異変
今日もいい天気だ。チャリ練習にはいい日だな。っということで、今日も元気に近くの広場で自転車の練習をしておりまーす。
お手ごろな価格なため、すでにいろんな人が自転車に乗っている。まともに乗れているのは転生悪魔のみだったりするんだが。いろんなところで自転車に乗る練習をしている。大人の悪魔も練習していたりするので少し可笑しかったりする。
俺のところも俺のところであるがな。まあ、自転車なんて経験だ。自転車は一日にしてならずってな。
「お兄ちゃ~~ん」
シャミが俺を涙目で見てくる。いや、乗れないからって俺をそんな目で見ても。やめろ、その目で見るな。惚れてまうやろーー。ちがうな。もう惚れてるし。
「がんばれ。少し乗れてきたからもう少しで乗れると思うけど」
「本当に?」
「ああ。……たぶん」
「たぶんってなに~~」
だから俺をそんな目で見るな。
俺の見た限りだと、リックの教え方は悪くないと思う。……たぶん。たまに「グイーーンッてこけば乗れるから」とか意味の分からないことを言うけど、決して悪くはないはずだ。
「ロイー、あとなんて教えればいいの?」
「自分で考えれ」
「わからないか聞いているって言うのに」
俺もわからないからお前に教官役を押し付けているのだ。お前なら大丈夫だ。なんか戦い方の心得みたいなのも教えてもらったし。教えるのは慣れているはずだ。
……これ、今日中に乗れるのか?
すでに日は沈みかけている。夕方だ。いまだに練習をやめようとしない。熱心ですなみなさん。俺なんかみているだけでもすでに疲れているぜ。
いまだに何一つ進んでいない。惜しいところまで行くが、どうしても足をついてしまう。俺、初めて自転車に乗れたときってどんなんだっけ?……覚えてねえな。どうでもいいや。
そして、感動の瞬間が
「おぉーーー」
リックが自転車に乗ることができたシャミを見て声を上げる。
しばらくシャミはそこらへんをぐるぐると周り、俺の目の前で止まった。
「お兄ちゃん、乗れたよ!」
「ああ、やったな」
微笑みかける。シャミもやっぱり嬉しそうだ。
それをうまく呑み込めたのか、エンジンがここでみなさんにかかり今までのがウソのように乗れるようになっていった。
「よし、全員乗れたな」
俺はベンチから立ち上がる。
そして、やんややんやと盛り上がっているみんなのもとに行き、言葉をかけ、みんなで家に帰った。
その帰り道。
「っ!!」
なんだ、今の悪寒は。誰かから睨まれたっつうか、なんて例えればいいかわからない。
「どうしたの?」
「ん、あ、いやなんでもない」
「なら、いいけど」
シャミの問いをなんとかかわした後、自然な感じで周りを見渡す。……なんにもいない。気のせいだったのか?でも、あの悪寒は本物だ。
それにしてもこの悪寒、前にも感じたところがあるぞ。しかし、思い出せん。
「っ!!」
また来やがった。俺はその悪寒を感じたほうを素早く見る。あれ、壁や。……いや、一人いた。リンだ。
「リン?」
「……な、なに?」
「リン、どうした?」
「え?」
こいつ、なんともない顔をしているが。青ざめていやがる。気持ち悪いほどに顔色が悪い。
「え、リ、リンちゃん?」
リンの顔色に気が付いたミュウが急いでリンに駆けつける。
「大丈夫?」
「う、うん」
「ロイ、ひとまず家に帰ってリンを休ませよう」
「わかった」
俺たちは急いで家に帰り、リンを休ませることにした。




