私と彼が付き合うまで①
こちらは美咲sideとなっています。
「磯崎君…」
授業中の静かな教室の空気が余計緊張する。
今私達の耳に入っているのは笑顔を引きつらせてある男子生徒を睨んでいる先生の声だけ。
いや、その先生の静かだが確実に怒っている声が聞こえていない人間がたったひとり。
「磯崎君っ!さっさと起きてP23の3行目から読みなさいっ!!」
バシーンッッッ!!!
「は、はぃぃぃぃっっっ!!!」
先生が頭を思いっきり叩くと同時に、その衝撃でやっと目が覚めた、怒りを向けられている張本人が大きな返事をする。
その後の展開はもちろん…
「「「ぶはッ!あははははははははッッッ!!!」」」
教室にいる全員が大爆笑。
当の本人は必死で教科書を探しているけど…。
私、知ってるんだから。
今探してる教科書はここには無いって事。
2時間前に別のクラスの友達に貸してから返ってきてないでしょう?
ほら、案の定。
「せ、先生…教科書がありません…」
「…なんですって…?」
「や、あの…」
先生がそれはもう低い声で睨んでる。
そりゃあまぁ、居眠りしてた上に教科書もないんじゃいいかげん堪忍袋の緒も切れるって所よね。
「…磯崎君…後で職員室に来なさい…」
「は、はい…」
引きつった笑顔で答えると、先生は大きなため息をこぼして授業を再開した。
その授業を聞き流しながら、さっき怒られた、磯崎勇吾を見る。
その勇吾はというと、頭をかかえながら何か考え込んでる様子。
あれはたぶん、教科書をどこにやったかを考えてるな。
しばらくすると、やっと思い出したらしくパッと顔を上げてバツの悪そうな顔をした。
まったく、バカなんだから…。
じーっと見ていると、ふと勇吾がこっちを見た。
パチッと目があう。
『バカ』
目線でそう言うと、勇吾は苦笑いをして頭をかいた。
こんなんなのに、いや、こんなんだからこそ人望が尽きないのかしら?
そういう私が勇吾の彼女だったりするんだけど。
そう考えながら、目を黒板に戻して板書を写す。
そういえば、いつから目線で会話…というかアイコンタクト?が出来るようになったんだっけ?
もう覚えて無いな…。
そうしていつしか私の思考は、勇吾と付き合い始めた時へと飛んで行った。
しばらく更新していなかったので、久々ですね。
今回は勇吾と美咲が付き合った時のお話です。
いや~これから楽しみです♪
次話から2人が付き合った当初へと話が飛びます。
どうぞお付き合いください♪