外出
俺がソファーで寝、おきたときはまだ誰も起きてはいなかった。ベットには赤、黄色、青の3色の頭が並んでいる。信号みたいだ。黄色というのはリンの髪色だ。リンの容貌を伝えてなかったので言っておこう。髪は黄色。セミロングだ。ヘアピンで髪をとめているのが印象に残る。顔はまだまだ幼い。守ってあげないと消えてしまうみたいたオーラを出している。まあ、こんなもんだろう。
なんとなく、すごいなんとなくだが、ここにいてはいけない感じがしたので少し外に出ることにした。しっかりとメモを書いて。
外に出ても特にやることなどない。朝早いためか店も開いてないしな。ということで、ちょっと遠くまで探検がてら散歩することにした。
「だいぶ遠くまで来たな」
今は公園のベンチみたいなところに座っている。目の前には噴水があり、見ているだけで涼しくなる。なんか、ドラマとかで使われそうな場所だな。
「お久しぶり。元気にしてた?」
後ろから声をかけられた。振り向いて誰か見てみると、ショッピングで、声をかけてもらった女の悪魔だった。ここで容姿を言おう。髪色は茶で、ロングである。おまけにウェーブがかかっている。身長は160後半ぐらいだ。スタイルもいい。全体的にスレンダーだが出ているところは出ている。……こんなもんだろう。
「あ、お久しぶりです」
明らかに年上に見えるので、しっかりと敬語で話す。その女性は後ろを向き
「私、この人と話があるから、先に行って待っていてちょうだい」
と、男の悪魔に言っていた。その男の悪魔は「かしこまりました」という感じで頭を下げ、どっかに消えていった。
「今のは、…あなたに憑いている悪魔さんですか?」
「ええ、そうよ。なんか執事みたいでしょ?」
「そんな感じでしたね」
しゃべり方がお嬢様っぽい。なんか緊張してしまう。
「自己紹介でもしましょうか。私はユミ。よろしくね」
「ユミさんですね。あ、俺はロイと言います。よろしくお願いします」
「ユミって呼び捨てでいいわよ」
「いえいえ、そんなわけには」
見た目もお嬢様なので、ため口はさすがに無理である。
「この頃悪魔も大変よねー」
「と、言いますと?」
「だって、天使がちょくちょく襲って来るし、物価も少しずつ高くなっていくし。前はこんなの無かったじゃない?」
「は、はあ」
俺はついこの前ここに来たのだ。昔のことなど知らん。
「その反応。もしかしてロイ、転生悪魔?」
「……転生悪魔とかってなんですか?」
「あ、転生悪魔っていうのが転生で生まれた悪魔。悪魔から生まれた悪魔が純正悪魔っていうのよ。ついでに私は純正」
そんな呼び方があるとはね。
「ということは俺は転生悪魔になりますね」
「それじゃあまだまだ知らないことだらけね」
「本当にその通りですよ」
適当にやってても結構うまくいっているけどな。
「そういえばあの時のロイ、かっこよかったわね。もう、惚れちゃったかも」
恐らくショッピングのときであろう。
「そんな冗談言わないでください」
「あら、半分くらい本気よ」
半分って。
「あの悪魔に憑いていた子、大丈夫なのかしら」
「その子なら、俺に憑いてもらってますけど」
「え、奪還したわけ?すごいわね」
「いえ、奪還というかなんというか」
なんか、話のペースを完全にあっちに取られている。
「ユミさん、執事さんのところに行かなくていいんですか?」
「もしかして、私と話したくない?」
「そんなわけじゃ」
ユミさんは「冗談よ」と言ったあとに
「私、あの人苦手なのよね。役に立つけど、なんか、がんばって私と契約するようにがんばっているみたいなの。ロイはもうしているでしょ?どっちの子としているの?私の予想だとたぶんあの赤い髪の子ね」
「……すいません、契約って?」
「え、聞いてないの?」
「は、はい」
「えっと、契約って言うのは、そのお手伝い悪魔と生涯ずっといるってことかしらね。解除は絶対にできないの。私はもうしていると思っていたのにな。あ、ちなみに契約と結婚は別物よ」
契約とはそういうものなのか。てか、なんでシャミたちは教えてくれなかったのだろうか。結構大切な事っぽいぞ。
「……私そろそろいかなきゃな。嫌だけど。じゃあ、またね、ロイ。バイバイ」
「あ、はい、それでは」
ユミさんはそのまま行くと思いきや、急に俺にキスをしてきた。もちろんマウストゥマウスで。
「え!?」
俺の間抜けな声だ。
「行ったでしょ。あなたに惚れてるって」
そう言うと、ユミさんはあの執事が向かった方向に行った。
俺はしばらく思考停止していたのであった。




