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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
日常
7/80

魔王からの依頼

 みなさんはこういうことはないだろうか。朝方眠っているか起きているか微妙なときに寝返りをしたら、目覚まし時計を押してしまいうるさい音を出してしまうという体験だ。

 それを今日、リックがやらかしたのだ。


 ジリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!

 目覚まし時計のやかましい音が鳴り響く。

「う、うるさい」

 起こすための道具とはいえ寝起きのあの音はうるさすぎる。音を止めるために手探りで探し音を止めた。

「くそ、目が覚めちまった」

 せっかくぐっすり寝ていたのに。体勢的にリックがやらかしたのだろう。そのリックはというとぐっすりと寝ている。なんで俺が起きてこいつが寝てるのだ。シャミはというと「お兄ちゃんうるさいよぉ」と言いながらこれもまた寝ている。羨ましすぎる。もう目がパッチリだ。

「テレビでも見てるか」

 みんなが起きるまでテレビを見ることにした。


「あれ、もうお兄ちゃん起きてる」

 シャミだ。

「起きたか、おはよ」

「おはよう、今日は早いね」

 ええ、まあね。今も寝ている誰かさんのおかげでな。

「ご飯作るからちょっと待っていてね」

「あ、俺も手伝うよ」

「じゃあ、お願いしようかな」

 お願いされよう。シャミが楽になるためなら俺は何でもするだろう。

「まず、シャミ。顔洗って、寝癖直して来い。アホ毛立ってるぞ」

「え、あ!ちょっと待ってて」

 シャミは慌てて洗面台に向かった。寝癖あってもシャミはかわいい。おまけにアホ毛がまたいい感じでシャミのかわいさを引き出していた。

「おまたせ、じゃあ作ろう」

「おう」

 そうして2人で朝食を作ることにした。



 朝食を作り終えたらシャミはリックを起こした。そして、3人で飯を食った。

 俺が朝の恨みを込めた眼でリックを見ていると

「なに、食べさせてほしいの?はい、あーん」

 なぜそうなる。まあ、ここで食べないという手段はないだろう。

「あーん」

「はい、どうぞ」

 食べさせてもらうとおいしい。今までの恨みが消えていく、ということはないが、まあ、リックにも悪気があったわけじゃないだろう。この際だ許そう。

 食べさせてくれてる間、シャミはこちらを少しうらやましそうな感じのようなふくれているみたいな感じで見ていた。そんなシャミのふくれている顔もかわいかった。


 食器の後片付けはリックが率先してやってくれた。俺もこのままゆっくりできていたらいいんだけどなにぶんこれから魔王からの依頼をこなさなければいけないのでゆっくりできない。

 依頼内容は『ロイの住んでる町付近の魔物が急激に増えているので適当に減らしてこい。もちろん報酬はある』ということだ。適当ってのが少し引っかかるが気にしないでおこう。

 一人では少し時間がかかりすぎると思うので、リックと一緒に行きたい。しかし、シャミがまだ病み上がりのため一人にしておくのも心配なので、最終的に俺一人で行くことになった。

「んじゃあ、行ってくる」

「あ、ロイ行ってらっしゃい。気をつけてね」

「お兄ちゃん、怪我しないでね」

 シャミのその心配そうにこちらを見る目は俺を張り切らせてくれる。

「怪我なんてしないよ。じゃあ、行ってきまーす」

「「いってらっしゃーい」」

 俺は魔物退治に出かけた。




「それにしても魔物多すぎだな」

 魔物退治を始めてすでに3時間が経過。昼飯はすでに現地調達で食べている。

 魔物とさっきから戦っているのだが魔物は途切れることなく現れる。リックがある程度強いやつを倒していたおかげかほとんど強いやつにあっていない。しかし、雑魚キャラの連続というやつもきつい。出てくるのは大抵ゴブリンかスライムだ。おまけにスライムなんて某ゲームに出てくるそのままの姿だ。本当にいたんだな。

「魔物退治をやってると自分がゲームの中に入ったみたいだな」

 少し水を飲んで休憩している。やはり動きっぱなしはきつい。ちなみに俺の戦いかたは大体爪で相手を引っかくと言う感じだ。弱そうと思うだろうがこれが結構相手を簡単に倒せる。爪と言うのは便利だな。そろそろ伸びすぎと言う感じもするが。

 とか思っているうちにまた新しい魔物の群れが現れた。スライムとゴブリンをミックスした群れだ。くそ、こんな疲れてるときにこのスライムの顔を見ると笑われている感じで無性に腹が立つ。

 こうして俺は夕食時までへとへとになりながら戦っていた。



「お兄ちゃん大丈夫かな?」

「大丈夫でしょ。強いやつは優先して私が狩ってるからあまりいないし」

「怪我してないといいけど」

「だから大丈夫だって。ロイしぶといし」

「ハァーーーーー」

「私の話聞いてないね」

 シャミはロイのことを心配しすぎているためリックの話はぜんぜん耳に入っていない。

「やれやれ」

 さすがにこの状況ではリックも苦笑い。

 その上の空の具合は昼食でよくわかる。シャミは珍しく昼食を失敗してしまったのだ。塩と砂糖を間違えるというマンガの中のドジッ子の中のドジッ子しかしないようなミスをしたのだ。それでもリックはがんばって昼食を食べた。

 リックもすでに気がついていたがシャミもロイのことが好きなのだ。もちろんロイがシャミのことを好きだということも気がついている。正直言うとリック自身もロイのことを好きまではいかないが気になってはいる。……なんだろうこのラブコメ展開は。

 気になってると言いながらももちろんシャミの邪魔はしない。むしろ応援している。

「ねえ、シャミ!」

「ん、あ、なんですか?」

「いいかげんロイと契約したら?」

「え、な、何を言ってるんですか!?」

「契約しないなら私がしちゃおうかなー」

「え!?」

「冗談冗談」

「う、ひ、ひどいですよー」

 しかし、こんなにお互いが気にしているのに契約をしていないとはリックも驚きである。そしてロイの反応上ロイは契約をなんだかわかっていない。本来は転生された初日あたりに話さないといけないことなのだが。まあ、この状態を楽しむのもいいと思うリックもいた。

「どうすればいいのかなー」

 リックは悩んでいながらも楽しんでいるのだった。

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