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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
シャミの消失
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緊急事態

 今日でシャミがいなくなってから丁度2週間だ。シャミがいなくなってしまった生活にすでに慣れている自分がなんとなく嫌だ。

 今、何をしているかというと、ソファーに座りやることもなく別に見たくもないテレビを見ていた。リックは依頼をこなしているらしい。なんの依頼だかは知らんが。リンは朝食で使った食器を鼻唄しながら洗っている。俺も手伝うと言ったのだが、断固として俺に手伝わせてくれなかった。よって、俺はテレビを見ているということだ。適当にニュースをかけているのだがほとんど見ていない。

「暇だーーー」

 やることがない。人間の時はこういうときはゲームをしていたが、この世界にはそういうものがない。この体になってからは別にしたいとは思わないのだが。

「……寝るかな」

 この世界でやることがないときは大抵寝る。ってか、寝る以外することが見つからない。

 俺はそのまま寝ようとした。そしたら

 カン、カン

 とドアを叩く音がした。

「はいはい、今行きますよ~」

 俺は立ち上がり、ドアに向かった。

「はーい」

 相変わらず気だるそうな声を出し、ドアを開けた。

「あ、魔王城からの届け物です」

「お疲れ様です」

 俺が荷物を受け取ったら、宅配の人は帰っていった。

「また依頼か?」

 俺は家の中に戻り、テーブルの上に荷物を置いて中を見ることにした。

「何入っていた……?」

「ん、食料と金」

 ダンボールの中には食料(肉や魚や野菜など)やお金がたんまりと入っていた。一緒に入っていた手紙の内容から考えるとこの前やった瓦礫の片付けやその他もろもろの時の報酬だろう。

「しばらくは…困らないね」

 リンがにこりと笑ってそういった。

「ん、そうだな」

 ついドキッとしてしまった。なんか懐かしい感じもする。これはシャミのことを懐かしく感じているのだろうか?それとも……?

「ロイーーー、良いニュースだよ!!」

 リックがバン!と音を出して家の中に入ってきた。

「お前は本当にドアをぶっ壊すつもりか」

「いや、そんなつもりはないけど」

 そんなつもりがあったら困る。

「で、良いニュースとはなんだ」

「なに、そのテンション」

「俺のテンションはいつもこんなもんだ」

「嘘だー。たまにすごい生き生きしてるときあるじゃん。ねぇ、リン」

「うん、たまにある」

 リン、そこは肯定しなくて良いところだぞ。

「わかったよ、テンション上げればいいんだろ」

「まあ、せっかく良いニュース持ってきたんだから」

「わーい、その良いニュースってなんなんだい?(棒読み)」

「うわっ、適当!」

 リンが笑いを堪えてる気がする。

「で、なんだんだよ」

「あ、えっとね、シャミがまだ魔王城にいるってことだよ。シャミが新しく憑くはずの転生悪魔の元になる人間がなんらかの原因で寿命が1ヶ月ほど延びたんだって」

「それで?」

「だから、まだシャミを取り返すチャンスがあるってことだよ」

「お前、そんなことどこで知ってきたんだ?」

「そんなのどうでもいいじゃん」

 いや、よくねぇよ。明らかに裏情報っていうか機密情報って感じじゃねぇか。城に忍び込んだとかじゃないよな。

「……ロイさん、どうするの?」

「まあ、時期を見て乗り込むか」

 まずはその方法を考えないといけないしな。

「え、今すぐ行かないの?」

「じっくりと考えてからのほうがいいだろ」

 膳は急げということわざがあるが、今は急がば回れと言うことわざがいいだろう。

「そうだね。考えてから行こうか」

 リックも納得してくれたらしい。リンはさっきからウンウンと首を縦に振っている。

「じゃあ、考えよう!」

 リックのその一言で俺たちは考えた。実は俺は違うことを考えていたとは2人には秘密だ。


 すでに夕方、午前中散々悩んでいたはずのリックがすぅすぅ寝息をたてて、気持ちよさそうに寝ている。俺は毛布を持ってきて、リックにかけてやった。リンは先ほどから夕食を作っている。

「リン、何手伝えばいい?」

「え、ロイさんは休んでて……」

「いや、何もやることないからさ。手伝わせてくれ」

「じゃあ、これ切って」

 サラダに使うと思われる野菜を差し出された。

「わかった」

 俺はリンと仲良く夕食を作り始めた。余談だが途中でリックがなにやら寝言を言っていた。何を言っていたかはわからんけど。


「「ご馳走様でした」」

 俺とリックが言った。出された料理をすべて食べた。うむ、実にうまかった。

 リンはニコニコと笑っている。そんなに嬉しいのだろうか。まあ、その気持ちもわからなくはないが。

「私食器洗うから、リンとロイはテレビでも見てて」

 俺たちは言葉に甘えて、テレビを見ることにした。

 そして、テレビをつけてすぐ、バラエティ番組が急にニュース番組に切り替わった。アナウンサーだかキャスターだかわからんが、そんな人が明らかに顔を青くしていた。スタッフたちの「急げ!!」とかの怒声も聞こえる。

「どうしたんだ?」

 リックも中断して、こちらにやってきた。

 俺たちが話していると、アナウンサーみたいな人が


『緊急ニュースです!魔王城が天使たちの手にとって占拠されました!!よって、緊急事態宣言が発令されました!!〇#δЩжк!!繰り返します……』


 なんか途中言葉じゃない言葉が出てきたぞ。

「ロイ!急いで準備して!!早く魔王城に行かないと!!」

「今、アナウンサーは何を言ったんだ!?」

「あれは私たちのような悪魔にしかわからない言葉、つまり暗号みたいなもので、今のは急いで城に集まりこの状況を打破しろってこと!」

「わかった!」

 俺は自分の部屋に行き、前々から鍛冶屋に頼んでいた武器(二刀)を取り、傷薬などの持ち物を急いで準備した。

 リックは槍や短剣を持ち、リンはアサルトライフルやサブマシンガン、ハンドガンなどを持っている。リックはなんとなくわかるが、リンは見た目に合わない意外な武器を持っている。

「天使はすべて倒していいから」

 これの倒せというのは殺せということだろう。

「急いで城を奪還しないとな。シャミも救わないといけねぇからな!」

「じゃあ、行くよ!!」

 俺たちはリックに仕切られ、城に向かって全速力で走っていった。

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