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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
魔界へようこそ
5/80

天使襲来

 唐突なのだがこの物語の世界観を覚えているだろうか。忘れた方のためにその部分だけお伝えしよう。ここは魔界で俺はここに転生された。まあ、ここまでは覚えているだろう。そしてこの魔界は天国と 戦争(ケンカ)をしているのだ。



「お兄ちゃん起きて!」

「んあ?」

 朝食か?その割にはシャミは急いでいるというか焦っているという感じの声だ。

「天界の天使たちが魔界に攻めてきたよ!」

 ……天界?天使?魔界に攻めてくる?ああ、そうかこの国、魔界は天界と戦争をしているのだ。戦争の目的は…なんだっけな?……特に無かった気もする。ケンカなので目的があっても困るのだが。しかし、戦争ではなくて軍事演習で我慢しろよ。

「久しぶりの戦争だねー。いやー、わくわくしちゃうなー」

 リックは楽しそうだ。

「ああ、どうしよ。治療道具も持っていかなきゃ」

 逆にシャミは焦っている様子だ。見ているとほほえましくなってくる。

「だりーなー」

 もちろん俺だ。なお、魔王直々の依頼で(直々と言ってもシャミに聞いた話なのだが)なるべく天使を倒す、追い払うではなくて捕獲を優先してほしいとのことだ。しかし、街を守るのを最優先で捕獲はその次だ。

 天使どもが攻めてきた警報なのかサイレンがウーウーなっている。正直言ってやかましい。

 さて、めんどくさいが行くことにしよう。当たり前だが俺は始めての戦争であり、初めての戦闘だ。


 俺が担当している街は前にも言ったが、魔王城には近いが俺のような悪魔があまりいない。ので、この戦争で戦うのは俺とリックだけとなるだろう。シャミはもちろん援護だ。あと城から援軍が来るぐらいだな。

 家を出るとなんとなく空気が黄色い。恐らく天使がふりまいたものだろう。街に行くと天使どもが「俺が活躍するのだ」と言うぐらいに街で暴れていた。……俺の中での天使の印象とまるで違う。どちらかというと暴れるのは悪魔のほうだろう。とか思っている間にリックがすでに敵さんのほうに走っていっていた。俺もいかないとな。

 気絶する程度に天使をやっていく。気絶した天使にシールみたいなバッチみたいなのを貼ると自動で城に飛んでいく。それにしても、弱い。なんだろうこの弱さ。けっこう小さいので虫と戦っているのだと勘違いしそうになる。シャミなんか恐る恐るだが天使を捕まえてシールを貼っている。

 それでも街の住民は隠れたり逃げたりしているのでやはり脅威なのだな。

 城の方から城で働いていると思われしき悪魔達がやってきた。

 どうやら援軍らしい。いらない気もするが。まあ、多少楽になるのでいいとしよう。

 ここからは言うまでも無い。なんかかわいそうに思えながらも適当に天使をあしらった後、あっけなく撤退していった。

「なんか拍子抜けだったねー」

「お兄ちゃんもリックさんもお疲れ様でした」

 はあ、やっと終わった。朝っぱらから天使が来たせいで朝食を食っていねえ。腹減った。さっきから腹がなっている。

「とっとと、帰ろうぜ」

 と俺は言い。3人で家に帰った。

 帰り途中、大人たちからは「ありがとう」とか言いながら食品をくれたり、子供たちは「かっけー」とか言いながら俺たちに尊敬のまなざしを送ってくれた。リックも調子に乗っている。単純な奴だ。


 家に着き、シャミがご飯を作ってくれ、それを食べるときにはすでに昼近くになっていた。飯を食っている途中

「しかし、なんであんなに天使弱かったんだ?いつもあんなもんか?」

 と聞いてみると

「たぶん、この街にはしばらく私たちみたいな悪魔がいなかったから弱い軍を送ってきたんだと思う」

 とシャミが答えてくれた。なるほど、納得。

 朝食兼昼食を食べた後は、街に出て、天使に壊された建物などの修理を手伝った。手際よく壊してくれたせいか街のいたるところが壊れていた。まあ、住民たちともけっこう仲良くできたのでよかったがな。

 ある程度修理した後、俺とシャミが休憩していたら(リックはまだまだがんばっていた)

「あ、ロイちゃん、シャミちゃん、今日はお疲れ様」

 いつだか訪れたファミレスの店員さんだ。

「あ、こんにちは。お店のほうはご無事でしたか?」

「店も私の家ももちろん大丈夫。君たちのおかげで助かったわ」

「それはよかったです」

 俺が会話に入るすきまも無い。

「で、シャミちゃん。ロイちゃんと契約したの?」

「え、ま、まだです」

 また契約の話だ。一体契約とはなんなのだ?

「早くしないと誰かにとられちゃうわよ」

「は、はい」

 なんか店員さんがシャミに契約についてアドバイスをしているようだ。しかし、何故シャミの顔が赤くなっているのだろうか?特に恥ずかしい話題でもなかろう。

「とにかく、今日は街守ってくれてありがとね」

 店員さんはこういい残すとどこかに行った。

 シャミはまだうつむいたままもじもじしている。そこがまたかわいいのだが。俺はシャミに「先いってるぞ」と言い、修理に苦戦してるリックを手伝いに向かった。


 修理が終わったのは日が暮れ始めたあたりだ。

 家に戻り、俺とシャミは2人並んで夕食を作っていた。

「シャミ、ちょっといいか?」

「なに?お兄ちゃん」

「あの店員さんと話していた契約って何だ?」

 と話題に出して見るとシャミは

「ん、なんでもないの。気にしないで」

 と話をごまかす。話すのが嫌ならば無理に聞かないほうがいいだろう。

 そこからはなるべく他愛もない話をしながら夕食を作った。今日の夕食のメニューを発表しよう。今日は魔界牛のハンバーグだ。実際に食ってみると、人間界のハンバーグよりもおいしく感じられる。シャミが作ったからだろう。やはりシャミは万能な悪魔ということだな。


 その後はやはり、テレビを見て風呂に入りだらだらしたあと寝ることになる。ここら辺はもうワンパターンだ。

 ベットの中はいつもよりいい匂いが漂っていた。その原因はシャミとリック2人らしく、その理由は

「戦ったり、修理したから汗かいちゃったから」

 らしい。やっぱり、こういう乙女の心と言うのは人間も悪魔も変わらないのだろうな。

 そして今日も3人仲良くベットで寝た。相変わらず俺はドキドキしてなかなか眠れなかったがな。いつになったら慣れるのやら。

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