいいんだよな?お兄ちゃん。って呼んでくれるの。よく萌え要素の一つとして数えられるの。え、と言うことはあの夢で出てきたトラックに轢かれて死んだ女の子(つまり妹)は今のリンと言うことなのか。おいおい、ちょっと待てちょっと待て。えっとマジ?マジで?

「あぁ、お茶出しますね」

 俺が戸惑っているのを見てかナナさんがお茶を入れに立ち上がった。

 どういうことだ。いや、リンが俺の妹だということはわかった。いつだか夢を見たときに女の子が誰かに似ている気がしたのはそれがリンだったからであろう。だからってその真実を俺に教えて何になるというのだ?てか、なんで元妹であるリンに殺されかけなければならないのだ。

「お茶どうぞ」

「……ありがとうございます」

「やっぱり急に言われて驚いていますよね」

「あの、それ本当なんですよね」

「はい」

 断言されたよ。まあ、こんな時に嘘をつかないであろう。

「なんでそんな大事なことをこのタイミングで教えてくれたんですか?」

「その件なんですが」

 ナナさんが説明してくれた。要約してみよう。

 兄妹がそろって転生されるなんてことは珍しくもなんともないらしい。むしろ日常茶飯事の事らしい。だが、その兄妹が一緒に暮らすなんてことなんてことはほとんど無いという。さすがにそこらへんは魔王側で考えているらしくなるべく離れた場所にそれぞれを転生させるという話だ。それは俺達も例外でもない。しかし、元の主人に捨てられ、たまたま近くを通り過ぎた俺がリンを雇ったことで段々と歯車を狂わす原因となったらしい。

 しかししかし、それまた問題ない範囲内だという。ほとんど例はないらしいが大丈夫なことらしい。それが今この状況に陥ったのはリンの俺を殺そうとする行動だという。なにかしらの原因でリンは人間界のことを断片的に思い出したらしく、兄妹と言うことはわかっていないが自分を見捨ててどうでもいい同級生を助けたということに恨みを持ち、俺を殺しに来ているらしい。

 で、厄介なのが一つ。これらの行動はリンが自覚を持っていないらしい。そう言われると、確かに俺の首を絞めた後焦っていたのにも納得がいく。

 ……こんなもんだろうか。

「すいません。私もうまくは説明できないんです。だけどこの今の状況を知ってもらわないと……」

「そうなんですか」

 しゃべることを見失い、出してもらったお茶を飲む。うん、普通にうまい。

「あの、ナナさん?」

「はい、なんでしょう」

「気になったんですが、おれらの情報はどちらで?」

「機密事項ですね。言えませんが。まあ、こちらの素晴らしい情報網で知っているとでも思っててください」

「はぁ」

 なんか怖い。もしかしたらいつも監視されてるかもしれない。いつどこに出かけたかとか、昨日の夕飯は何を食べたかとか。なんか、これからビクビクしながら過ごしていかないといけないみたいだな。

 そして、俺はこれからどんな顔をして家に帰り、どんな態度でリンと触れ合っていけばいいのだろうか。

「あの、今話してもらったことってリン以外には話していいんでしょうか?」

「その件なんですが。すいませんが、しゃべらないでもらっていいですか」

 え?

「この事態ですら前代未聞なんです。なので、なるべく秘密にしていきたいんです」

 俺は前代未聞の事件の当事者になっちまったということか。すごいことなのかなんなのか。

「一人できついと思いますが誰にも言わない方針でお願いします」

「…わかりました」

「その分私はいくらでもあなたの相談を受けますし、できるかぎりのお手伝いをします」

「ありがとうございます」

「まあ、私はこの事態の責任者なので当たり前なんですけどね」

 え?責任者?

「私ごとで責任者が勤まるかどうかわかりませんが精一杯やらせてもらいます」

「えっと、責任者さん?」

「はい」

「と言うことは、ナナさんけっこう偉い人だったりするんですか?」

「そういうことにもなりますね」

 マジか。てことは何、俺今かなりすごい人と話してるんじゃないか。なんかどうでもいいところに感動。

「こちらからもできるだけのサポートをしていきます」

「はい、お願いします」

 大きく一礼する。

「それでは俺はこれで」

「玄関まで送っていきます」

 この可愛らしい部屋を出て、ナナさんと少し会話を交わしながら魔王城を後にした。

 さて、これからはどうしたらいいものかね。

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