それぞれの思い
「……これは」
その手紙はリックからリックの親父さんへ宛てた手紙だった。
「あいつ、こんなのを……」
なんか手紙を書いているイメージなんかリックには無い。
「一応取っておくか」
俺は自分の部屋にある引き出しにリックの手紙をしまっておいた。
そのころリックは父親が泊まっているホテルに向かっている途中であった。
「リック、本当に大丈夫だったのか?」
「なにが?」
「別にあの家にいてよかったんだぞ」
「うん、大丈夫」
リックは俯きながら応答する。それは誰から見ても落ち込んでいるとわかる。
「そうか。でも、お父さんもロイくんがあんな薄情者とは思ってもなかったよ」
「…………」
「ロイくんはリックが行くのを止めると思っていたが、むしろ推すなんてな。あんな男の所からいなくなるのは正解だったかもな」
「……お父さん。いいかげんにしてよ」
リックは父親を睨み付けていた。
「……すまんな」
父親の声に謝罪の色はこれっぽっちも無かった。しかし、リックはそんなことは気にも留めず、歩き続けた。
「家に帰る飛行機っていつ?」
「五日後だが」
「そう」
この会話を最後にリックと父親は無言のままホテルへ向かった。
「もう信じられない!!」
「ロイくんには失望しました!」
「私も……!」
三人は町中を歩いていた。そして、三人の心は怒りに燃えていた。
「お兄ちゃんだったらなんとかしてくれると思ってたのに!」
シャミがこんなに起こるのは初めても同然だった。こんなに怒っているのはもちろんロイが悪いのだが、これはそれほどロイを信頼していたということでもあった。それは、リンも同じだった。ミュウもまだロイの所にいるのは短い期間なのだが、ロイを信頼していたのであった。
「ああ、もう!!」
シャミは自分の気持ちを抑えることができなかった。
「……あの、シャミさん」
一足早く落ち着いたリンはある一つの問題を見つけていた。
「どうしたの?」
「……話の軸は違いますけど、これからどこで寝たりするんですか?」
「……それは」
考えていなかった。勢いだけで家を出てきてしまった。
「考えていませんでした。でも、何個か当てはあるからひとまず行ってみましょう」
シャミは一人で歩いて行ってしまった。リンとミュウは一回顔を見合わせた後、ひとまずリックに着いていくことにした。
だいぶ短い文章になってしまいました
決して手を抜いたわけではありません




