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ある日の出来事

「みっさきー!さっきの体育の時のお前、めちゃくちゃ可愛かったぞ!さすが俺の彼女だなっ♪」

とある日の昼休み。

うちのクラスの午前最後の授業は体育だった。

その時の美咲みさきの可愛さって言ったら!

先ほどの彼女の姿を思い浮かべている俺の名前は磯崎勇吾いそざきゆうご

俺の目の前で今の今まで読書をしていた少女が俺の幼なじみで彼女の成松美咲なりまつみさきだ。

その美咲が本から顔を上げて俺を睨みつける。

そして、一言。

「とりあえずそこの窓から落ちて一回死んできたら?変態」


…俺の彼女は冷たい。

いや、いつもの事だけどさ。

さらさらストレートの黒髪は肩で切りそろえられていて、顔もそりゃあもう美人なんだが、とにかく冷たいっ!

時々本気で、美咲は俺の事を好きなんかじゃないんじゃないだろうか…と思ってしまったりする。

一度それを本人に言った事があったのだが、それはまた今度話すとしよう。


「あ、じゃあ私が落としてあげるよ!」

「あ、俺も!」

「私も!」


ちょっと待て。

おかしくないか!?

俺、お前等になんか恨まれるような事したか!?

とりあえず、名乗りをあげた男友達を睨みつける。

もちろん、「お前等面白がってるよな?」という意味を込めて。

俺の睨みを受けたそいつは、ニヤリと笑いやがった。

やっぱりそうなんじゃねぇか!


俺は一気に不機嫌になったが、そんな俺の事はお構いなしに名乗りをあげた面々は俺をドンッと思いっきり押した。

俺は押された勢いで教室の横のベランダに出る。

手すりがついていたから良かったものの、無かったら本当に死んでたぞ、コレ。

さすがにちょっとぞっとした俺を知ってか知らずか(たぶん知っていると思われる)俺を手すりのほうへ向かってグイグイ押すクラスメイト達。

おい、ほんとに殺す気かよ!


相変わらずグイグイ押してくるので、結局手すりまで追い込まれてしまった。

いや、このまま行ったら本当に危ないんですけど…?

とりあえず、逃げる!!

そう決めれば即行動。

グイグイ押してくる手をなんとかすり抜けて横へ逃げた。

…が、

「うわっ!」

誰かの手に当たってしまったらしく、体勢を崩してベランダに転がってしまった。

…なんとも情けない。

打った頭をさすりながら起き上がると、目の前にしゃがんで俺をじっと見ている美咲がいた。

ちなみに、美咲はクラスメイト達に背を向けてしゃがんでいるため、美咲の顔が見えているのは俺だけだ。

俺はパチパチと瞬きをした。


「…バカ。ケガして無いでしょうね?ちゃんと帰りも自転車に乗せて送ってってくれなきゃイヤよ?」

クスッと呆れにも似た笑顔を見せて美咲が俺に言う。

何度も言うが、美咲の顔は俺以外には見えていない。

つまり、今の美咲の顔は彼氏である俺専用な訳で。

その事でなんだか他の事がどうでもよくなってしまったのは、やっぱり俺が美咲に惚れているからだろうか。


だから。


「やっぱり美咲は可愛いっ!俺の美咲は最高だ!」

「…やっぱり一回死んで来て」


そう言った美咲の顔が少し照れていた、なんて事は俺だけの秘密。

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