いつもの日常へ
リックの父親は、本日2度目の飛行機に乗っていた。
「そういえば、ロイくんがリックの手紙だって言って渡してくれたな」
そう言いながら、手紙を取り出し中身を読む。
『拝啓 親愛なるお父さんへ
こうやって改めて、手紙に書くとやっぱり変な感じがします。なんか最初の出だしもなんか恥ずかしいです。
今、私は無事に雇ってもらえることができました。初めて雇ってもらっているので、なにがなんだかわからないことがたくさんあります。まあ、もう一人いるので。一緒にがんばっていこうと思います。
あと、少し言いにくいことなんですがこの道に進もうとした時にお父さんと約束した必ずご主人と契約するということは守れそうにもありません。いや、正直に言うと守りたくありません。
なぜかって言うことは言いたくありません。
こう言ってしまうと、お父さんが怒るのはわかります。でも、これだけはたとえお父さんであったとしても一歩たりとも譲れません。
他にも、いろいろと話したいことがありますがそれはまたの機会にということで。
それでは、この手紙が無事に届くことを願います』
「おい、リック。言葉としてこれは成立しているのか?」
なんか主語と述語がなってない気がする。ツッコミ所満載の手紙だったりする。……これを書いたのが実の娘だと思うと少し悲しくなったりする父親がここにいた。
ロイの土下座が散々出たところで、みんなで家に帰ることにした。
「着替えってあっちにあるんじゃないの?」
リックが帰り道の途中でふと言った。
「あっ」
シャミが思い出したかのように声を上げる。
「えっと、忘れて……ました」
シャミはテヘッと笑う。これにロイが見惚れていたのは言うまでもない。
「とってきますね」
「あ、私も行きます」
「私も」
結局、シャミ・リン・ミュウが自分たちの着替えを取りに行った。リンは自分の持っていた荷物をしっかりとロイに預けて。
「また二人だけだね」
「…………」
「どうしたの?」
「あいつら、いつのまに着替えを持って行ってたんだ?」
真剣に悩んでいる。そりゃあ、ロイがどっかに行ってる隙にとりに来たんじゃ?
「まあ、いいか。んじゃ、先に帰ってるか」
「そうだね」
二人は並んでまた歩き出した。
「たっだいまーー!また、帰ってきたぞーー。アイルビーバッーーーーク!!」
「テンション高いな、おい。まあ、お帰り」
リックは自分持っていた荷物をそこらへんにポイッと投げた後、ソファーにダイブ。
「はー、このソファー懐かしいーー」
「懐かしいってまだ一週間だろ」
「一週間は一年と同じとかよく言うじゃん」
「いわねぇよ。てか、初めて聞いたわ」
なんだよ一週間は一年って。じゃあ、なんだ一年は……何年だ?数える気がある人数えてみてくれ。
「荷物どうするんだ?」
「あぁ、今置いてくる」
リックは自分が投げつけた荷物とロイが持っていた荷物を奪い取り、部屋に置きに行った。
「まーた、騒がしい生活に戻っちまうな」
なんて言いながらロイはニヤついていた。
「なにニヤついてるの?気持ち悪い」
「気持ち悪くて悪かったな」
リックがごみ箱を見て、気づいたようにロイに問いかける。
「ロイ、ここになんか封筒置いてなかった?手紙入れるみたいな」
恐らくロイが勝手に渡した手紙のことだろう。
「ん、あー、あれか。捨てちまったぞ。もしかして捨てちゃダメなものだったか?」
「あ、う、ううん。全然OK」
慌てたようにリックは否定する。
「ならよかった。んじゃ、今日はパーティーにでもするか」
「私も手伝うよ!」
「よろしく頼む」
その日の夜は……言うまでもないな。
リックの手紙=俺の頭
と、考えてもらってかまいません
リックがバカなわけではありません。俺がバカなだけです
そして、やっとリック編が終わりました
これからはまた日常のことを書き、次にリンのお話しになっていきます
相変わらず不定期更新ですが、よろしくお願いします




