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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
シャミの消失
28/80

契約

 目を瞑りどれくらい経っただろうか。引き金を引く気配はハッキリと感じたのだが弾丸が自分を貫く感覚が無かった。

「……?」

 さすがに疑問を覚え目を開ける。状況を把握するために後ろを見た。

「おっす、遅れっちまったな」

「だ、大丈夫でしたか?」

 そこには見覚えのある2つの顔があった。

「……大丈夫……かな?」

 疑問形で聞かれたのに疑問形で返してしまった。

 見覚えのある顔とはロイとシャミのことであった。

「どこが大丈夫だよ。あちこち傷だらけじゃねぇか」

「ロイさんに言われたくない」

 リンはロイの目の傷を見ながら言う。

「まあ、それもそうだな」

 ロイが笑った。それにつられてリンも笑ってしまう。シャミも少し笑っていた。

「ここでゆっくり話したいのもあるがまだ一人役者がそろってないからな」

「急いでリックさんのところに」

「おう!じゃあ、行くぞ!」

 リンとシャミから見たロイは前よりなんとなく変わっていた気がした。



 死を覚悟したのもつかの間すぐ前から爆発音が聞こえた。リックはその音にビックリしながらも恐る恐る目を開けた。そしたら、目の前にいるはずの男が遠く離れたところに立っていた。

「大丈夫だった?そこの藍色の髪の悪魔さん」

 リックは横を向き声をかけた悪魔を見る。

「まさに危機一髪ってところだったわね。絶体絶命とかのほうがいいかしら?」

 そこには綺麗な女性がいた。自分では到底及ばないであろう人がそこにいた。

「あら、あなたってもしかしてロイのところの悪魔じゃない?」

「え?」

 リックは心底驚いていた。自分は彼女のことを知らないのに彼女は自分のこととロイのことを知っているのだ。リックの頭の中には疑問符しか無かった。

「驚いてるって感じね。フフッ、かわいい」

「あなたは?」

「自己紹介は……あとでね」

 彼女は身構えていた。男が体制を整えたからだ。

 男はすぐ彼女に襲いかかって行った。しかし、彼女は動かなかった。タイミング的には普通に当たっているはずだったのだが。

「っ!?」

 目の前であり得ないことが起きた。彼女は何もしていないのに男が飛ばされたのだった。

「何が起きているかわかっていないって感じね」

 彼女はリックを見て微笑んでいた。

「今のは魔法の力よ」

「ま、魔法?」

「そう、魔法。魔法というのはおとぎの世界のものだけではないのよ。まあ、詳しい話はあとでね」

 彼女の背中はとても頼もしく感じられた。





 リックがいる階に到着するのがかなり遅れていた。それぞれの階に天使がいたからであった。そしてその階をクリアするのに時間がかかってしまったのだった。

「リック!!」

 ロイは叫びながら4階に降りた。

「あ、ロイ。成功した?」

「おう。おかげさまでな」

 リックは壁にぐったりとしていた。

「だいぶお疲れのようみたいだな」

「うん」

 リックはロイの後ろにいたリンとシャミの顔を見て安堵した顔になった。

「そういや、あの筋肉隆々の天使は?」

「あの人が倒してくれた。天使はあそこでくたばってる」

 天使はほかの悪魔の手によって縄で捕縛されていた。……チャーシューでも作るみたいだな。

 そして、その天使を倒したという悪魔を見てみた。その悪魔はこっちに気が付いて手を振り、こっちに近づいてきた。

「ロイ、久しぶり!」

「ユ、ユミさん!?」

「ロイってこの人と知り合いだったの?」

「ん、まあな」

 なんたって公園でキスされた相手だしな。

「ユミさんがあの天使倒したんですか」

「……もしかしてロイの中の私ってパワフルなキャラになっちゃった?」

「いや、別に」

 ……話のペースを持って行かれていたロイだった。


「あの、リックさん、大丈夫でしたか?」

「大丈夫じゃないね」

「そうですか、大丈夫そうでよかったです」

 シャミはリックの話し方で大丈夫と判断したようだった。

「あとで治療しっかりしてくださいね」

「え、シャミやってくれないの?」

 リックの言葉にリンも頷いていた。

「じゃあ、あとでやってあげますね」

 シャミは満面の笑みを浮かべて言った。

「そういえばリックさん、あのユミさんって人誰ですか?」

「う~ん、ロイの知り合いってことはわかるけど」

「キレイ……」

 リンの一言でシャミは少し自分に自信を無くしていた。

 そんなシャミを見てリックは心の底から「がんばれ!」と応援しているのであった。


「よしっ、帰ろう!」

 ユミさんとの話も一段落ついたので帰ることにした。

「おーーーう」

 リックは元気にリンは少し棒読みでロイの掛け声に応じた。

「久しぶりにシャミの手料理食えるぞ!」

「……それって私とリンの料理が嫌だったってこと?」

「別にそんなつもりは無かったのだが」

「冗談だよ」

「そんなわかりにくい冗談やめてくれ」

「……あ、あの!」

 ロイとリックが楽しそうに話しているときに真剣な顔をしたシャミが間に入ってきた。

「せっかく助けてもらったんですけど、私、魔王様からの命令でお兄ちゃんの家に戻れないんです」

 シャミは勇気を出して言っていた。気持ちは嬉しいのだが魔王様の命令は絶対なのだ。シャミはてっきりロイたちが落ち込んでいると思っていたが予想とは違う驚きの表情を見せていた。

「……ロイ、もしかして?」

「……忘れてました」

「やれやれ」

 リックが肩をすくめる。リンも苦笑いしている。

「今からやるから」

「がんばってね」

 ロイはシャミの前に進み出た。

「シャミ、契約するぞ」

「え!?」

「だから、契約するぞ」

「…………」

 シャミはうつむいてしまう。

「嫌か?」

「いえ、私で良ければ」

 シャミは満面の笑みで答えた。

 ロイは少し間を置き、契約を交わそうとした。

 契約する方法はキスだ。

 普通のキスではない。お互いが「この人と契約をする」と思いながらキスするのが契約の方法だ。まさに誓いのキスというわけだ。なので、リックとキスしたのは契約にならないのだ。

 シャミはすでに受けの構えになっている。わかりやすくいうとキス顔で待機しているというわけだ。ロイは少し躊躇ったもののしっかりシャミと口づけを交わした。そして、契約が成立したとき周りから歓声が沸いた。

無事シャミとの契約が終わりました

ぐだぐだなバトルに付き合っていただいてありがとうございました

そして、これからもよりがんばっていきたいと思います

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