看病
魔界の風邪というのはとてもやっかいなものらしい。強力なものだと成人している悪魔もコロリと逝かせるほどらしい。弱いものでも体が弱い子供や年寄りの方々もポックリと逝ってしまうらしい。
前回天使が攻めてきたときに空気が黄色かったのを覚えているだろうか?……黄色かったのだ。で、その正体は俺たちの動きを鈍くする目的で撒いた上記のような(弱いほう)病原菌だったのだ。
俺は種族の関係上このような病気とはまったくもって関係ない。リックもある程度抗体を持っているらしく大丈夫らしい。残りのシャミなのだが、見事に天使軍の術中にはまった。風邪を引いたのであった。
「シャミ、大丈夫か」
シャミは現在ベットで横になっている。おでこには冷たくて気持ちいいシートを貼っている。あえて商品名は言わないでおこう。ちなみに人間界にあるものだ。
「ごめんね、お兄ちゃん。なんかこのごろ迷惑ばっかりかけちゃってるね」
こんなの迷惑でもなんでもない。シャミのためならこの体捧げてもいいからな。
リックは今、シャミのために食材や薬などを買ってきてもらっている。
「迷惑でも何でもねえよ。昼ぐらいまで寝てろ」
「うん、じゃあ、そうしてるね」
といい、シャミは寝た。
シャミが寝てしばらくたった。俺はやることもなかったのでお茶を飲んでくつろいでいると
「シャミは大丈夫!?」
バン!という音とともにリックが帰ってきた。
「お前はドアをぶち壊すつもりか。あとシャミ寝てるから静かにしてろ」
「あ、そうなの?わかった。あと、頼まれたものしっかり買ってきたからね」
「ありがと。お疲れ様」
「昼食私作るね」
「ん、じゃあ、お願い」
ほう、リックが昼食を作ってくれるのか、楽しみだな。料理を作っているところを見て下手そうなら助太刀することにしよう。
「できたーー!!」
完成したらしい。見ていたところ特に下手な様子はなかった。しかし、安心はまだできない。肝心なのは味だからな。
「うまくできたと思うけどどうかな?」
俺に作った2つの料理を出してきた。片方は俺たちが食べると思われるもの。もう1つはシャミが食べると思われるおかゆみたいなもの。
まずは俺たちの食べるほうの味見。うまい。
次におかゆ。……うん、こっちもうまい。
「うん、うまい。さすがだな」
「私が作ったんだよ?当たり前じゃん」
「お前だから不安だったんだが」
「なにそれひどい」
どこからそんな自信が出てきていたのやら。ってか、本当に料理うまいな。今度教えてもらおうかな。
さて、ひとまずシャミを起こして昼食とするか。
「おい、シャミ起きろ。昼食だぞ」
ふと思ったのだが、シャミこのごろけっこう寝てばっかりではないか?
「あ、う、うん」
シャミはゆっくりと体を起こす。だるそうな表情をしている。この体に生まれ変わってなかったらこの風邪も他人事じゃなかったんだよな。
「それじゃ、いただきます」
こう皿にのっている料理を見ると彩り鮮やかである。これは目でも口でも楽しめると言うものか。
おかゆを食べているシャミも少しつらそうだがしっかりと食べている。
「シャミおいしい?おいしくなかったら残してもいいからね」
「いえ、おいしいですよ。残すなんてもったいないことはしませんよ」
そういうとシャミはニコッと笑った。可愛い。なんて可愛いんだ。あの笑顔を俺に対して向けられたら俺は間違いなく倒れるだろう。可愛いすぎるいうのは犯罪だな。……何を思っているんだ俺。
飯を食った後シャミはすぐ寝た。相当きついんだろうな。くそ、そのつらさ俺が全部もらってやりたいぜ。そうするとシャミとリックから看病してもらえるしな。
俺とリックはやることもなく暇していたので、2人でなんとなーくテレビを見ていた。テレビを見ている途中遊び半分でリックに膝枕してもらった。その途中リックが俺の耳や耳の裏をなでたのだが、すごい気持ちよかった。ここで改めてわかったのだが俺はやはり人から動物に近づいたんだな。
夕食は俺とリックと仲良く作り3人で仲良く食べた。
シャミはある程度楽になったらしいがまだ体がだるいらしい。
夕食の後はリックが介錯のような形でシャミと一緒に風呂に入っていた。別にうらやましくもなんともないからな。二人が上がってきた後俺も風呂に入りすぐあがった。眠いからとっとと寝たかったからな。
俺が風呂からあがったあと30分くらいボーッとしたあと寝た。
ベットの中では相変わらずシャミが俺にピッタリくっついてくるので俺はシャミを抱く形で寝た。シャミは寝れなそうにしていたが頭をしばらくなでていたら寝た。その途中リックが後ろから俺の耳の後ろをずっと触っていた。まあ、そのおかげで俺もすぐ寝れることができたがな。