メール
「お兄ちゃ~ん、朝だよ~~」
「んあ?」
麻袋を運んだあとは、外食で夕食を済ませ家に帰り、風呂にも入らず寝た。
「ご飯出来たよ~」
「ああ、わかった」
俺はまだ寝起きでボーッとしている頭を無理矢理働かせ、自分が今何をすべきか考えた。
「ちょっと、シャワー浴びてくる。風呂場空いてるか?」
「はい」
「じゃあ、行ってくる。飯食っててもいいぞ」
俺はそう言い残し、風呂場へと歩いて行った。
5分くらいで済ませ、リビングに向かうとまだ朝食を食べていなかった。
「あれ、まだ食ってなかったのか?」
「声をかけたんですけど、みなさんまだ起きなくて」
シャミは少し困ったように笑う。
「先に食うか?」
「でも……」
「じゃあ、起こすか」
俺は頭にかけていたバスタオルをまだ寝ている3人の顔の上にかぶせてやった。すると、
「冷たっ!」
案の定起きてくれた。ちなみに上のセリフはリックのな。
「はい、おはよう。飯食うぞ」
「は~~い」
リックは頭をボリボリ掻きながら立ち上がった。
「おはようございます」
「ん、ああ、おはよう」
いつの間にかリンも起きていた。そして、リンは洗面所の方に向かっていった。
「さて……」
次はミュウなのだが……
「おーーい、起きろ」
体をゆするが
「う~~~ん」
と、言うだけで起きる気配がない。
「飯できたぞ~~」
しばらく体をゆすっていると、ミュウは体をムクリと起き上がらせた。
「…………」
寝起きのためか顔がボーッとしているが、まあ、起きたから良しとしよう。
「飯食うぞ、顔洗ってこい」
ミュウはコクリと頷き、洗面所へ消えて行った。
朝食も食べ終わり、ソファーでゆっくりしていると、急に目の前に画面が広まった。
「うおっ!」
つい驚きの声を出してしまった。
「お兄ちゃん?」
「ああ、いや、なんでもない」
その画面はもちろんingである。しかし、なぜ急に画面が?原因はすぐにわかった。
メールか……
しかし、誰からのメールだ?
自慢じゃないが、俺のingのメアドは誰にも教えてない。もちろんシャミたちともだ。
メール画面を開いてみると、そのメールは俺にingを埋め込んでくれた白衣を着た天使(悪魔だけど……)のナナさんからだった。
内容は
『ingの問題は無いですか?』
心配してくれていたようだな。問題は無いかと聞かれても、まだほとんどイジッていない。それはいいとして、なんていい人なんだ。……待てよ。なんでナナさんが俺のingのメアドを知っているんだ?そう、返信を送ると、
『埋め込む前に勝手にメアドを交換しました。これ、魔王様たちには秘密ですよ』
というメールが返ってきた。
俺は『ingは正常ですよ』というメールを送り、
「お前ら、ing開いてくれ」
と、みんなに言った。
「え、なんで?」
「いや、まだメアド交換してなかったから」
「ああ、そうでしたね。昨日はいろいろ忙しかったですからね」
そして、俺たちはメアドを交換し合った。交換方法は……なんて説明したらいいかわからないが、まあ、赤外線通信みたいなのということだと言っておこう。
今回はちょっとした話ということで短いお話になりました
次からはリックを中心とした話を書いていきます




