一人の朝
俺はソファーで目覚めた。なぜソファーかって?お前ら、あの広いベッドで一人で寝てられると思うか?俺は無理だ。
前の日はリックの手紙を見つけた後、だらだらしているうちに夜になって、寝た。
「さて、朝飯作らないとな」
俺に憑いている悪魔がいないため、自分で飯を作らないといけない。作ると言っても、ほとんどが昨日の夕食の残り物なんだが。なんか、人間の時もこんなことをしていた気がする。
「ハァ」
朝食の準備をしながらため息を吐く。
「ん?なんで俺今、ため息吐いたんだ?」
別になんか嫌なことをしてるわけでもないのに……。もしかして、4人がいないからか?
「……そんなわけないか」
俺は自分に言い聞かせるように呟いた後、テーブルに朝食を並べていった。
しかし、4人が急にいなくなると、寂しいな。
「……あぁ!!俺は何を考えてんだ!!」
4人のことしか考えない、俺にイラついてきた。
俺はそんな考えを頭の中からぶっ飛ばし、何も考えずに朝食を食っていた。
そうすると、急にingが鳴り始めた。アラームだ。
「やべっ!」
今日はギルドを建てるための手伝いをしなければいけないため、出発の時間にアラームをセットしていたのだ。そしたら、この通り、少しゆっくりしすぎたようだ。
俺は急いで飯を食い、流し台に食器を置いた後、急いで家を出たのであった。
全力疾走したら、なんとか間に合った。それにしても疲れた。
「すいません、少し遅くなりました」
「いや、大丈夫だ。てか、普通にセーフだ」
「そうですか。で、今日は何を?」
「ああ、今日も材料運びを頼みたいのだが」
「わかりました」
俺はさっそく材料の方へ向かった。
「ん、ほかのお嬢ちゃんたちは?」
が、途中で呼び止められた。おまけに一番答えにくい部分を聞かれた。
「えっと、フラれました」
「ハハハッ、おもしろいジョークだな」
半分以上本当のことなんだけどね。
「なんか悩み事があったら、いつでも相談に乗るからな」
どうやら、隠せないみたいだな。
俺は苦笑いをしながら、仕事にするのであった。
その仕事は夕方まで続いた。
「お疲れ」
棟梁から缶コーヒーをもらった。
「ありがとうございます」
俺はその場で缶コーヒーの封を開けようとすると、
「あ、そういえば、お前のことを呼んでた人がいたな」
「え?」
「ほら、あそこだ」
棟梁が指をさしたところを見ると、そこにはユミさんがいた。
「早く行ってやれ」
「え、ああ、はい。お疲れ様でした」
「ああ、お疲れ」
俺は棟梁にお辞儀をした後、ユミさんの所に歩いて行った。
「お疲れ様」
「どうしたんですか?」
「ちょっと見かけてね」
「そうですか」
「あれ、他の子たちは?」
ユミさんは俺の後ろに目線を送る。それにしても、みなさん適切なことを聞いてきますな。
「いませんよ」
「お家?」
「いえ、まあ、いろいろあったんですよ」
「いろいろって?」
「なんでも」
「なんでもなくないでしょ?隠し事しないで教えてほしいな。協力できるかもしれないし」
「……はい。せめて、場所を変えていいですか?」
「もちろん」
相変わらずするどいな。俺はそう思いながら場所を移動した。
場所を移した後、俺はユミさんに今までの出来事を話した。なぜだかは知らないが、途中で涙が浮かんできた。
「そんなことが、……ロイ、泣いてる?」
「泣いてなんかいませんよ」
「……そう。あ、そうだ!」
「どうしたんですか?」
「家にだれもいないんだったら私が行ってあげる!」
「え!?」
とんでもないご提案だ。
「イヤ?」
「嫌ではないですけど。ユミさんとか、ユミさんに憑いている悪魔とかは大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。じゃあ、行こうか」
俺はユミさんの手によって、半ば強制的に俺の家に向かうことになった。




