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悪魔達の生活  作者: 鍵宮 周
日常
10/80

ぐーたらな日

 一昨日と昨日で魔王からきた依頼をなんとか達成し、今日は昼時まで寝ていた。疲れていたんだ。しょうがないだろう。

「お兄ちゃん、そろそろ起きたら?」

「ん、今何時?」

「今は……11時半だよ」

「じゃあ、そろそろ起きるか」

 自分でも驚くほど寝ていた。我ながらいい眠りっぷりだな。

「お昼ご飯までに顔洗っといてね」

 俺はむくりと起きあがり、洗面台に向かい、顔を洗ってきた。

 顔を洗ったあと寝間着からなんか適当な服に着替えたあとソファーに座りテレビをつけ、あることに気がついた。

「なあ、シャミ。リックはどこいったんだ?」

「えーとね、なんか依頼が溜まってきたから減らしてくるって」

「ふーん」

 リックも大変だな。いつもはあんなへらへらしているがしっかりと仕事をしている。俺もそこら辺見習わなきゃな。しかし、一番の働き者はシャミであろう。毎日家事をしっかりと丁寧にこなしているからな。ありがとう、シャミ。俺はあなたに憑いてもらって幸せものだよ。

「お兄ちゃん、お昼ご飯できたよ」

「おう、ありがと」

 俺はテーブルへと向かい、席に着いた。……こう思うとなんか、魔界に慣れすぎてるよな。悪いことでもないのだがなんとなく不安に思えてきてしまう。

「んじゃ、いただきます」

「はい、どうぞ」

 やはり、シャミの料理はうまい。だんだん自分の作る料理がクソみたいに思えてきた。果たして俺の作る料理は本当においしいのだろうか?そう聞くと

「おいしいに決まってるじゃん。前に作ってくれた餃子ってやつもおいしかったよ」

 と言ってくれた。たとえ嘘でもこう言ってもらえるだけで嬉しくなるのはなぜだろう、なぜだろう。


 昼食も食べ終わり、シャミと仲良くくつろいでいたら、急に手をつかまれた。なんだと思っていると。

「ちょっと爪、伸びすぎじゃない?」

 と言われた。この姿になってから特に気にしていなかったな。改めて自分で見てみると、人間だとかなり伸びすぎだろう。獣人族のモデルであろう犬や猫と比べてもたしかに長い……たぶん。

「じゃあ、切ってあげるね」

 シャミは爪切りを持ってきた。

「いいよ、自分でやるから」

「そう?」

 爪切りを持ち、いざ切ろうと思ったが問題が起きた。それは、自分で切れないということだ。がんばれば親指、人差し指ぐらいまではなんとか切れそうなのだが、それ以降の爪は切れそうにもない。自分の爪でうまく爪切りを持てないのだ。

「すまん、やっぱり切ってくれ」

「じゃあ、手出して」

 そして、俺はなんとなく恥ずかしい気持ちが生まれながらもシャミに爪を切ってもらった。


「はい、お終い」

 すべての爪が切られたときはすばらしい開放感があった(気がした)。指先を見ると動物に(自分で動物と言うのもなんだが)ピッタリの長さではないか……恐らくだが。さすが、シャミ。何をしてもうまくやる悪魔だな。間違いないはずだ。

 シャミは今、さよならとなった爪を見て「お兄ちゃんの爪だー」とかなんとなく嬉しそうに言っていた。男がやってればただの変態だが、それをやってるのはシャミだ。もう、なにもかもがかわいいからすべてが許される。今のシャミを見て変態のようなことを言ったやつがいれば俺がぶっ潰しに行ってやる。

 ソファーに身を沈め、天井を眺める。隣ではシャミが自分の爪を切り始めたようだ。

 しばらくするとカンカン、カンカンと玄関のほうから音が聞こえた。魔界ではインターホンではなく、外国によくあるドアについた金属製の輪をドアに叩き、来客を知らせる仕組みになっている。

「はーい」

 俺が出て行く。

「あ、魔王城からの贈り物です」

「ああ、はい」

 と、宅配便の人はそれだけ言うと「それでは」と言い、帰っていった。

「お兄ちゃん、誰から?」

「城からだとよ」

 さっそく開ける。手紙と食料とお金が入っていた。手紙を読むとこれらは依頼の報酬だそうだ。魔王は適当なところもあるがこういうところはしっかりしているのだな。しかし、シャミ曰く「すべて魔王の部下がやってるんだよ」らしい。前言撤回だ。

 しかし、報酬が意外と多い。これは依頼が難しかったからなのか、ただたんに魔王が気前がいいだけなのか。まあ、俺にはどっちでもいいや。もらえるものはもらっておこう。

「さーて、夕食作ろう。お兄ちゃん、手伝ってもらっていい?」

「ん、もちろん」

 シャミから手伝ってと言われるのは初めてではないかな?

「何作るんだ?」

「お鍋だよ」

 鍋か久しく食べてなかったな。とても楽しみだ。

 二人でキッチンに並んで準備を始めた。



 リックも帰ってきて、さっそく食べることにした。

 普通にうまい。鍋は大体同じだと思っていたが、今までに食べた鍋で一番おいしい。これも魔界の鍋がおいしいのかそれともシャミが作ったからおいしいのかわからん。俺が思うに恐らく後者であろう。リックにも後で聞いたのだがやはりシャミが作ったからおいしいらしい。これで店開いたらガッポガッポだな。俺たち以外には食わせたくないので店など開かないが。



「あ~、ねみ~~」

 風呂にも入ったのですでに寝るだけなのだが、シャミとリックが今風呂に入っているのであがるまで待っていたい。べ、別に二人を羨ましいとか思っていないんだからな!!

 しかし、我慢してるところに睡魔がやってきて俺は座ったまま寝た。


「ロイ~、寝よ~~」

「あ?ああ、リックか。うん、寝る」

 リックからそう言われ、しっかり歯磨いてベットにダウン。

「お休み~~~」

 俺はすぐ寝ることにした。今シャミとリックにピッタリと密着されているが気にしない。例え、首元にシャミの寝息がかかってくすぐったかったり、背中にリックの胸が当たっているとしても俺は寝る。そして、恐らく10分ぐらいあとに寝た。

 やっぱり、シャミの寝顔かわいかったな。もうちょいでキスしそうになっちまった。背中の胸の感触も良かった。……もうやめておこうか。

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