表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
ingとギルド
40/80

ing ー埋め込みー

 次の日。俺は前の日と違いゆっくり寝ていた。しかし、

「ロイーー、朝だよーー!!!」

「ぐふっ!!!」

 リックが俺にボディプレスを仕掛けてきた。

「ごほっ!ごほっ!」

「おはよう!」

「おはようじゃねえよ。ingが普及されるからって舞い上がりすぎだ」

「舞い上がってなんかないよー」

「はいはい。じゃあ、どいてくれ。俺は寝る」

 俺はリックを無視し、再びベッドに横になることにした。

「だから、寝るなーー」

「寝ねえよ。横になるだけだ」

「要するに寝るってことでしょ」

 朝からテンションたけぇな。

 俺は二度寝を諦め

「起きるから」

 ベッドから起き上がった。

「さて、着替えるか」

 俺は自室に入り、着替えることにした。


 俺が着替え終わって、戻るころにはテーブルに朝食が並んでおり、すでに食っていた。

「あ、お兄ちゃんおはよう」

「おはよ」

 俺は空いているイスに座った。

「ロイさん、おはようございます」

「リンもおはよう」

「モゴモゴ……」

「ミュウ、飲み込んでからでいいからな」

 俺はミュウに注意し、ご飯を食べ始めた。

「あの、ロイさん」

「ん?」

「魔王城にはいつ行くの?」

 ああ、その件についてか。俺は口に入っていたご飯やらおかずやらを飲み込み、

「ギルドの設立の手伝いとかもあるみたいだから、早く行くか」

 そう言うと、みんなの食べるスピードが少し早くなったのは俺の気のせいではないだろう。

「まあ、その気持ちはわからなくもないが……」

 俺もみんなに合わせ、食べるスピードを早くした。


 朝食を食べ終わり、俺はソファーで横になり、テレビを見ている。女子勢は外出するために準備している。準備と言うのも着替えてるだけだが。

「おまたせ~~~」

「…………」

 なんかリックが出てきた。

「あれ、返事なし?」

「他は?」

「もうちょいかな?」

「そうか」

 俺はテレビのチャンネルを次々に変え暇をつぶしていた。

「おもしろいのねぇかな~」

 今テレビはすべてギルドとingの話で持ちきりだ。しばらく飽きるほど見ていたギルドの説明をしているニュースを見ていると

「お待たせしました!」

 残りのみんなが出てきた。

「じゃあ、行くか」

 俺はテレビを消し、外へと向かった。


 魔王城へ着くと、ある程度の悪魔がいた。ご立派に受付まで準備してある。俺は受付に向かうと、

「住んでいる地域とお名前を教えて下さい」

 と、聞かれた。俺は地域名と名前を答えた。しっかりと登録されていたようで、俺を入れて5人は魔王城のなかに入れた。

「頭の中に埋め込むってどうするのかな?」

 ミュウは聞いてきた。

「なんか手術でもするんじゃねえの」

「そうなんですか!?」

「いや、知らんけど」

 俺の知識ではそれが限界だ。魔界の技術を使えばもっと簡単にできるかもしれんが。

 特設されたと思われる場所に入り、長イスに座る。しばらくダベりながら待っているとアナウンスで俺の名前が呼ばれた。

「んじゃ、行ってくる」

 俺は呼ばれた番号の部屋に入っていった。

「ロイさんですね。このイスに座ってください。まずはどういうことをするか説明します」

「ああ、はい」

 俺は部屋を見渡しながらイスに座った。部屋は病院の一室みたいだ。正直この雰囲気は苦手だ。

「あれ?あなたって?」

「ん?」

 俺は顔を上げて、その看護士みたいな白衣を着た女悪魔を見た。そこにはテレビで見た、どこかで見た時のある女悪魔がいた。

「あの時はありがとうございました」

「えっと、はい?」

「天使が攻めてきた時、覚えてませんか?」

「ん、あ、ああ」

 やっと出てきた。名前は知らないが、7階で天使たちに追い込められていた悪魔だ。シャミのいる部屋を教えてくれたり、俺の手を掴んだりした悪魔だ。

「あの、左目は大丈夫だったんですか?」

「ああ。今はもう完治したよ」

「よかったです」

 その女悪魔はニコッと微笑んだ。かわいい悪魔がナース服を着て、笑うことによりより輝いても見える。……白衣、萌え。

「あ、私はナナと言います。よろしくお願いします」

「ああ、よろしく」

 自己紹介とかされても困る。

「それでは、説明させてもらいますね」

 ナナという悪魔は説明をし始めたが、俺にはわからない言葉ばっかり出てきて、さっぱりわからなかった。

「えっと、わかりましたか?」

「なんとなく?」

 本当はさっぱりです!

「では、さっそくチップを埋め込みますね」

 ナナは俺の後ろに立ち、俺の後頭部に両手を添えた。

 何をされるのだろうか。ドキドキの瞬間だ。俺は多少の痛みを覚悟していた。

「はい、終わりました」

「え、終わり?」

「はい、終わりです」

 あっけなく終わった。説明をしっかり聞いていたらわかったのかも知れないが、俺には難しすぎたからな。

「では、まず正常に開くか確認してもらっていいですか?」

「……えっと、どうやって?」

「あ、説明してませんでしたね。頭の中でオープンと念じてください。できないときは実際に口に出してもいいです」

 俺は言われるがまま頭の中でオープンと念じた。そうすると見事に画面が目の前に出てきた。

 その画面は、実際に見ている風景に半透明の画面が重なって出てくるという要領だ。

「開きましたか?」

「はい、開きました」

「では、異常はありませんね。では、これを」

 俺はなんか小さい冊子を貰った。

「これは?」

「説明書です。家に帰ったらそれを見ながら設定とかしてください」

「わかりました」

「では、お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

 俺は軽く一礼し、部屋を出た。シャミたちがいないところを見ると、今は部屋の中であろう。

 空いている席を探したが……無い。いや、あるのだが座ろうとは思わない。俺は窓際に歩いて行き、外を見ていることにした。

 そこには雲一つない青空が広がっていた。魔界は人間界と違い、高層マンションとかは無いため(魔王城とか特別なのを除く)空が良く見える。

「どうしたの?」

 リンから声をかけられた。

「いや、いい天気だなと思ってな」

「そうだね」

 俺はしばらくの間、リンと外の風景を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ