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【引きずりこむ鏡】

投稿しました。

気が付くとわたしは大鏡の前に倒れていた


「ここは…」


わたしは確か―――


「鏡に引きずり込まれて…」


そこでハッとする


今は何時になる?


そんなに長く気を失っていたとは思わないけど


そこで壁に掛かっていた時計を見てみるとおかしなことに気が付く


「なんで…」


その時計は数字の位置から数字の向きまですべてが逆になっていた


まるで鏡に映った物のように


周りを見渡してみると下駄箱の位置も、廊下の曲がり角もすべてが逆だった


「ありえない…」


その時後ろから足音が聞こえた


足音は靴を履いた足音だったのであの【脚】ではないはずだ


「でも…誰なの」


足音は暗い廊下の先から響いてきている


わたしは鏡から出た【腕】に引きずり込まれてこの【鏡の世界】に連れてこられた


じゃあこの足音の主も…


「そこにだれかいるの?」


足音の主から声がかけられた


この声から男の人の声とわかる


それにこの声は…


「とりあえず返事だけでもしてくれたら嬉しいんだけど」


そう言いながら暗闇から出てきたのは


「ああ、やっぱりいた」


屋上で出会ったあの少年だった


「どうしてあなたが…」


「それはこっちが聞きたいよ、図書館で寝てたらいつの間にか周りがこんなになってたんだから」


君は?と聞いてきた


この人はあの【腕】を見ていないのだろうか


「わたしは鏡から出てきた【腕】に掴まれて気づいたらここに」


「ああ、なるほど【ひきずりこむ鏡】か」


「あなた…七不思議を?」


「うん、知ってるよ?色々と噂になってたからね」


そんなに【七不思議】と【自殺した生徒】が噂になっているのか


「まあ、そんなことはいいとして、とりあえずこの【鏡の世界】から出ないとね」


「あなた、出る方法が分かるの?」


「まあ、こういうのは大体ね、その引きずりこんだ【腕】の主を祓えば戻れるんだよ」


「…なんでそんなことまで?」


「んー、まあそれよりここから出るのが先だろう?」


確かに、それは後で聞くとして今は一刻も早くこの【鏡の世界】から出たい


「それに…」


「…どうしたの?」


「向こうは待ってくれないみたいだし」


そう言いわたしの後ろを指差した



わたしはそれにつられて後ろに振り向いた


そこには…


「なに…あれ」


人間が立っていた


いや、それを立っていると言うのは間違いだ


なぜならそれには…


【脚】がなかったからだ


【脚】がないのに胴体から上が宙に浮いている


そして【脚】の付け根からは血が垂れ流しになっている


「何なの…あれは」


わたしが吐き気を堪えながら言うと


「たぶん【鏡の世界】の主だろうね。【鏡の世界】に引きずり込んだ張本人だと思うよ」


少年は何ともなさそうにそういった


「まあ、なにはともあれ、あの【脚無】を祓えば戻れると思うけど?」


どうする?と聞いてきた


今のわたしには対抗手段がない


いったいどうすれば


「朝みたいに塩を撒けば祓える…と思うけど」


「けど、どうしたの?」


「朝に使いきっちゃってもう持ってないのよ」


どうする…調理室に行けば塩はあると思うけど


わたしが思案している間にも【脚無】が近づいてくる


しょうがない


今は調理室に行って塩を取ってこないと


そう思うとわたしは駆け出した


「あれ、どうしたの?」


「調理室に塩を取りに行ってくるから、あなたもどこかへ逃げてて!」


幸い調理室はここからすぐだ


それまであの少年には逃げててほしい


そう思いながら、先を急いだ


いつもと道が違っていて困惑したがなんとか調理室にたどり着いた


「はぁ…はぁ…間に合えばいいけど」


調理室の扉を開け、塩を探す


「あった…これがあれば」


その時、室内の姿見から音がした


なにかが滴り落ちる音が…


「まさか…」


そこには




【脚無】が浮いていた


「なんで…ここに…」


【脚無】の後ろには姿見がある


「まさか…鏡を使って移動を?」


今【脚無】は扉の前にいる


「祓わないと…ダメか」


わたしは塩を握って【脚無】に近づいた


今【脚無】はただ宙に浮いていて移動する気配はない


今しかない!


「消えなさい!」


塩を【脚無】に向かって撒いた


これで【脚無】は祓えたと思った


しかし…


「そんな…」


【脚無】は消える気配が微塵もしなかった


それどころか


「か…はっ」


骸骨のような腕でわたしの首を掴んで持ち上げてきた


ものすごい力で外しようがない


「…はっ」


まずいな…だんだん意識が…


意識が朦朧としてきた


こんな所で死ねない、七不思議があったんだ


願いが叶うかもしれないのに…


もう…ダメだ…


意識が無くなる寸前に


「おっと、死なれちゃ困るね」


そんな声が聞こえてきた


その声が聞こえたすぐ後


何かが光ったと思うと


わたしは床に落ち、意識を完全に手放した





はい、助けられましたね。


少年が何をしたのか、後々明らかになるかも?


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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