朝の出来事
なんか体がダルい。いや、ダルいというか体が重い。なんかこんなこと前にもあったな。
「ったく」
俺は起こされたのに不満を持ちながら目を開けた。
思った通り、リックが俺に抱き着いていた。
「ああー、まだ酒くせぇ」
リックの息が俺の顔に当たるので、酒のにおいがダイレクトで伝わる。
「離れろ」
俺はリックを引き剥がす。
俺はもう目が冴えてしまったので、起きることにする。みんなを起こさないように慎重にベッドから降りる。
「シャミ、おはよう」
「あ、お兄ちゃんおはよう」
シャミはすでに起きており、朝食の準備をしている。
「手伝うよ」
「ありがと」
「……あ、ちょっと着替えてくる」
「うん、わかった」
俺は部屋に行き、素早く着替えた。
一応手伝ったのだが、準備はほとんど終わってしまっていたため、すぐに終わってしまった。俺は残りの自分の役割をすることにした。
「おい、起きろ~」
それは寝ている奴らを起こすことだ。
「朝食できたぞー」
リンはすぐに起きてくれた。
「おはようございます」
「おはよう」
リンは顔を洗いに洗面所に向かった。残り、2人。
「おい、ミュウ、リック起きろって」
俺は毛布を引き剥がした。よく、アニメとかマンガとかでやってるやつな。でも、意外とこれが効果が高いのだ。
「さ、寒い」
よし、リックが目覚めてきた。
「朝食出来てるから起きろ」
「う~ん」
「……あと、飯食う前にシャワーを浴びとけ」
「なんで?」
「昨日の酒の臭いが残ってる」
「え、ウソ!?」
リックは自分の服の臭いを嗅ぎ「クサッ!」と、言った後、風呂場へ消えて行った。残り、1人。
「ミュウさ~~ん、朝ですよ~~」
俺はミュウの頬を叩く。しかし、見事なくらい反応がない。
「生きてるか~~~」
俺はしばらく声をかけてると
「う~~~~ん」
ミュウは目を擦りながらムクリと体を起こした。
「やっと起きたか」
俺は自分の役目を果たしたので、シャミが食器を並べているのを手伝うために、ベッドから立ち上がろうとしたら、
「んっ」
ミュウが俺に抱き着き、押し倒された。
「ちょっ、ミュウ!」
なんかこんなことが前にリックにされた。
「もうちょっと……」
おまけにまだ寝ぼけている。ミュウの胸が当たってしまい、気になってしまう。……柔らかい。待て待て!俺は何を考えているんだ。
俺はこのようにしばらくの間悶々としていると、
「ロイさん、なにしてるの?」
救いの手がやってきた。
「なんか、押し倒された」
「シャミさんが悲しむよ」
「いや、俺からやったわけじゃないから」
その証拠に俺が下になっている。
「ひとまず助けてくれ」
「たぶん……大丈夫」
「へ?」
「起きた」
リンの言う通り、ミュウは起きた。
「お、おはよう」
俺は一応言っておいた。
「……えっと、あの……!!」
ミュウの顔がおもしろいほど赤くなっていく。
「す、すみません!!」
ミュウは急いで俺から離れた。
「いや、別に大丈夫だったけど」
別にいやな気分じゃなかったしな。胸も……いや、なんでもない。
「ひとまず顔でも洗ってこい」
「は、はい……」
ミュウは洗面所へ行った。
朝食を食べている途中、
「…………」
なんか気まずい空気が流れていた。特に俺とミュウがふとしたことで目が合ったりすると、ミュウは顔を赤くして俯いてしまう。
「どうしたの?」
「変だよ、ロイ。ミュウも」
シャミとリックは何があったかは知らない。まあ、そのほうが比較的丸く収まるだろうしな。
「なんでもねえよ」
「本当?」
リックはミュウに聞く。
「え、あ、はい。何もありませんよ」
リックとシャミはその言葉に納得してくれたみたいだった。
俺は洗い物を率先してやることにした。ちょっと考えごともあったしな。
「あの!」
「ん?」
俺が振り向くと、そこにはミュウがいた。
「あ、ミュウ」
「私も手伝います」
「じゃあ、食器拭いてくれるか?」
「はい!」
元気が良くていいことだ。
しばらく黙って作業していると、
「あの、朝はすみませんでした」
「大丈夫だって。慣れてる部分はあるし」
「??」
いまいちわかってないようだ。当たり前だけど。押し倒されるのは慣れてるって意味だった。リックから何回かされたしな。
「寝ぼけてたからしょうがないさ」
「まあ、寝ぼけてたんですけど……」
「ん?」
「私って、朝は血圧が低いので、体温が低いんです。だから朝、無意識に誰かに抱き着いて体を温めるとかなんとかで……」
「大変だな」
俺はその低血圧とかいまいちわからなかった。人間の時も関係なかったし。
「俺もミュウみたいなカワイイ子に抱き着かれて悪い気はしないよ」
「え!?」
「はい、終わり。手伝いありがとな」
俺はミュウの肩に手を置いて礼を言った後、ソファーに向かった。リックがこっちを見て少しニヤついてたのが少しイラついた。




